発明塾で
「簡易SR(Solution Report)」
と呼んでいるフォーマットに従って、簡単な発明提案を作成し、持ち込んでもらいました。
「課題の証明」
は、だいたい完了していましたね。
今回の討議で重要だったことは
✔ 「解決手段の仮説」を立て、さらに先行例を調べる
(「ラストワンピース/L.O.P」にたどり着く)
✔ 「ラストワンピース(L.O.P)」の解決手段を、見出す
ことでしょうか。
● 「ラストワンピース(L.O.P)」にたどり着く
結局は
「調べる」
ことに尽きるのですが、本当のところ
「誰が、どこまでのことを考え、製品化しているのか」
を把握することが、最も重要です。その際
「一つ、具体的なシチュエーション(Situ)に絞り込む」
ことが、とても大切です。
今回は
「乳がん」
に、注目しました。
この映画を見ると
「人を見る」ということについて、いつも考えさせられます。
仕事に関わることで「脅迫」を受けたことが、少ないですが
何度かあり、節目節目で見直す映画です。
「人を見る」「人を選ぶ」そんなことを考えたいときに、どうぞ。
● 解決手段を見出す
あれこれ、手法を解説するより
「やって見せる」
ことが、時には早道になると、いつも感じます。
5分間の時間をもらいましたが、
「これぞ」
という解決手段を見つけることが出来ましたね。
「キーワードを、どう作り出すか」
が、とても重要であること、および、それさえ上手く行けば
「瞬時に解が見つかる」
ことを、実感してもらえたかなと思っています。
5分で、ささっとやって見せたので、あっけなさ過ぎて、ちょっと面食らったかもしれません。
試行錯誤の過程も解説しましたので、
「一発で見つかる」
わけでも
「何時間もかかる」
わけでもないことがわかってもらえれば、良かったかなと思っています。
手品ではありません、したがって
「種も仕掛けも、ありません」
(事前に調べていたわけではない、ということです、というか、事前に調べようがありません)
というところです。正しい指導を、適切な時間受ければ、
「誰でも、できる」
ようになります。
(僕の場合、完全に独学でしたので、それなりに時間がかかりましたが、塾生さんは皆、まじめにやってもらえれば、3‐6ヶ月で同じレベルにたどり着くようです)
後半、いろいろ話をした通り、実は、発明塾の発明手法の一部は、僕がカワサキ時代に
「大型オートバイのエンジン開発/設計」
の仕事をしていたころに身に付けた
「仕事術」
に、源流があります。少し補足しておきましょう。
当たり前のことですが、
「発売日が決まっている(というか、刻々と近づいている)」
にもかかわらず、テストの度にエンジンは壊れ続けます。
(正確には、壊れるまで、とことんテストを行います、ということなのですが・・・)
「ギリギリ」
の設計をしているので、
「壊れたものをなおす」
中で、最適解を探っていくしかありません。
(機械というのは、多くの場合、壊れたところをなおすと、別のところが壊れるようにできています、つまり、「バランス」が重要です)
問題を解決できる技術は、多くの場合、社内にはありません。
(あったら、最初から問題は起こらないからです)
したがって、材料メーカーの方、部品メーカーの方に
「今ここに、AAという機種のXXの部品があって、YYが原因と思われる破損を確認しているんですけれど、ちょっと相談にのっていただけませんか」
という電話、あるいは、
「図のような形状、書き込みしてあるような仕様を満たす部品を、XX月XX日までに・・・」
のようなFAXを、曜日や時間は関係なく、手当たり次第にかけまくる(送りまくる)ことになります。
例えば僕の担当機種で、
「空冷」
のエンジンであったため、熱的に非常に厳しい条件におかれ、特に
「油脂」「樹脂部品」
でトラブルが頻発したことがありました。
「2気筒」
だったため、振動もひどく
「熱と振動」
に常に悩まされるという、材料選定が非常に難しいエンジンでした。従来のエンジンで利用していた部品や材料は全く役に立たず、また、10年ぶり以上の空冷エンジン開発ということで、開発は難航しました。
「今までにない、まったく新しい材料のアイデアを持ち込んでくれそうなメーカーさんを探そう」
と思い立って、いくつかのメーカーさんにお声かけし、応えていただいたのが
「NOK(日本オイルシール工業)」
の方でした。当時、神戸営業所の方に、別件で度々ご迷惑をおかけしていたのですが、迷惑ついでに
「まったく関係ない部品で恐縮なのですが、もし、お宅で、こういうスペックの材料持っておられたら、サンプルが欲しいんですけど・・・開発は終盤にもかかわらず次々に問題が起き、とても困っておりまして・・・」
とFAXさせていただいたところ、すぐにお電話いただき、また、すぐにサンプルを持参いただきました。その後、コストは大幅に上がったものの、無事問題を解決できる部品を、新たに開発することができました。
(特殊なグレードの、「フェノール樹脂」とのことでした)
「耐熱性が高く(300℃)、熱伝導率が低く、弾性率はそれほど高くなく、耐摩耗性が高い材料」
って、たぶん、そんなに選択肢は無いと思うんですよね、ちなみに・・・。
その後もたびたび
を痛感する出来事が、ありました。
「中途半端に、自分の知識に頼らない」
「専門家ではなく、異分野」
これは、僕が
「設計」
という仕事を通じて経験的に学んだことであり、発明塾の発明法の
「原点/源流」
ともいえる考え方の一つです。
当時は、FAXや電話しかありませんでしたが、今なら
「検索しまくる」
ことに、なると思っています。
今後も、こういう話を織り交ぜながら、
「発明」
を生み出していきたいですね。
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