「発明塾®」へようこそ!: 1月 2019

2019年1月30日水曜日

もっと「タフ」なLi電池セパレータを作るには?~発明塾第468回/投資家セミナー&投資部(投資部50回/発明塾469回)/京大東京工化会での講演報告

立て続けにイベントが有ったため、まとめての報告となることをご了承下さい。

本Blogは、あくまでも塾生、ならびにOBOGとの情報共有や、討議の補足・振り返りのためですので・・・その役をまずは果たすことにします。
(つまり、起こったことを記録していく)


● Li電池のセパレータに「これから」求められること ~ 1月24日の発明討議

現在取り組んでいるテーマ、Li電池のセパレータについて、ここまで見つけた

「エッジ特許」

を整理した

「課題-解決ロジックツリー」(弊社商標)

を元に、議論を進めました。


エッジ特許の一つとして

「エマオス京都」

の登録特許に目をつけました。

(高分子多孔質体およびその製造法)


ここで、スルーしてはいけなかったのは、彼らが

「スピノーダル分解」

という、耳慣れない技術を用いていることです。

「なぜ、この技術にこだわらなければならなかったのか」

ここに、ヒントが有りました。


予備情報として、前回、

「3DOM」

という、とても均質な3次元多孔質体を作成できる技術を持つベンチャーを見つけたことが、役に立っています。

(3DOMの技術)


「分析とは比較」

であり、発明の分析の場合、発明同士の関係を、

「技術進化の流れ」

として、捉え直すことが重要です。
(詳細は、以下参照のこと)

(課題解決思考(2))


比較して考えれば、パッと見で、さほど安定的に微細多孔質を形成できそうにない、スピノーダル分解を使っていることに

「違和感」

を感じるはずです。
(僕は感じました)

どう考えても、3DOMの手法のほうが、多孔質の品質管理という点では優れているでしょう。
(技術の筋が良い)


「キヤノン特許部隊」、通称、「丸島本」の一つ。
私も丸島ゼミ生の末席の末席におります。
特許ではなく、「発明本」として読んで欲しいですね。
ゼロックスの特許網を打ち破る「技術進化」がどう生まれたか。
発明塾では、この本をヒントに「3M社」の特許網突破に挑みました。
そして「素晴らしいアイデア」が、いくつか生まれました。


しかし、共同出願分析や引用-被引用解析を行った結果、エマオス京都の技術は、どうやら今後のLiイオン電池用のセパレータ製造技術の一つとして、ある程度注目されている(いた?)ようだ、ということもわかってきました。


では、なぜスピノーダル分解か。

答えはどうやら

「材料(エポキシ樹脂の利用)」

にありそうだ、という仮説が得られましたね。

「耐熱性」
「強度」

という点から、オレフィン(熱可塑)ではなく、エポキシ(熱硬化)を使いたい、そういう

「意図」

があるのではないか、という

「仮説」

ですね。
(まぁ、考えれば当たり前ですが、検証確認、よろしくおねがいします)


状況証拠として、例えば

「セラミックコーティング」

されたセパレータが見つかりましたね。

(セルガードの特許)

他にも、複数のポリマーを用いたり、微粒子を配合したりと、いろいろな取組みがなされていました。

何の予備知識もなく、専門分野ではないところで、1ヶ月ほど毎週ちょこちょこと作業してここまでこれれば、まずは上出来でしょう。


エッジ特許を

「深く読み込み」
「比較して技術進化の流れで捉え直し」
「感じた”違和感”を手掛かりに、さらに情報を深掘りする」

たったこれだけの作業で、全く専門外の分野でも、驚くほど短い時間で、ある程度の課題を把握することができます。


では、この先

「どのような技術進化が予想されるか」(起こせる可能性があるか)

異分野技術をいくつか参照し、ヒントが出ました。

次回、そのあたり議論できるといいですね。


どういう知識とテクニックを使うのか、ということについては、以下を再度確認しておいて下さい。
(OBOGは、会社の教育訓練補助の制度などをうまく活用すると良いでしょう)

(発明塾式「共通言語」の作り方 ~ エッジ情報/特許情報が活用できる「思考回路」を創るために)



あとの報告は、手短に。


● 第3回 知財情報活用セミナー「医療機器」(1月27日開催)

講義で、対象企業について一通り紹介した上で、OBにも参加してもらい、投資部で日々行っていることを、そのまま行いました。スピード感や使っているツールに多少の差はありますが、投資部っぽいことが、少しできたかなと思ってます。

ご参加いただいた方、ありがとうございました。

もっと

「どんどん、その場で投資アイデアが出る」

感じにしたかったのですが、まずは今回の情報をしっかり読み直し、よい投資アイデアにつなげて下さいませ。

特許情報の解読は、慣れるまでは大変ですが、

「他の投資家が見ていない情報」

という点において、大きな武器になる可能性がある情報です。
(前回お話があったように、短期から長期まで、いろいろな使い方ができます)

(発明塾式「共通言語」の作り方 ~ エッジ情報/特許情報が活用できる「思考回路」を創るために)

も参照いただきながら、少しづつ実力をつけていっていただければありがたいです。
(繰り返しですが、企業人の方は、会社の教育訓練補助制度をうまく活用下さい)

次回の予定は未定ですが、また開催させていただきたいと思っています。

日々の作業でいいネタを仕込んでおきますので、しばしお待ち下さいませ。

それまでに、相場が少し良くなるとよいですね。
(取り上げた米国企業については、現在決算が続々出ているので、私も週末にでも読んで、わかったことを共有していきたいと思っています・・・)



● 京大東京工化会での講演「発明塾の創り方」(1月25日開催)

私は機械系の卒業生ですが、ご縁有って、化学系のOBOG会で話題提供することになりました。
所属学科でないことからくる気楽さ故か、あるいは、化学系の方々の懐の広さ故か(こっちでしょうね)、皆さんとフランクにいろいろお話をさせていたくことができ、大変楽しかったです。

お話した内容は、私のキャリアの話です。

千葉大学の学生さんも3名参加されるなど、大学や学科の枠を超えた、細かいことは気にせずオモロい人達で盛り上がろう、という会でした。

比較的若い方向けの内容であったかなと思っていたのですが、ベテランの方々にも、非常に熱心に耳を傾けていただいたことも大変印象的で、そのお一人から

私とこれまでの生きてきた密度が違う。
最近、流行のチコちゃんの言葉を借りると、「ボーっと生きてんじゃねーよ」と
自分に言いたいと申し上げておりました。

というご感想を、後日お寄せいただきました。

「まだまだ学ぼう、成長しよう」

という意欲あふれる方が多かったのかもしれません。

であったとすれば、それは素晴らしいことです。

投資セミナーでも度々お話しましたが、人生100年時代、その気になれば、まだまだいろいろやれます。一緒にやりましょう。

次回も、聴講者として参加する予定です。



楠浦 拝




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(楠浦からのレターが、無料で週に1‐3回届く、とお考え下さい)

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2019年1月10日木曜日

発明塾@駒東/「地方創生」と「ブロックチェーン技術」 ~ 発明塾第467回

今回は、2011年に

「発明塾@駒東」

を企画し実現してくださった、

「中山さん」

の持ち込みでした。


発明塾@駒場東邦開催いたしました!


具体的には

「発明塾@駒東第2回」

のお話、および、中山さんが現在、事業として推進している

「仮想通貨」

技術と

「地方創生」

の関係について、軽く討議を行いました。


「ケインズとハイエク」はハイエクの思想に触れるには
ちょうどよい本だと思っています。
対照的とされるケインズとハイエクの思想について
違いと共通点がうまく解説されています。
現在の私は、どちらかと言うとハイエク派なんでしょう。
「隷属への道」は、ハイエクの代表的な著作です。



中山さんには、12月の例会後の懇親会にも参加いただきました。

大変エネルギッシュな方で、

「ちょっとぶっ飛んだ」

発想の持ち主ですが、皆さんには良い刺激になったのではないかと思います。

彼には、いつも感謝しています。


時間と情報管理の関係で、細部は割愛しますが、いずれも楽しみにしています。

@駒東の第2回、ぜひ実現したいですね。



楠浦 拝




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2019年1月6日日曜日

2019年もよろしく/「失敗に学ぶ」とは?~発明塾第466回(投資部第49回)

今回は投資部枠での討議でした。

バイオベンチャーCEOの方と

「細胞治療」

の最新動向についてレクを受けながら、近況意見交換を行いました。


私が注目しているのは、以下ニュースの件です。



業界的にも、やや驚きのニュースだったようです。

セルジーンは、少し前に同業他社を買収していますので、M&A合戦になっていると理解しています。

これまでに無かった産業が出てきている、と捉えられる細胞治療業界の今後の動向に、引き続き注目していきます。



● 「失敗から学ぶ」とは、そもそも、どういうことか

年末年始を挟んだこともあり、年末年始どうしましたかなどというお話もしました。

「昨年を振り返って、今年どうするか・・・・」

というところは、皆さん&毎年だいたい同じなのですが、私が、

「発明塾を、2010年に設立して以来、9年間」

で変わった(変えた)ことの一つに

「失敗からどう学ぶ(?)か」

があり、そのお話をしました。


「アウトプット大全」「小さなパン屋が社会を変える」
いずれも現在、読んでいる最中です。
僕は基本的に、時々、とてもゆっくり本を読みます。
その方が、よく理解できるからです。
アタリマエのこと言ってますかね(笑



「失敗から学ぶ」

には、いろいろな意味というか、方法というか、がある気がしています。

その一つを、お話しました。



① 同じ失敗をしないようにする

これが、一般的な考え方だと思います。

「システムを改善」

して、同じ

「ミス」

が起きないようにする、という考え方です。

工学的な考え方だと思います。

私も、技術屋として、上記の考え方を叩き込まれて育ちました。

感覚的ですが、

「80%程度の、日頃遭遇するちょっとした失敗」

には、効果を発揮する考え方だと思います。



②それが失敗ではないことに気づき、戦略を変える

発明塾を始めて、学んだことの一つです。

学ぶ前は、塾生さんの

「失敗」(?)

に対し、気をつけろだのチェックリストつけろだの、

「システム改善」

的な助言をしていました。


改善するものもあり、改善しないものもありました。

そこで気づきました。

「戦略の変更」

が求められているな、と。

同じことはまた起こる、それはシステムの問題ではなく、もっと大きな地殻変動によるものではないだろうかと。



私個人的に、最近、つまり、発明塾をはじめてからの10年では、②が圧倒的に多い。

失敗と捉えず、そうなる理由がある、それを受け入れ、活かす、という考え方に変えています。

発明塾らしい考え方、と言えるでしょう。

「変化し、生き残り、飛躍できる(LeapFrog)場所を見つける」

という

「生物学的」

な考え方、だと言えるかもしれません。


今西錦司先生の本でも、再度読み直そうかなと思っています。



楠浦 拝




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