「発明塾®」へようこそ!: 10月 2016

2016年10月27日木曜日

「よいネタ」と「よいチーム」を揃えたい~「未来創造設計書」セミナーの御礼を兼ねて

10月26日開催の「未来創造設計書」セミナーへご参加いただきました皆様、改めて御礼申しあげます。 また、開催に向け告知・ご案内などでご協力を賜りました皆様、篤く御礼申しあげます。

ご都合がつかず、お申込みいただけ無かった方、次回、あるいは、弊社の他のセミナーにて、お待ちしております。 

12月15日 「制約思考」セミナー 


ご質問やご感想を頂いた部分を中心に、内容の振り返り、また、補足をさせていただきます。

8月31日 「制約思考」セミナーの振り返りと補足

とも、一部重複する内容がございます。
(重複するご質問などが、多数ございました)



● 「よいネタ」と「よいチーム」を揃えたい

これは、僕の個人的な経験、また、その時に巡り合った方々の感想を踏まえたものです。
Start-Up在籍時に聞いた、ある人のコメント

「貴重な人生の一部を、棒に振ってしまった」

が、いまでも頭に強く残っています。


「よいネタ、そして、よいチーム」

を、運に任せずに揃える、それが

「未来創造設計」

という考え方です。


その第一歩が、

未来創造設計書

です。


過去の動向から見て、我々のこの考え方も、すぐに模倣?され、広まるだろうと予測しています。

特許情報を用いた技術マーケティング
「ビジネスに効く知財」

など、常に、最先端の考え方/手法を皆様に提供し、業界のスタンダードとして定着してきています。


ややトリッキーなタイトルですが・・・
ここで取り上げられた経営者の方々は、アタリマエのことを
アタリマエに実行されている方々ばかりです、
少なくとも「投資」という観点からは・・・。



● 「設計」とは、「後を楽にする」「未来を繁栄させる」仕事

僕があまりに「設計、設計、・・・」というので、多くの塾生さんが設計者を目指すという不思議なトレンドができていて、個人的には少し面白いと感じています。
(「コマツ」に行きたい、という人が多いように感じますが、これも僕がいろいろ話すからでしょうか・・・)


僕は、製造現場に「とても」よく行く設計者でした。
(気分転換も兼ねて、だいたい毎日行くようにしていました)

「どうやって作ってるかわからないのに、そもそも設計はできない」
「あとで、”これじゃできないんだけど”と言われると、いろいろなものが大きく狂う」

理由は様々ですが、ここで書いたように

「考え抜いて、他者を一歩 ”抜く” 楽しさ」

にハマっただけのような気もします。


「現場を知り」
「現場に根回しをして」

という基本的なところの上に、

「敢えて、限界を超えるような要求仕様(設計書)を出す」

ことを、心がけていました。

「安全と無駄の境目、ギリギリ」

を攻めないと、良い製品はできないからです。


「出来るものを、ただ出来るなりに作って」

いても、その先は知れています(*)。

「現場との信頼関係」

の上で

「あえて、図面で喧嘩を売る」

のが、僕の、というか、当時のカワサキの流儀でした。


「もっと攻めませんか」

それが、

「設計書(図面/仕様書)」

に入れるべきメッセージである、と、僕は設計の仕事を通じて、

「悟り」

ました。


「未来創造設計書」

は、そのような、僕の個人的体験というか、

「皮膚感覚」

のようなものから生まれました。


「エッジを示し、攻めてもらう」
「攻めてもらうための、翼を授ける」

そんなものにしたいなと、思っています。


長くなりすぎましたので、続きはまた、いずれかのセミナーでじっくりお話させていただきたく、今後とも宜しくお願い申し上げます。


楠浦 拝



*まだ社会人になっていない、塾生さんのために、この部分、もう少し補足しておきます。

 僕が設計者なりたての頃、つまり、川崎重工入社6ヶ月後ぐらいの頃、のことです。

 図面を描くのが早かったため、課長に大変かわいがっていただき、いろいろな仕事を任せていただくことになりました。ある日、図面を巡る生産現場との交渉、いわゆる「この図面では作れない」的なやり取りを、任せていただくことになりました。

 交渉の結果、「持ち帰り、再検討します(つまり、図面を修正する)」になり、課長にその旨を伝えた後の、課長の言葉を、今でもはっきり覚えています。

 (課)「楠浦くん、そこで妥協すると、その現場の人は、仕事がなくなるよ」
 (楠)「??」
 (課)「だって、我々は、5年10年続く製品を開発するんだよね。それって、5年後10年後のアタリマエを、いま、予測して、現場に指示するってことよね」
 (楠)「??」
 (課)「だとしたら、今のレベルで妥協してたら、5年後10年後には、全く相手にされないものが出来るよね」
 (楠)「はい」
 (課)「だとしたら、その現場は、5年後10年後には、不要になるね」
 (楠)「・・・」
 (課)「君は、そういう責任を背負っていることを理解した上で、”図面直します”って言ってきたの?むしろ、もっとその現場の仕事が増えるように、将来栄えるように考えないとダメやね」
 (楠)「・・・」
 (課)「設計が、どういう仕事か、理解してないみたいだね」
 (楠)「・・・もっかい現場行ってきます」

 当時カワサキは、まさに5年10年、世界の最先端を独走するような商品を次々と出していました。その背景には、こういう考え方があったんだなと、それを途絶えさせるわけにはいかないなと、色々考えさせられた仕事でした。

 当時の課長は、少し前に亡くなられ、お礼を伝えず終いとなり、残念です。
 設計の話をするたびに思い出す、とても貴重なやり取りです。




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2016年10月18日火曜日

事業の先読みが「投資部」の仕事~発明塾第349回(投資部第4回)

今回は、投資部の議論でした。

議論は、「Hill-Rom」社に着目したところから始まりました。


前回までで、いわゆる

「Proxy Statement」

の読み方について話をしていました。

10-Kや数字の推移、BMなどの議論が疎かになっていたので、再度、「数字」に戻りました。


B/SやDEレシオなどを見ていくと、

「事業戦略」

も、見えてきます。


既に機関投資家からは

「高く評価されている」

企業なのですが、

「なぜそんなに高い評価を受けているのか」

について、関連情報や、他社との比較から

「合理的な、ギリギリの範囲の、仮説」

を導き出すことに注力しました。


そこで得られた仮説は、

「次の注目分野」

を示すものになるからです。


Amazon.co.jp のサイトへ移動します)
先行例を徹底調査し、必要なものを
「発明」「開発」するという作業が
設計という仕事を通じ、身に染み付いています・・・


終了後、別のメンバーと

「振り返り」

の議論を行った際に気付いたこととして

✔ Qualcomm Life との関係に気づいたことで、議論が進んだ
  (エッジはエッジを呼ぶ)


✔ すでに作成済の「未来創造設計書」の、「その先」の情報であった

ことが挙げられます。


我々が注目している分野の”熱さ”を

「再確認」

できた議論でした。



以前の議論でも、意外なところから「医療用ロボット」の最新動向へ繋がった例があります。

直接的な証拠がすぐに見つかる場合、すでにそれは

「織り込まれて」

いますので、関連する情報を組み合わせ

「ギリギリ成り立つ範囲の、合理的な予測」

を狙う必要があります。


よく言う

一歩抜く(抜ける)

です。


この発想は、僕が設計をやっていたため、

「体に染み付いている」

ものです。


「既にある技術を使って、他者より一歩抜きん出る」



「既にある情報を使って、他者より一歩抜きん出る」

と、同じ作業だと、僕は感じています。
(実際、全く同じようにやっており、違和感がありません)



では、次回もよろしく。



楠浦 拝

2016年10月9日日曜日

特許情報を「最高のミステリー」に変える~読み解く「面白さ」を教材へ

既に「特許情報」の面白さは、なんどもBlogでは取り上げておりますし、塾生さん、OB/OGには耳タコな部分もあるでしょう。

訳あって、ここ数年の「受講者の方々のアンケート」などを見直す機会があり気付いたこと、また、海外の方からの反響などから感じたことも踏まえ、改めて、ここへまとめておきます。



● 「特許情報」を読むことの楽しさを、理解していただける「技術者」が、発明塾以外でも増えつつある

先日の投資部での会話でも、

「やっぱり、特許情報は効率がいいですね」

という話が度々出ていましたし、スタートアップ関連のイベントに出た塾生さんからも、

「知財に明るい人は、とても少ない」

という話もありました。

「希少性」

は、あらゆる競争優位の源泉ですので、あまり注目が集まらないうちに、しっかり「通じて」おいてもらえればと思います。


また、e発明塾の各講座、特に、

本質から学ぶ特許概論
強い特許の作り方

あたりの受講者の方々の感想やご質問を拝見する範囲では、

「特許情報を読み解くことの”面白さ”が分かった」
「特許情報から、相手の”意図を読む”ことの重要性が理解できた」

など、発明塾が最も重視する部分が、

「きちんと伝わる教材になっているな」

ということが、確認できるところまで来ました。


いずれの講座も、

「発明塾での、実際の発明創出」

作業の経験、実例にもとづき、作成されています。


Amazon.co.jpのサイトに移動します)
決算関係の書類も、「ミステリー」として「超一流」です。
特許と同じで、「伝えたいこと」「伝えたくないこと」があるからです。
投資部の皆さんは、しっかり「読み解ける」ようになってね。
発明、特に、「アイデアの目利き」ができるようになりますから。
「誰でも読める情報」から、超過収益が得られることは・・・



● 「特許情報読解」の本質は、公報を読むことではなく「意図を読む」こと

実は、前者の教材については、

「”本質”とは何事だ、けしからん」(???)

のようなコメントを頂いたこともありました。真意は不明ですが

「お前らに、特許の本質を語る資格はない」

というようなことではなかったかと、推測しています。


たしかに、我々は、

「特許の専門家」
「知財に関する、なんらかの資格を有している」

には該当しませんから、

「ド素人集団」
「門外漢の寄せ集め」

で、本質を語る資格はないとみなされても、ある意味、仕方ないのかもしれません。
(多くの”専門家”の方、”資格保有”者の方々が活躍されている業界ですから・・・”お邪魔”だったのかも?)


以前も紹介したように、6年間(7年目に入りました)

「ただひたすら、黙々と発明を創出し続けて」

きたこと、そのための議論を、毎週続け、情報と知見を蓄積してきたことにもとづいて、

「誰でもわかりやすく、すぐに役に立つ」

ツール/教材を提供し、それを自分たちで、積極的に用いて

「さらなる飛躍が、次々と生まれるような環境を準備する」

ことを目指してきました。


これは、何よりも

「実践」

を重視する、僕の哲学によるものです。

「創り、壊し、また創る」

の繰り返しで、

「良い製品が生まれる」

ことを、川崎重工・コマツ・・・などで経験してきたからです。


結果として、発明塾の考える

「特許権の本質」
「特許情報”読解”の本質」

に焦点を当てた、他にないツール/教材になったと自負しております。


幸いにも、海外の方から、この点は高く評価して頂けているようです。

「ブレなくてよかったな」

とも、思っています。


「特許公報を読むのではなく、意図を読んで欲しい」

これが、発明塾式の特許情報読解の本質です。



楠浦 拝


2016年10月6日木曜日

「2周先を行く?」「その先を行く」~10月5日「エッジセミナー」御礼、ならびに、ご報告

10月5日「エッジセミナー」(第2回)も、無事開催することができました。

ご参加いただきました皆様、ならびに、開催に向け告知・ご案内などでご協力を賜りました皆様、篤く御礼申しあげます。


2回目になりましたので、内容も若干改訂し、また、ここまでの一連のセミナーでのご感想を踏まえ、皆様の課題意識に合う、様々なエピソードも随時入れさせて頂く形式といたしました。

セミナー資料棒読みも、あまり面白くないかと思っておりますが、お好みもあり、意見が分かれる点かもしれません。ご意見ご感想などございましたら、各担当へお申し付け下さいませ。

例えば、「あとで振り返って、とてもわかり易いセミナー資料で、助かる」とのご感想を、過去、何名かの方から、頂戴しております。繰り返し読んでいただいたであろうことが伺えるようなご感想と共に、ご意見をいただいた方もあり、大変ありがたく感じております。

内容は、是非、日々の業務でご活用下さい。



当日いただきましたご感想の中に、

「2周先を行っておられる、と感じた」
「その先を見に行かないといけない、と感じた」

のようなものがございました。
(慌ただしい中でしたので、細かい文言は異なる点があるかもしれません)



後者の方は、まさに我々がお伝えしたかったことになります。

ぜひ

「今見ている、まさにその情報の”先”」

へと、目線を進めていたくために、今回の内容をご活用下さい。


また、前者のご感想につきましては、「周回遅れ」などとはよく伺いますが、2周先とまで仰っていただいたのは初めてでした。

少し驚きましたが、あまり先に行きすぎず、一連のセミナーを通じて、皆様にも徐々にご理解いただけるようなご紹介を心がけたいと考えておりますので、引き続き、お付き合いいただけますとありがたく存じます。



他、セミナーで取り上げたエピソードに関連した内容を、


へ記載致しました。

ご参照いただけますとありがたく、また、引き続きお引き立ての程、よろしくお願いいたします。



TechnoProducer 株式会社/発明塾 一同


「君の話には具体論がない」~そう言われ続けた日々を思い出して/塾長の部屋(48)

昨日のセミナーのご報告、並びに、開催に向けご協力を賜りました方々/ご参加いただきました方々へのお礼は、別途(コチラ)で申し上げさせていただき、一点、セミナー中に思い出したことを、以下記載させていただきます。

昨日のセミナーのお話と、一部重複しつつも、補完する内容になります。




(「エッジセミナー」スライドより、一部抜粋)
「数個の、シンプルな考え方」を知っているか知らないか。
そう考えると、今の塾生さんは、僕と同じ失敗はしないんだろうなと
たいへん羨ましくなります。



それは、上のスライド抜粋部に挙げさせていただいた、



「お前の話には、具体論がない」
(当時の言葉を、そのまま記載いたしました)

という指摘を受け続けた当時のことです。



当時の僕の状況?は、


✔ 技術には、それなりに詳しい

✔ やる気はある(体力も、そこそこある)
✔ 経営のことは、字面では知っている
✔ とある「差し迫った」事情により「すぐモノになる、新規事業の提案をせよ」と言われ続ける

と、こんな感じでした。


当時の社長には大変可愛がっていただいていたので、


「とにかく、なにか、すぐモノになる新しい”ネタ”を提案しなければ」


と、


「現業の研究開発の傍ら、新たなネタを探す」


日々でした。実験しながら、待ち時間に調べ物、深夜にプレゼン資料にまとめ、社長が外出する際に同行して、合間に時間をもらって提案する・・・というような日々でした。


結局、モノになりそうな企画、つまり、社長に


「なら、やってみよう」


と認めていただける新しい企画は一つも出ず、その後は、これまた先行きが怪しくなっていた「現業」の打開策に向けて、数年がかりで新たな企画を練り、資金を調達し・・・という展開になりました。

(この話は、コチラの講座で取り上げておりますので、割愛させてください)

幸いなことに、特許情報を活用したおかげで、「現業」の打開策の企画は見事成功し、資金調達・研究開発・事業(一部)売却へと、進みました。


ちなみに、

「単なる、エクセル右肩上がりグラフが、全く無意味」
(どうせ全員、右肩上がりグラフを持ってくるから)

ということも、上記のような業務を通じ、教えていただいたことです。


当時を振り返ると、いろいろダメだったことが、なんとなくわかってきました。


✔ 実は、彼の言う「具体論」が何を意味するかも、よく理解できていなかった。

     (社長の求める「具体」とは何か、それこそ「具体的に」イメージできていない)

✔ とにかく、自分のアイデアを裏付ける「マクロトレンド」を語れば良いと思っていた

  (アイデアと、それを支持する根拠の間にある、ある種の乖離)


セミナー資料としてまとめる作業、あるいは、皆様の表情を見ながらお話しする内容を考えていて、


「いかに、当時、ダメだったか」


思い出し、苦笑いしてしまいました。



こういった経験も、各セミナーで、引き続きお伝えしていきたいと思っております。


下名の経験、および、発明塾活動の集大成を、一連のセミナーを通じ今後も発信していく予定です。


よろしくお願い致します。




楠浦 拝



2016年10月3日月曜日

「課題」の定義/「スマホで視力検査」の時代~第347回/第348回(投資部第3回)

第347回/第348回も、無事終了しました。

第348回は、事情により、楠浦抜きの議論でお願いしました。
ログを確認中ですが、それなりに「濃い」議論をしてもらえたようです。
投資部の方は、OBメンバーもいますので、あまり心配せずに任せられる体制になりつつ有るなと、実感しています。


さて、第347回の振り返りを行っておきます。


● 「課題」の定義が大事~発明は「課題-解決」

「発明提案書」をどう仕上げていくか、というところが、1件目の持ち込みに対する討議のポイントになりました。

詳細は、上記リンク先に譲りますが、

「発明テーマ(お題)における、”課題”の位置付け」
(発明が解決する”課題”が、お題において、どのような位置を占めるか)

を明らかにするために、

「背景」



「課題(Problem being addressed)」

の切り分けを、巧妙に行う必要があります。

課題はもちろん、

「T/O(トレードオフ)」

で。


● まず「エッジ」を素早く見つける/「原理」を把握する~発明を「効率よく」

今回は、「制約思考セミナー」でも、一部事例として取り上げた「眼」についての発明テーマです。

まず、「エッジ」を素早く見つけるための作業を行いました。

見つかったエッジ情報の一つが、以下です。


(Youtube より)

「スマホで視力検査」が、世界にどのようなインパクトを与えるか、楽しみですね。

我々も引き続き、アイデア出しを行っていきましょう。



楠浦 拝