「マーケティングリサーチ」(通称 発明講義)
も、全15回のうち10回が過ぎました。
現在、各自に自分のテーマで発明を生み出してもらうべく、
「特許分析」
に取り組んでいもらっています。ツールはご存知「かんたん特許(無料)」です。
無料でここまでできるとなると、学生時代にやっておかない手は無いですね。
次回は中間報告を兼ねて、講義後レポート→口頭発表と進める予定です。
発明のテーマは、どのように決めてもらっても構わないことに、しています。
ただ、
「言われたことをやるので、単位を下さい」
というのは認めない(注1)ことにし、特に分野は指定していません。
といっても、自由放任過ぎても困るでしょうから、いくつかアドバイスはしています。
「自分が就職したい会社、業界」
「自分の研究テーマ、もしくはその先の技術」
について、調べてアイデアを出せば、
「一石何鳥かになるよ」
と。
例えば、「自分の研究テーマ」について、関連する技術をやっている企業まで調べておけば、自分の研究テーマの立ち位置が、よくわかるでしょう。
理工学部ですから、実用化に向けて、どういう課題を設定すればよいか、将来のテーマが見えてきます。
また、「就職先」について調べるなら
「就職したい先が、直近で力を入れている技術分野」
を、IPC/KWごとの出願動向から割出し、
「その分野のキーマン」「課題の変遷」
を把握し、
「次の狙いを読み」
「そこへの、自分なりのアイデア提案」
まで落とし込んでおけば、就活に向けて準備は万全です。4-5つの業界について、3回生の時点で準備しておけば、就活が始まってから慌てることもありません。
「アイデア付きで売り込め」
と、学生さんにはいつも言っています。実際、面接まで行くと
「今から2時間で、アイデアを出してください」
という感じになることが、あるそうです(注2)
昔は、そこまでのことは無かったですが、やはり「調べて行くこと」は重要です。
僕の場合、川崎重工に入る前から、歴代のオートバイの開発に関する書籍や、川崎以前の会社(メグロとか)のバイクなどについても、いろいろ調べていました。
開発の方の名前も、事前にかなり知っていたので、面接で実際にお話をさせて頂いて
「XX部長か~、あの本に出てた人やん!ホンマに顔赤いで!」
みたいな感じになったことも、あります。別に狙っていたわけではありませんが、そのお蔭かどうか、その年で唯一、大型オートバイの設計部門に配属された新人となりました。
セミナーでもたびたび紹介していますが、前職時代に開発に取り組んでいた、
「ナノインプリント技術の用途探索」
では、特許分析を駆使して、世界中の企業の方にアポを取り、ヒアリングし、サンプルを使ってもらい、新しい用途を次々と見つけました。
一件一件特許を読み、課題の流れを追い、サンプルと提案書を送るという、
「超地味な作業」
でしたが、
「アポを断られたことが無く」
「違う会社の担当者まで、紹介いただいたこともある」
(直接担当ではないのですが、折角の素晴らしいご提案ですので、知り合いを紹介します・・・みたいな感じです。これで5名ぐらい跨いで、繋がったこともあります)
ぐらい、効果的な方法です。
「自分の作り上げた技術を、世の中に広める」
技術屋として、もっとも面白い仕事ですね!
この「ラストワンピース」が、社会的価値を生みます
詳しくは、こちらをご覧ください。2005年当時、特許情報をここまで活用して、
「技術マーケティング」
に取り組んでいた人は、他にはあまりおられないようです。
要望の声が多く、重い腰を上げて久しぶりに、
「特許情報分析を用いた技術マーケティング」
セミナーをやることになりました。私自身が取り組んでいた頃から比べると、特許分析ツールも飛躍的に進化しており、発明塾生のみならず、多くのクライアント企業で、「普通に」実践いただいています。
「大学生でも、普通にできるレベル」
になってくると、
「大学で生み出される知の価値」
も、変わってくるだろうな、と塾生さんや立命館大学の学生さんに、大いに期待しています。
※ 注1 「単位はあげますから、授業には来ないでください!」(豊田教授の”日本国憲法”講義)のような時代が、懐かしいですね。
※ 注2 2013年の講義後、「楠浦さんの講義で習った手法が、とても役に立ちました!」と言ってくれた学生が、いました。まさか、就活に役立つとは、僕も全く想像していませんでしたが。時代ですね。