「発明塾®」へようこそ!: 2月 2011

2011年2月27日日曜日

発明プロセス

第一回集中講義での話を元に、少しまとめておきます。

1.予習
RFIを読む。関連する情報をググる(画像検索)。関連特許にさっと目を通す。特許分析結果(楠浦配布)をじっくりと「分析」し、狙いを定める。

2.準備
予習でわかったことを、マインドマップに描いていく。「何につかう?」「何を?」「どこでつかう?」とか「だれが使う?」「いつ使う?」とWh系の自問自答をしながら、思いついたことや調べたことも書き込みます。「具体名詞」が出てくるような自問自答をします。とにかく、具体的に広く考える。具体名詞で考える。
HowやWhat kind of 系の、抽象的な答えしか出ない質問は、とりあえず封じておいてください。


3.当日のブレスト
ブレストは「広げる」ためのものですので、マインドマップを見直しながら、適宜ググり、特許も見なおし、思いついたことはつぶやきまくってください(SKYPE)。マインドマップにも、適当に書きこんでください。まずは「ありそうなこと」からでOK。「それがあるならこれも」と、どんどん広げていきます。「その先にはこんな世界が」「こんな課題もあるはず」と、だんだん未来に行くはずです。
この段階では、お互いの発見や情報をもとに、「セッション」として情報やアイデアを投げ合ってください。

4.ブレスト後
出た「アイデア」もしくは「既存の面白い技術、関連情報」「異分野の使えそうなネタ」などから、ひとつを選びます。いくつか選んでもいいですが、いずれにせよ順番に作業することになります。

選んだアイデアを、ノートに書きます。マインドマップソフトは忘れてください。ここからは収束思考なので、マインドマップソフトは不要です。ノートに手書きか、PCでテキストで十分です。ここから作る絵を「ロジックツリー」と呼びます。

選んだアイデアが「何を解決しているのか」を考えます。Whyです。なんでそんなことしてるの、なんでそうなってるの?です。つまり「課題」に上位概念化します。
ここで注意は、そのアイデアであって、他のアイデアでない理由、できるだけ狭い概念の課題を抽出することです。たとえば「4本足の椅子」なら「4本であって3本でも1本でもない理由」で考えます。この制約条件により、思考を発散させることなく、課題を抽出できます。複数の課題の可能性があるときには、それぞれについて、以下の工程を行えばいいでしょう。
たとえば、椅子の足が4本である理由は「ケツが四角いから」「真ん中に荷物を置くから」「足が入るほうがいいから」いずれも、1・3本ではなく4本である理由になり得ます。

そして、それを実現(それに対応)する他の方法はないのか?(How)と考えます。既存技術がすでにマインドマップにでていれば、再度手元のロジックツリーに書き加えます。適宜カテゴライズし、中間概念を追加しても構いません。(微生物と昆虫を「無脊椎動物」など)

追加した中間概念と並列な概念を、どんどん書き加えていきます。その概念から具現化できるアイデアや、調べた既存技術(調べる)があれば、これも追記します。

この部分を、説明スライドでは「強制発想」と呼んでいます。並列概念の展開と、その具現化(ここもHow)を行う、ということです。

この段階で、アイデアを出したら先行技術をすぐに調べるといいでしょう。先行技術があれば、それはアイデアではなく既存技術になります。

この段階で、あまり先行技術がない概念(切り口と呼ぶか)が見つかればしめたものです。先行技術が大量に出てくるアイデア、もしくは概念ばかり、であれば、そこは捨てるか(別の土地へ移動)、より小さな概念にブレークダウンできないか考えましょう(ニッチへ移動)。

あまり先行技術がない概念・切り口(将来有望な空白地帯)が見つかったなら、その切り口を具現化できる、異分野技術がないかを探します。具体的には、その切り口(課題もしくは解決法のアプローチ、概念)を使っている異分野技術を検索します。


また、これを、選んだいくつかのアイデアで行うと、あまりやられていない課題があぶり出されます。


これを高速で回す。実際には、いくつかを同時並行的にやってます、私は。そのなかで、より「やられていないけどマーケットがデカそう」なものを残して詰めていってます。


こんな感じかな。この後は、簡易SRを作成する作業です。

5.簡易SR
この段階で気をつけて欲しいのは「端的で明確な日本語で、その発明の本質を表す」ということです。他のアイデアではなく、それでないといけない理由、それを自信を持って世界に宣言できるかどうか。それが誰にでも明確にわかる例、特に課題の例をあげることです。
つまり「XXのような既存の技術ではAAは出来ませんよね。でも私の技術ならAAが簡単にできます。これができると、BB、CCのような膨大な市場があります」って感じ。

この辺は、実際には個別討議で、僕と問答するほうが早いかな。

2011年2月26日土曜日

発明塾@京都 集中講義第一回開催報告

本日無事集中講義第一回を終了しました。懇親会までの方、お疲れさまでした。皆さん無事に帰れましたか?

さて。

今回のトピックは、

・特許とは
・特許情報検索(キーワード検索、インデックス、分類記号)に習熟する
・マーケティングの考え方

と言いました。でも、一番大事だったのは「数字が意味するものを読む」ということでしょうか。

・件数が少ないということはどういう事を意味するのか?
・多くの企業が1件づつ出している10件と、1社で10件の意味の違い。
・数が増えていること、減っていることの意味。
・特許件数が意味するもの。
・発明者数が意味するもの。
・キーマンは誰なのか、どうやってわかるのか。

ひとつの鍵は「共起分析」です。アマゾンもグーグルも、基本はこれですよね。

数字は、企業の活動の結果が示されたもので、その活動には必ず「意図」があります。
数字から企業活動、その意図を読む。これが情報分析です。(intelligence)

数字から意図を読む、データから相関性を読む。

それが「情報」です。

「こういう数字になるということは、こういう活動の結果に違いない」という仮説が必要です。

仮説と検証。

これが情報分析の基本であり、マーケティングや発明の基本です。情報分析が出来てはじめて「先読み」ができます。そして「先取り」発明が出て、「先取り」特許が取れるのです。

今回やったことは、今後の発明活動の基礎になります。

必ず復習し、繰り返し訓練し、習熟してください。ツールの段階で「えーっと」と詰まっていては、アウトプットはでません。無意識にできるようになるまで、繰り返し練習すのです。脳は鍛えるものです。スポーツと同じです。

理屈だけで止まっていては先へ行けません。「身体知」になってはじめて、「わかった」と言えるのです」。

「わかる」まで、繰り返し繰り返し、やってください。

次回は、実際に発明をやります。しかし、今回のことが「わかって」いなければ、ありきたりの発明しかでません。一週間で、みっちりトレーニングしてください。


<補足>
終了間際にやった、「課題」を掘り出すための「上位概念化」もしっかり訓練してください。
足が4本の椅子。その「上位概念」の「課題」は、「足が4本であって3本でも2本でも5本でもない理由」でなければなりません。それよりも大きな課題を設定しても、その後の作業が発散するだけです。

ブレスト時は発散させるさせるためにやるのですが、その後にやる作業である「ロジカルシンキング」による「発明創出」は、収束させるためにやるものです。できるだけ小さい概念の課題を「掘り出し」、それについて再考することがポイントです。一見同じ「ような」図を書く作業でも、意味が全く違います。

発散させるのは簡単です(好きなコトをいえばいい)

収束させるための作業が、難しいのですが、重要です。収束しなければ答えは出ません。
収束させるための訓練に時間を割いてください。これは、一人で自問自答しながらの作業になるので、緻密な論理的能力と、何時間も考え続ける知的体力が必要です。頭脳を鍛える、とはこういうことです。

自問自答できない人は、最初は楠浦が相手になりますので連絡ください。みっちり詰めてあげます(笑)
>最近は、この過程は電話会議でほぼOKと分かりましたね。

ここで「この課題はだれもやってないよね、たしかに」という課題が出たら、ほぼ「勝ち」です(笑)

いつも言うとおり、発明とは「課題の発掘」なのです。誰もやっていないけど、言われてみれば当たり前、なんでだれもやってないんだ。そういう視点(課題)をどう掘り出すか。

これに尽きます。

では、次回も宜しく。予習と復習はしっかり。

2011年2月24日木曜日

発明塾@京都 第27回開催報告

発明塾@京都第27回も、無事終了しました。参加者の皆さんお疲れ様でした。今回は、なんと13名!
13名となると、いろいろ運営に工夫が必要、ということも分かりました。

あと、ちょうど入試ということで、20年前を思い出しました。

さて。

個別討議でも全く同じことを言っていたのですが、そのアイデアは、本質的に、結局のところ、何の課題を解決してるのか、を考えるところから、全てが始まります。

本質的と言うと、一番大きい概念(広い概念、抽象的な概念)に持って行く人が多いようですが、ここでは、一番狭い、技術的課題を掘り出す、捻り出すのだ、と考えて下さい。トンチに近い感じかもしれません。いい課題は、なかなか思いつかないかもしれないが、言われてみたら、当たり前。

出てきたアイデアから一度視点をひいて、それが解決する課題を導きだす。この課題も、何通りも考えられますから、どの課題について考えるのがいいのか。その選び方も重要です。選べなければ、かたっぱしからやってみるしかありません。

WhyとHowで、課題抽出と具体化を繰り返す。特に、Why、上位概念になる 課題 の抽出が重要です。

しばらくは、毎回このトレーニングをしたいと思います。

なんでそのアイデアなのか。

それは他の方法でできないか。

たったこの二つだけです。

訓練すれば必ず出来ます。

2011年2月20日日曜日

発明塾@東京 第40回開催報告

今回の日曜開催は、3名のゲストを迎えて開催しました。

今回のテーマはSmart Building 。何をSmartにするといいのか、というところから始まります。なかなか面白い切り口がいくつか出たかな、と思います。

終了間際になって、話題が「量子力学と生物」「量子もつれ」に発展(僕にとっては懐かしい:高校時代に量子力学を理解するために、いろいろな本を読んだので)

シュレディンガーの「生命とはなにか」

読んでない人は、読んどいてください。

次回は、Prefab関連ともう一つ、をトピックにしたいと思います。

では。

P.S.
終了後、空間認識力を高めるために、私が中学の時にやらされたトレーニングを紹介。
書籍としては以下がある。

設計、というのはすべての形状、寸法に説明責任を持たないといけないがゆえに、日頃から「なぜ」を鍛えられる、非常に面白い仕事、という話もしました。

2011年2月17日木曜日

発明塾@京都 第26回開催報告

今回も7名の学生さんと1名のゲストで開催しました。

テーマは「天然素材の建築(土木)への応用」。
なかなかいいアイデア(の元)が出たのではないでしょうか?

いつも言っていますが、塾で行うブレストでは「アイデアを広げる」事を目的にしていますので、すでにありそうなものも、実現できなさそうなものも、すべて挙げるようにしています。

その中から「インパクト(市場)があって、シンプルで、実現可能(5年ぐらい?)な物」を、選んでもらう必要があるのが一点。

また、選んだアイデアに固執せず、そこから再度課題へ逆戻りし「そもそもこのアイデアは、何を解決しているものなのか、その本質はなんなのか」を考え(上位概念化)、再度そこからアイデアを出す(下位概念化、具体化、代替案の創出)必要があります。

それらを全て検討した上で、一番良いと思われるアイデアについて、詰めていくのです。

「面白そうな」アイデアにすぐに飛びつかない。

これが鉄則です。

また、「下位概念化」は、網羅的に行うこと。得意分野(例えば生物)などに偏らず、物理化学生物、大規模小規模、再度広くアイデアを出します。この段階で、再度調べることも重要でしょう。課題が分かっていますから、その課題を解決する手法として広く用いられている物、すでに誰かが考えている物、異分野で同じ課題に取り組んでいる物、を調べ上げ、整理することで勝手に具体化出来ます。もちろん、それを見て「もう一歩」アイデア出しを行うことも重要ですが。

アイデア→上位概念(というか課題)の抽出→既存技術、代替技術、「異分野技術」(これが重要!)→NEWアイデア

こういうサイクルです。

てか、これ初期の頃に話しましたよね。皆ノート取ってますか?復習してますか?(小学生レベルの話)

大学生が当たり前にやるべき事についていちいち指示しませんので、言われなければやらない、ではなく、言われないことは当たり前なんだと思ってやる、でお願いします。

では。


2011年2月10日木曜日

発明塾@京都 第25回開催報告

今回は、7名の参加者と1人のゲストで開催しました。テーマは、熱エネルギーの活用です。

太陽熱はもとより、地熱や工場の排熱など、未利用の資源ととらえて、活用するためのデバイス、用途などを考えました。

いつものことですが「さすがにこんな事やってる奴はおらんやろ」というようなことも、意外とやられているれています。それを踏まえて、さらに先を読む、今後何が求められるのか、何が課題になるのか、という「先読み」が全てです。

調べたことを元に「先読み」をする。こうなるはずだ、こういう課題が出るはずだ、それを考えるのが発明です。いつも言うように、発明とは「仮説構築と論理的実証」の繰り返しです。

こうなるんじゃないか。こういう課題が出るはずだ。それはこうやれば解決できるはずだ。

あるところからは、非常に孤独な知的作業なのです。アイデアを仕上げるには、強い意志と、知的忍耐力が必要とされます。


そしてなんと、本日2月11日は「エジソンの誕生日」。彼が生涯に取得した1300件の特許の裏にあった苦労と孤独に思いをはせ(もちろん、そもそもその作業を彼は楽しんでいたはずですが)、また、彼の人類への貢献に敬意を表して、この3連休は発明に勤しんでください。

そして、彼に続いてください。

彼を越えるのはあなたです。

2011年2月6日日曜日

発明塾東京 第39回開催報告

第39回も無事終了しました。

今回は、塾生さん一名のマインドマップをもとに、広げ気味で討議しつつ、実現可能性な落とし所を探りました。結果的に、少し違うところで実現可能なソリューションが見つかりました。行き詰まったときは、少し課題をずらしてみる、制約条件を見なおしてみるのもポイントです。

また、後半は過去の発明事例を紹介しながら、次回討議するテーマを決めつつ、フリーにディスカッションしました。ここでも面白そうな切り口が幾つか出ました。次回議論するテーマではありますが、すでにSRが書けそうな感じで、楽しみです。

ということで、次回も宜しくお願いします。

次回の日曜開催は、2週間後の2月20日(日)18:00-となります。次回までに、各自で進めておいてくださいね。

ではでは。

2011年2月3日木曜日

発明塾@京都 第24回開催報告

今回は学生さん5名の参加で開催しました。
個別討議も2名、それぞれに開催し、前回のアイデアをある程度詰めてきてくれた上で討議しました。討議していくことで、本当の課題、発明の本質、これから考えなければならない点がみえてくる。

そういうものです。

なので、まずは討議できるレベルの下準備(簡易SRの作成)を行い、どんどん個別討議に持ち込んでください。毎週1つは形にする。その中から、ほんとうにいい発明がでます。ひとつのアイデアを大事に温めることも必要ですが、まずは数を出していく。その中から、自分のスタイルを作りあげてください。

毎週1つ形にして、53件。多い?少ない?

僕からすると、少ないと思いますが・・・1万時間の法則って知ってますか?

さて、今回は、後半は特許制度と特許検索の説明をしました。まず、特許制度がわからないと検索できません。また、特許になるアイデアがなにか、も分かりませんし、先行技術文献として特許を読むことも難しいでしょう。

そもそも、自分のアイデアが「独自性があるか」どうやって判断するのか?他の人がすでに考えていないか、調べるしかありません。

塾でやったことを、よく復習し、理解し、「これは特許になるで」というところまでアイデアを詰める。これを次の目標にしましょう。

出席者が、今回の講義のメモをMMで取っていますので、塾生にはメールに添付して送ります。

では、次回も宜しく。