2014年3月1日土曜日

発明塾京都第169回開催報告~よい「Question」を創る力(KSQ再び)

今回は、前回の討議内容を各自まとめたものを基に、議論を開始しました。と言っても、一通りのレビューを終えた僕の第一声は、

「次、どうするのが良いか、考えてみよっか」


である。ここで問うているのは、


「方針は、どういう判断基準で決まるか」


という、メタな問いである。つまり、KSQ(Key Success Question)を、自分なりに決めてくれ、ということ。


詳細は、発明塾標準参考書「イシューからはじめよ」に、きちんと書かれている(ので割愛)。


元になった、安宅さんのブログは、こちら


高いアウトプットを出しているサイエンティストは、ほとんど同じ事を言っている(注1)。


偶然ですが、「ゲノム編集」の研究で世界のトップを走っている、MITのFeng Zhangにインタビューする機会に恵まれた塾生さんが、その結果を共有してくれた。差し支えない範囲で、皆さんとも共有しておきたい。


===以下、ほぼ原文を抜粋引用(注2)

Qは塾生さん(or その場にいた別の学生さん)、AnsはFeng.

<どうやれば、そんなに画期的なテーマを、次々見つけられるのか>
Q(別の学生):「ChR, TALEN, CRISPR.どうやったら,そんな鉱脈を発見できるの?」
Ans:Pubmedで.
(※医学生物系が一番使ってる,学部生でも知ってるサーチエンジンです)

Q:「そんなの、みんな使ってるんですけど・・・」
Ans:一番大切なのはQuestionなんだ.
みんなに言っておきたいけど,Questionが一番大事.
(#ここでQuestion連呼)


適切なQuestionを設定できれば,Pubmedは良い検索エンジンだから"誰もそんなもの読んでない"という文献まですぐたどり着ける.


その文献をCRITICALに読むんだ."CRITICALに"読まなきゃいけない.
(#ここでCRTICAL連呼)

CRITICALに文献が読めればChRもCRISPRも「ローリスク」の研究テーマだってわかるよ.
みんな「ハイリスク」っていうけど.
リターンが大きいかは実験してみるまで分からない,生物だから.
CRITICALにさえ読めれば,リスクは見積もれる.

というか,適切なQuestionさえ設定したら,Pubmedで検索すれば答えがほとんど出てる.

Q(別の学生):"Answer is in question"ですね.
Ans:Exactly.

<研究者に向いた人材>
Q:研究系の発明に向いている人材ってどんな人材だと思う?
Ans:#英語のまま書きます.
現段階でのFeng氏による
「結果を残せるgood students and post Docsの特徴」

Open Minded, Optimistic, but VERY CRITICAL when they see data.
Good at BREAKDOWN big problem into pieces of solvable problems.
If there are some steps in a technology for example, he/she is VERY CAREFUL and does not stop thinking about which step causes the problem.
(太字は,彼が強調してたこと)

Open Minded はIT系のカルチャー.MITの奴は大概そう.
Optimistic only => 米国にめちゃいるらしい.大したこと言うけど,結果に近づけないらしい.
Critical only => レアキャラ.
危ないプロジェクトに手を出さないから,そもそもFeng Labのような小さなラボには少ない.

Critical を身につけるには,Criticalにデータを見るトレーニングを積まないといけない.
課題にfocusした実験をどれだけやって,どれだけCriticalな人と一緒に解釈したかが重要

MITとかHarvardの学生はめちゃめちゃ頭が良い.でもそれでは足りない.
(#"Very smart"を連呼してた.)


賢い人たちはしばしば,散漫.注力するべき課題をしぼれない.
僕らのラボは小さいから,課題を選んでフォーカスしないと結果はでない.
フォーカスして努力できるかは分かれ目.

実験に対する文化・哲学を作るべき

Optimisticに実行するのが大切だけど,
Positive dataとかNegative dataという言葉で議論すると,研究が前進しない.
そういう文化を作らないようにする.

"Conclusive"かどうか.が重要.


一見ポジティブに見えるけど,
何も結論できない研究計画を立てつづけると,実は進んでない.
Conclusionが無いのに勝手に結論して先に進めてしまうのも,かなり危険.

===引用終了


Open-Minded, Critical, Conclusive, Focus... まぁ、アタリマエですね。  

そういえば数年前、僕が一緒に発明活動をした海外の研究者/弁理士も、みな同じことを言っていた。

このインタビュー、僕の個人的注目点は、


①「Critical を身につけるには,Criticalにデータを見るトレーニングを積まないといけない.

課題にfocusした実験をどれだけやって,どれだけCriticalな人と一緒に解釈したかが重要.」
②Open-Minded で Critical な奴はレア(と言っていたらしい)
③Conclusive

の3つ。



①は、Critical は意外と暗黙知の部分があるのと、形式知の部分も「忍耐強く」トレーニングする必要があるので、余程タフなマインドを持っているか、良いコーチにつかないと身につかない。


②は「考えればアタリ前」ですよね。


③は、安宅さんが「イシュー」で言っていることと同じ。どんな結果が出ても「進む」実験を計画しないといけない。それ以外は「Fishing Expedition」(くたびれ儲け的)だと。




「知財で本気で戦う」研究者、Feng Zhang.
優れた研究者との出会いは、人を一段と成長させる。
32才とのこと、まだまだこれからの研究者。
一度、招待して「サイエンスと知財戦略」について
みっちり議論してみたいですね。
ところで、彼の特許出願の代理人を調べると・・・?


ちなみに、MIT、Harvard、Stanford の大学院では、かなりしっかりとしたと「知財」に関するトレーンングを受けるそうだ。Fengは、その中でも特に「知財戦略を駆使」している方だろう。いろいろ調べると、「アッパレ」としか言いようがない。彼は現在32才だ。32才のアカデミアで、ここまで知財戦略に長けた人は、少なくとも僕は出会ったことがない。


その辺の詳しい情報は、3月10日の山口大学知財フォーラムで紹介予定。


お楽しみに!




※ 注1) 例えば、「精神と物質」(立花隆氏と利根川進氏のインタビュー集)参照。


※ 注2) インタビューの、ほんの一部である。