2016年7月11日月曜日

「Nike」と「Apple」の戦略的交差点から「次のウエアラブル」を見通す~第336回報告/「靴」の固有性はどこに?

今回は、畜産IoT、遠隔医療/ウエアラブルヘルスケア、医療と農業のIoT、の3つのテーマで発明討議を行いました。

各自、討議内容を踏まえ、次回討議に持ち込めるものを練ってくるように。


さて、上記議論と関連するメール講義バックナンバーを取りあげ、書ききれなかったことをメモしておきましょう。

注目した企業は、Just Do It でお馴染みの「Nike」です。


個人的に、

「Just Do It 」

というフレーズは非常に気に入っています。


NikeのHPを検索すると、

「NIKE, Inc.— Inspiration and Innovation for Every Athlete in the World」

と出ますね。

同社が、特に「靴」しかも「バスケットボールシューズ」に注力していることは有名です。

NBAの有力選手をサポートし、強固なブランドを築きあげるとともに、彼らが満足する「高性能」なシューズを開発し続け、更に製品を進化させ・・・と、まさに好循環になっているように見えます。

実際は、どうなのでしょうか。

メール講義に載せきれなかった、数字や事業構成をおさらいしておきましょう。



● EPS成長率 10% 以上の優良企業

モーニングスターのサイトでかんたんに調べてみると、

✔ Gross Margin 45% 程度
✔ Operating Margin 13% 程度

をキープし、

✔ 財務レバレッジ 1.7 で ROE 27% 以上(2015年度)
✔ EPS成長率が、10年平均 12% 以上

です。素晴らしいですね。同業の、例えば Adidas AG と比べると、
(ちなみに、Adidas のウエアラブルデバイス関連特許は、「課題解決思考(2)」で取り上げています)

✔ 資産回転率が高い
✔ 財務レバレッジが低い
✔ Operating Margin が高い

と、文句のつけようのない「固さ」です。この「秘訣」は、どこにあるのでしょうか?



● 発明+ブランド=「バスケットボールシューズ」で稼ぐ

Nike の事業構成を、IR資料で見てみましょう。(2015 Form 10-K

Footwear の売上が、通貨影響込みで 13%(Y/Y) と、大きな伸びを示しています。

セグメントとしても、60% 程を占める大きなセグメントですので、これが Nike を牽引している「エンジン」だとわかります。

Dow30 企業の決算をザーッと見る限り、2015年はドル高に苦しんだ米国企業が多かったようですが、それでも高成長を続けている数少ない企業 「Nike」と、それ を支えている事業「靴」。

さらに、興味が湧いてきますね。


(Nike 2015 Form 10-K より


実は発明塾では、設立当初(正確には設立前から)「靴」を題材にしているのですが、2009年から2010年頃、この話をすると、よく

「笑われ」

ました。ウエアラブルが、「メガネ」「時計」の次に、「靴」へ波及するという話をしても、

「全く信じてもらえない」

状態でした。また、

「靴が、高収益商品として、ポテンシャルが高い」

という話も、

「一笑に付されて」

いました。しかし、今なら、皆さんに興味を持っていただけるでしょう。続々と、「エッジ情報」が見つかるからです。

* 過去の「靴」に関する討議/講義についての記事は、例えば以下
 「靴」「におい」など、過去の「発明テーマ」が、ナゼか今頃「熱い」(e発明塾改訂、第330回報告)
発明塾@京都 第17回開催報告~「マクロからミクロへ」「靴である必然性」で考える
「手堅く」は捨てる~立命館大学”発明講義”第10回から~塾長の部屋(57)
「課題オリエンテッド発明」と「用途発明」~発明思考とマーケティング思考の間で


さて、他の企業と比べた場合、Nike は、詳しいセグメント情報をForm 10-K に記載していないように見受けられます。

そのため、バスケットボールシューズというセグメントでの情報は諦め、「バスケットボール」関連が、どの程度 Nike を牽引しているか見て、終わりにしましょう。


(Nike 2015 Form 10-K より


Y/Yで 19% 伸びです。一番伸びたセグメントです。
また、「スポールウェア」「ランニング」に次いで3番目に大きなセグメントです。
「スポーツウェア」に比べ為替の影響が少ないことから、米国市場が中心であることが伺えます。



さて、特許情報を見てみると、どうでしょうか?

例えば、靴については、製品としてもウリになっている、「靴底」「衝撃吸収」関連が目立ちます。引用被引用関係を見ると、いくつか「競合」する技術を保有しているプレーヤーも見えてきます。

また、靴の「次の一手」を示していると思われる情報も、見つかります。

「靴の固有性」
「靴である必然性」

を満たす市場に、着々と手を打っていることが、見えてきました。


そのあたりは、以下、メール講義を参照ください。




==以下、配信文(エッジ特許関連を抜粋)


「「「 NIKE と Apple のエッジ情報から「ウエアラブル」次の手を読み解く 「「「

今回は、これまでも度々取りあげている「ウエアラブル」について、ある領域におけるキープレーヤーの動向から見つけ出した、エッジ特許をご紹介いたします。まず注目したのは、「ナイキ(NIKE)」の動向です。

e発明塾「課題解決思考(1)」で演習事例として取り上げている

「靴」

において、あるセグメントを独占し大きな収益をあげている企業です。EPS成長率、ROE、財務レバレッジの低さ、Gross Margin、フリーキャッシュフロー伸び率など、多面的に見て「エクセレント・カンパニー」との評価に値する企業とされています。


発明塾では、ウエアラブルデバイスとしての「靴」の可能性について、早くから注目し、様々な検討を繰り返し、継続的に行ってきました。(企業内発明塾の題材としても、数多くの企業様で、取りあげていただきました)立命館大学の講義でも、毎年取りあげておりました。

発明塾@京都 第17回開催報告~「マクロからミクロへ」「靴である必然性」で考える


当時、「靴が将来、時計やメガネにない ”靴の強み” を生かしたウエアラブルデバイスとして、進化する」ところまで見抜けた学生さんは、ごく少数でした。どうしても、「今ある靴の課題に注目する」「現在の靴の延長線上の発想」で、とどまってしまいます。

それらを打開するために、「例えば、ひょっとすると、こういう風に進化する可能性があるかもしれないですよ」と、「想像しうる限りの、ぎりぎりの未来」を示す情報を独自に探し出し、議論を前向きに進めるために提示し始めました。
「エッジ特許」(エッジ情報)の始まりです。


当時の経緯は、e発明塾「課題解決思考(1)」で取り上げています。

「課題解決思考(1)」



NIKEは、有名な「エアー」を始め、靴底の衝撃吸収構造に強みを持つ企業です。幾つかの特許について、引用・被引用関係をたどっていくと、以下の特許へ行き着きました。

US7911339

請求項1に記載された発明は、「靴底の摩耗を検知する」センサーです。

1. A shoe wear out sensor, comprising:at least one detector for sensing a physical metric that changes as a shoe wears out; a processor configured to: process the physical metric, over time, wherein the physical metric is incremented during use of the shoe; and compare the incremented physical metric to a threshold to determine if the shoe is worn out; and an alarm for informing a user of the shoe when a sole of the shoe is worn out.

靴が摩耗することにより変化する「physical metric」を測定する、という、やや漠然とした概念です。


さて、Legal Event に、少し面白い情報がありました。

US7911339:Legal Event


権利が、「NIKE、Apple を経て」以下企業に移転されています。

Garmin社 HP


同社は、UPS(ユナイテッド・パーセルズ)のAviation部門を買収し、GPS関連の事業で成長してきましたが、現在は「ウエアラブル」市場に進出しています。

GPS機器メーカー、ウエアラブル市場で急成長(WSJ)

NIKE、Apple、Garmin、以外にも、この分野で続々とユニークな発明を生み出している企業が、まだまだあります。ぜひ、続きを調べてみてください。


発明塾では、このように「エッジ特許」などを多面的に読み解き、更に最先端の情報を次々と探し出し、発明テーマの特定、または、発明の創出に効率よく繋げます。
このような手法、または、実際の事例に興味がある、という方は、是非以下のセミナーへご参加ください。

・テーマ探索
・先読み知財の創出

に、ご活用いただける手法です。

7月8日の時点で、2席の空席がございます。満席になるまで、受付いたします。



●「 ”エッジ情報” 分析とその活用」セミナー開催のご案内(略称:エッジセミナー)

7月13日 東京開催です。
弊社HP内のご紹介ページは、こちら
発明塾HP内のご紹介ページは、こちら

==ここまで