各自、討議内容を踏まえ、次回討議に持ち込めるものを練ってくるように。
さて、上記議論と関連するメール講義バックナンバーを取りあげ、書ききれなかったことをメモしておきましょう。
注目した企業は、Just Do It でお馴染みの「Nike」です。
個人的に、
「Just Do It 」
というフレーズは非常に気に入っています。
NikeのHPを検索すると、
「NIKE, Inc.— Inspiration and Innovation for Every Athlete in the World」
と出ますね。
同社が、特に「靴」しかも「バスケットボールシューズ」に注力していることは有名です。
NBAの有力選手をサポートし、強固なブランドを築きあげるとともに、彼らが満足する「高性能」なシューズを開発し続け、更に製品を進化させ・・・と、まさに好循環になっているように見えます。
実際は、どうなのでしょうか。
メール講義に載せきれなかった、数字や事業構成をおさらいしておきましょう。
● EPS成長率 10% 以上の優良企業
モーニングスターのサイトでかんたんに調べてみると、
✔ Gross Margin 45% 程度
✔ Operating Margin 13% 程度
をキープし、
✔ 財務レバレッジ 1.7 で ROE 27% 以上(2015年度)
✔ EPS成長率が、10年平均 12% 以上
です。素晴らしいですね。同業の、例えば Adidas AG と比べると、
(ちなみに、Adidas のウエアラブルデバイス関連特許は、「課題解決思考(2)」で取り上げています)
✔ 資産回転率が高い
✔ 財務レバレッジが低い
✔ Operating Margin が高い
と、文句のつけようのない「固さ」です。この「秘訣」は、どこにあるのでしょうか?
● 発明+ブランド=「バスケットボールシューズ」で稼ぐ
Nike の事業構成を、IR資料で見てみましょう。(2015 Form 10-K)
Footwear の売上が、通貨影響込みで 13%(Y/Y) と、大きな伸びを示しています。
セグメントとしても、60% 程を占める大きなセグメントですので、これが Nike を牽引している「エンジン」だとわかります。
Dow30 企業の決算をザーッと見る限り、2015年はドル高に苦しんだ米国企業が多かったようですが、それでも高成長を続けている数少ない企業 「Nike」と、それ を支えている事業「靴」。
さらに、興味が湧いてきますね。
(Nike 2015 Form 10-K より)
実は発明塾では、設立当初(正確には設立前から)「靴」を題材にしているのですが、2009年から2010年頃、この話をすると、よく
「笑われ」
ました。ウエアラブルが、「メガネ」「時計」の次に、「靴」へ波及するという話をしても、
「全く信じてもらえない」
状態でした。また、
「靴が、高収益商品として、ポテンシャルが高い」
という話も、
「一笑に付されて」
いました。しかし、今なら、皆さんに興味を持っていただけるでしょう。続々と、「エッジ情報」が見つかるからです。
* 過去の「靴」に関する討議/講義についての記事は、例えば以下
「靴」「におい」など、過去の「発明テーマ」が、ナゼか今頃「熱い」(e発明塾改訂、第330回報告)
発明塾@京都 第17回開催報告~「マクロからミクロへ」「靴である必然性」で考える
「手堅く」は捨てる~立命館大学”発明講義”第10回から~塾長の部屋(57)
「課題オリエンテッド発明」と「用途発明」~発明思考とマーケティング思考の間で
さて、他の企業と比べた場合、Nike は、詳しいセグメント情報をForm 10-K に記載していないように見受けられます。
そのため、バスケットボールシューズというセグメントでの情報は諦め、「バスケットボール」関連が、どの程度 Nike を牽引しているか見て、終わりにしましょう。
(Nike 2015 Form 10-K より)
また、「スポールウェア」「ランニング」に次いで3番目に大きなセグメントです。
「スポーツウェア」に比べ為替の影響が少ないことから、米国市場が中心であることが伺えます。
さて、特許情報を見てみると、どうでしょうか?
例えば、靴については、製品としてもウリになっている、「靴底」「衝撃吸収」関連が目立ちます。引用被引用関係を見ると、いくつか「競合」する技術を保有しているプレーヤーも見えてきます。
また、靴の「次の一手」を示していると思われる情報も、見つかります。
「靴の固有性」
「靴である必然性」
を満たす市場に、着々と手を打っていることが、見えてきました。
そのあたりは、以下、メール講義を参照ください。
==以下、配信文(エッジ特許関連を抜粋)
「「「 NIKE と Apple のエッジ情報から「ウエアラブル」次の手を読み解く 「「「
今回は、これまでも度々取りあげている「ウエアラブル」
e発明塾「課題解決思考(1)」で演習事例として取り上げている
「靴」
において、
発明塾では、ウエアラブルデバイスとしての「靴」
発明塾@京都 第17回開催報告~「マクロからミクロへ」「靴である必然性」で考える
当時、「靴が将来、時計やメガネにない ”靴の強み” を生かしたウエアラブルデバイスとして、進化する」ところまで見抜けた学生さんは、ごく少数でした。どうしても、「今ある靴の課題に注目する」「現在の靴の延長線上の発想」で、とどまってしまいます。
それらを打開するために、「例えば、ひょっとすると、
「エッジ特許」(エッジ情報)の始まりです。
当時の経緯は、e発明塾「課題解決思考(1)」
「課題解決思考(1)」
NIKEは、有名な「エアー」を始め、
US7911339
請求項1に記載された発明は、「靴底の摩耗を検知する」
1. A shoe wear out sensor, comprising:at least one detector for sensing a physical metric that changes as a shoe wears out; a processor configured to: process the physical metric, over time, wherein the physical metric is incremented during use of the shoe; and compare the incremented physical metric to a threshold to determine if the shoe is worn out; and an alarm for informing a user of the shoe when a sole of the shoe is worn out.
靴が摩耗することにより変化する「physical metric」を測定する、という、やや漠然とした概念です。
さて、Legal Event に、少し面白い情報がありました。
US7911339:Legal Event
権利が、「NIKE、Apple を経て」以下企業に移転されています。
Garmin社 HP
同社は、UPS(ユナイテッド・パーセルズ)
GPS機器メーカー、ウエアラブル市場で急成長(WSJ)
NIKE、Apple、Garmin、以外にも、
発明塾では、このように「エッジ特許」などを多面的に読み解き、
このような手法、または、実際の事例に興味がある、という方は、
・テーマ探索
・先読み知財の創出
に、ご活用いただける手法です。
7月8日の時点で、2席の空席がございます。満席になるまで、
●「 ”エッジ情報” 分析とその活用」セミナー開催のご案内(略称:エッジセミナー)
7月13日 東京開催です。
弊社HP内のご紹介ページは、こちら
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