2016年7月23日土曜日

「カテーテル治療」における突破発明の歴史~「朝日インテック」と「日本ライフライン」

発明塾 塾長代行 の、小塚遼(おづかりょう)です。

前回の記事で「カテーテル治療」に着目し、情報分析を行ったところ、

朝日インテック株式会社(以下「朝日インテック」と略記)

に、投資家が注目していることが分かった、という話題を取りあげました。



発明塾では、

「投資家向け情報」
「特許情報」

の2つの情報を、組み合わせながら読み解いていきます。


以前、私は、

✔ 約250件の特許を一つ一つ読み解き
✔ それをもとに、先読みを行い発明を創出する

活動を、行ったことがあります。大学2回生の時です。


上記を含む、発明塾での数多くの発明創出作業を通じ、特許情報は公開まで1年半のラグがある一方で、

✔ 技術的な課題や、将来想定されている事業を予測できる
✔ 特許情報を足場に、つまり、「巨人の肩」に乗って、発明が出せる

ことに気づき

「特許情報って、結構使えるな」

と実感しました。

今回は、

✔ 朝日インテックの技術的な強み
✔ 朝日インテックに対抗しようとしている企業

に着目し、特許情報を読み解きます。



●朝日インテックの「強み」となっている技術は?

2008年6月期の中間決算説明資料に、以下のような記載があります。


2008年6月期 中間決算説明資料 より引用


また、Medtec Japan Onlineの記事に、以下のような記載があります。


また、当時国内のガイドワイヤーで7割の シェアを持っていた米ガイダント社(現アボット・ラボラトリーズ社)の特許が厚い壁として立ちはだかっていた。いくら操作性・トルク性で優る製品を開発しても、ワイヤー先端部分の特許が邪魔をしている。朝日インテックはそこでも挫けず、さらに既存製品のスペックを上回る数々の技術を生み出した。そのひとつ がステンレスとプラチナの接合技術である。

※上記資料にあるアボット・ラボラトリーズ社は、Boston Scientific社の誤りと考えられます。



つまり、独占的にガイドワイヤーを製造・販売していた企業の特許網を「突破する発明」を創出したと考えられます。


中間決算説明資料に記載の 特許(特許第2981976) は、どのような発明についてのものでしょうか?


従来の放射線不透過線材をロウ付けする方法において

・ロウ付けした先端部位の「曲げ特性」が低下し、また、硬直化した領域ができる
・そのため、曲がりくねった血管や分岐している血管へのガイドワイヤーの挿入が難しい

という課題があることに、着目した発明のようです。


朝日インテックのHPからも、

「ガイドワイヤーの操作性」

にこだわっている様子が伺えます。

つまり

「操作性のよいガイドワイヤーを製造する技術」

が、一つの「強み」になっていると考えられます。



●「特許訴訟情報」をひも解く~朝日インテックVS日本ライフライン~

朝日インテックは、

日本ライフライン株式会社(以下、日本ライフラインと略記)

に、特許権侵害行為差止請求を起こされています。

判決文はこちらです。


対象となっている日本ライフラインの特許は、特許第4354525です。


請求項1を読むと、朝日インテックの特許にもあったように、

はんだ付けの際に生じる、「先端硬直部分」

に着目し、特許を取得しています。


ちなみに、J-PlatPatで上記の特許について調べてみると、以下のような情報が出てきます。
J-PlatPat より


無効2012-800111は、朝日インテックが請求したものです。
効2015-800133は誰が請求しているのでしょうか・・・


その他、引用・被引用情報なども勘案すると、

✔ 突破発明を創出した朝日インテック
✔ さらに、朝日インテックを「独自の技術で」乗り越え、対抗している日本ライフライン

という構図が見えてきます。
(日本ライフラインの過去五年の株価も見てみましょう)



●「カテーテル治療」技術の先を読むには?

2016年7月14日付で、日経デジタルヘルスに、

「冠血流予備量比(FFR)測定」

に使用するプレッシャーガイドワイヤーを、Boston Scientific社と朝日インテックが共同開発した、という記事が掲載されています。


この先、「ガイドワイヤー」の技術はどのように進化していくでしょうか?

また、それを裏付ける情報は、どのようにすれば見つかるでしょうか?


少し考えてみませんか?



小塚 拝


=======
入塾・見学希望の方は、こちらを御覧ください。
「発明塾講義」配信希望の方は、こちらをご覧下さい。