「発明塾®」へようこそ!: 10月 2018

2018年10月20日土曜日

IT系も含め、研究者・技術者が知財に明るいと何がよいか~発明塾第456回/第457回

締切間際ということで、慌ただしく発明提案書の仕上げをお願いしました。

やはり、

「発明には締切がある」

方が良いですね。
(締切がないと、ダラダラやってしまう)


無事提出、お疲れ様でした。

次のテーマが来ていませんので、しばらくは、各自の持ち込みを討議することになる予定です。発明の振り返りも大歓迎です。


さて、先々週あたりから、偶然なのでしょうが、何名かの方に

「(大学などの公的機関所属の方も含め)研究者・技術者が知財に明るいと何が良いか」

というお話を、個人的に、あるいは、セミクローズな場でお話する機会に恵まれました。


それも何故か、AIやブロックチェーンなど

「IT系」

の、私よりもずっと若い方々に対して。


先日、弊社OBの湯浅さんにも、AI/IoT領域の知財戦略はかくあるべし、というお話をしていただきましたが、僕は

「企業の話ではなく、個人として」

どんなメリットがあるか、自身が

「会社や組織の力、ネットワークを使える可能性が広がる」

話などを、しました。若い方に

「企業の戦略としてかくあるべし」

というお話をしても、あまりピンとこないでしょうし。

個人的には、死亡事故をなくしたい、という運送会社の社長が
「コンテナに、子供が書いた絵を印刷する」
というアイデアが好きです。家族のことを考えれば
誰でも安全運転になりますよね。
「安全運転!」という標語より、効果がありそうです。
いわゆるひとつの、発明ですね。


IT系の方については、5年ほど前までは

「特許取った頃には、その技術は古くなっていて、全く意味ないから特許は無意味」

という意見が、私の周りでは主流だったような気がしますが、ここ2-3年で、

「アイデアの段階でしっかり特許をおさえて、事業化を有利に進めたい」

という意見が、大勢を占めるようになってきたように感じます。
(私の周りの話です)


起業する方、フリーランスも含めた個人の方、企業内の研究者/技術者の方、などから個別に問い合わせがあったり、お会いした際にご質問があったり、というケースが増えています。


知財に明るいと何が良いかは、個々人の置かれた環境によって千差万別なので、一般論をここで振りかざすことはしませんが、
(愚にもつかない反論に振り回されて時間を浪費したくない、ということもあります)

「急速に、時代が変わってきたなー」

という感想を持っていることだけ、お伝えしておきます。


興味がある方は、お会いした際にでも、ご質問ください。

10分もあれば、済む話です。


「ノルマで特許を出す」

時代ではなく

「研究者個人が、自身のキャリアの武器にする目的で、企業の特許出願制度を利用する」

時代が来ています。

「ガンガン特許提案し、知財部のリソースを、自身の研究の事業化に利用しまくる」

時代だとも、言えます(笑


そういう頼もしい研究者・技術者が、どんどん増えてくる予感がした、この1ヶ月でした。



楠浦 拝




P.S.
ノルマ特許の話は、投資家の方向けセミナーでも、さんざんしましたし、質問も多数ありました。
おおよその見抜き方はお教えしましたから、ノルマ特許が多そうな企業への投資は、今後は、慎重に検討いただければと思っています。魅力的な人材を惹きつけ、雇用し続けられるかという、研究者への動機づけはもちろんですが、資本効率という意味で、???がついてしまいますから・・・。


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2018年10月7日日曜日

なぜ発明「塾」なのか~「AI・IoT時代の知財戦略セミナー」兼OBOG会報告

報告遅くなりましたが、発明塾OBOG交流会を兼ねた、セミナー+飲み会を、9月29日に開催しました。


講師は、弊社OBである、IPTech特許業務法人の湯浅さんにお願いしました。

テーマは、僕自身の関心である

「AI、IoT領域の知財戦略と、最近の法改正」

でした。


詳細興味ある方は、ぜひ、湯浅先生に(笑


どこかにも書きましたが(また書きますが)、ここ5年ほどは足場固めの時期として、あまり外の情報を入れず、特に業界(知財)の人には、誰にも会わず、粛々と仕事をしてきました。

たぶん、知財のセミナー参加はゼロ、知財関係者の飲み会にも参加はゼロ、ひたすら今の仕事と会社の仕組みを改善する業務に邁進していました。


外の集まりには、個人投資家さんの集まりぐらいにしか、出ていません。
(これは、次の飯のタネ探しであり、種まきです)

10年経って、再度、ゼロからのスタートということで、今後は発明塾OBOGネットワークの活性化も含め、色々手を打ちたいと考えています。



● 発明「塾」は、OBOGネットワークに本質がある~恩師のお別れ会で改めて感じたこと


発明塾は、僕が高校時代に学び、大学時代に教えていた学習塾

甲斐塾

を、一つのモデルにしています。
(もう一つは、Deep Springs College ですね)

教えているのは発明(?)ということにしていますが、実際は、技術屋、企業家として必要なことはすべて教えることにしています。
(教えるというよりは、学んでもらえるようにしています)


先日、創業者の甲斐さんの、お別れ会が開催され、参加させていただきました。
会には、講師含む卒塾生、約400名が参加しました。60年以上続いている塾ですので、これでも、ごく一部の人しか集まっていただいていません。ちなみに、私が所属する33期生は、当日、最大参加人数を誇っていました。塾の歴史的にも、ちょうど中間地点ぐらいの年代でしたね。

甲斐塾のFacebookページ


元講師として、教え子さんの元気な顔をみて近況を聞きたい気持ちと、なかなかお会いできない、私が教わった元講師の方々とお話をさせていただきたい気持ちが交錯して、あっという間に時間切れになってしまいました。

ほとんどお話できなかった同期の皆さん、ごめんなさい(笑


僕が、発明塾を、発明スクールでも、発明道場でもなく、発明

「塾」

にした大きな理由の一つは、僕の中で

「塾とはこういうもの」

というイメージが、甲斐塾での

「ディープな経験」

で、既に染み付いており、それを、自分の能力や仕事の範囲内で、まずは再現できないかと考えたところにあります。


不勉強なため、

「塾とはこういうもの」

についての一般論、あるいは、辞書的な意味はわかりませんが、僕の中には明確なイメージがあります。


先にも書きましたが、この5年は、足場固めに注力していました。あと1割ほど残っていますが、それを仕上げつつ、次のステップに進みたいと考えています。

そのうちの一つのテーマが、

「発明塾OBOGネットワークの活性化」

です。今回のセミナーは、その第一歩、と位置づけています。


法則がわかっていても、できない、
そんなもんだと思います。
膨大な実践知の積み上げが必要な領域です。
実装能力が問われます。



僕の考え方の一つに

「仕事をすればするほど、アセットが蓄積され、その利回りで、複利的にアセットが増えていく仕事をする」

があります。

「ネットワーク効果」

とは、そういうことだと思っています。参加者全員のアセットになります。

「互助」

という発明塾の精神も、加速させたいと思っています。


やることはたくさんあるのですが、まずは、これまで通り、一つ一つ、積み上げていきたいと思っています。


京都でも、なにかイベントをやりたいと思っています。

誰か、話題提供してくれる人はいますかね?
発明塾らしい話題であれば、何でもOKです。


活発に近況報告し、そこから次の何かが生まれるような場にしたいと考えています。


では。



楠浦 拝




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2018年10月4日木曜日

京都大学講義「ものつくりセミナー」で紹介している参考書たち(2018年度版)

今年も、京都大学で「ものつくりセミナー」を担当します。
(10月10日です)

【大学での講義告知】本年も10月10日(水)京都大学機械系「ものつくりセミナー」でお会いしましょう

先日、ある方に、ご参考資料として当日の配布資料をお送りしたところ、

「参考書籍が非常に参考になった」

とおっしゃっていました。
(社会人の方です)

そういうこともあるということが分かりましたので、以下に、当日のスライドを抜粋して、参考書籍紹介に代えさせていただきます。
(手抜きで失礼します)










2018年10月1日月曜日

「その問題は、すでに誰かが解いているはず」と考える~第454回/第455回

仕事が立て込んでいたため、種々報告が遅くなりました。
まず、発明塾(学生版)、まとめて2つ報告します。

第454回(9月20日)、第455回(9月27日)の発明塾は、引き続き、これまでにないお菓子についての発明を討議しました。

気づきをいくつか。



● 「難しそう」で思考停止しない


あるアイデアについて、

「実現が難しそうだな」

と思ったら、そこからが本当の

「発明」

が始まるということです。

「難しそうですよねー」

で思考停止しないでね、ということです。


僕の場合は

「自分が難しそうと思っているだけで、世の中の人には簡単な問題なんじゃないか」

と思うことにしています。実際、そうであることが多いからです。

「難しそうやなー」

と思っても、調べると、すぐに解決策が見つかる、ということの繰り返しだったからです。

要するに

「僕が頭が悪いだけ」

なのです。


世の中には、素晴らしい技術を開発している人が、山のようにいます。

「誰かが、この問題を(単体としては)既に解いているはず」

と思って、99%間違いないです。

「単体として」

というのは、今取り組んでいる分野、文脈、アイデア、発明の中で、ではないが、別の分野・・・で解かれている、という意味です。

自分にとっては難しいが、ある人にとっては簡単なはず、そう思えるかどうかで、解決策が見つかるかどうかは決まります。自信過剰に陥って、

「僕が難しいと思うものは、まだ誰も解いていない、人類にとって難しい問題だ」

などと思い込まないことです。


謙虚さ、は、あなたに力をくれます。難しいと諦めるのではなく、

「この程度のこと、誰か解決してくれてるはず」

そう思い、その人を探しましょう。


おすすめの本でした。読み始めました。



● 「遠隔文字参加」も悪くない


何が悪くないか、また別途、直接話したいと思いますが、備忘録として書いておきます。

1つは

「皆さんが思考停止にならない」

ことです。僕があまりにやり慣れているので、

「発明の手順」

について、ほとんど説明無しで発明塾の討議を行うことが多くなりました。

設立当初は、僕も手探りの部分が有ったので、都度進め方を確認しながら進めていましたが、今は、完全に無意識のうちに進めています。

無意識で進めていることにすら、気づいていません。

途中で手順などを説明し始めると、僕の思考が途切れ、アイデアが止まってしまうという弊害もあるからです。


少し前までは、それを補うため

「終わってから、振り返る」

ことにしていました。

たまには、やってもいいかもしれません。

僕がいなくてもできるので、皆さんで振り返ると良いでしょう、そのためのログであり、録音です。


たまに僕が

「この後どうするんがいいんだっけ」

と、かなりわざとらしく質問することがありますが、わざとらしいやり取りは無駄だと僕は考えているので、

「皆さんが考えないと進まない環境」

でやればいいのだ、と思ってます。

それが遠隔です。


ちなみに、ここ数回はたまたま外出が重なっているだけで、意図したものではありません。

「ケガの功名」

とは、こういうことを指すのでしょうか。
(ちょっと違うか)



● 「本を紹介し合い、感想を共有する」という文化を復活させましょう


紹介されたからと言って、無理やり読む必要はありませんし、紋切り型の感想文は不要です。

しかし、過去塾生の一部は、互いに本をよく紹介し合い、また、読書メモを共有回覧していました。

読書メモを作成する過程で、書かれている内容が記憶に定着し、理解も進みます。

僕も、今でも、これはいいなと思った本は、社内にメモを残しています。
(メールを含め、僕が作成している各種のドキュメントは、原則として、全メンバーがリアルタイムで閲覧できる仕組みになっています)


では、次回もよろしく。

次回も多分、遠隔文字参加です。



楠浦 拝




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