2014年1月1日水曜日

塾長の部屋(59)~「”完全なる経営”で、マズローが試みたこと」

2014年、新年あけまして、おめでとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願いします。

例年、元日は「一年を通じて、最も静かで邪魔の入らない日」として、ミッション・ステートメント(注1)の書き直しなどに充てる。今年もそうだったのですが、その過程で読み直した「完全なる経営(A.H.Maslow)」について、少し取り上げてみたい。


と言っても、400ページを超える大作でありながら、メモの寄せ集めである本書をヒトコトで語ることは難しい。少し「ズル」をして、監訳者金井先生の解説から抜粋引用して、話を進めたい。



マズローと言えば「欲求段階説」。そして「自己実現」。マズローの定義によれば、


「自己実現とは、自分がなしうる最大限のことをしていること、しかも、している(doing)というより、自分の存在(being)に関わっているという意味で、全面的に自分らしくなっている状態」(P406)

「才能や能力、潜在能力などを十分に用い、また開拓していること・・・自分自身を実現させ、自分のなしうる最善を尽くしているように見え・・・自分たちに可能な最も完全な成長を遂げてしまっている人々、また遂げつつある人々」(P422)

を指している。いささか歯切れが悪い(ことはマズローも認めている)。これは、


「好きなことをやりたい、というような単純なもの」(P406)


とは異なる。


「自分の存在の中から沸き上がってくることを実現する・・・実現する対象は、だいたいは社会通念とは違うものが多い」(P407)


いずれにせよ終わらないので、「自己実現」はこれぐらいにして、次に進みたい。




(画像をクリックすると Amazon.co.jp のサイトへ移動します)
Amazonのプログラムを利用して画像を引用することにしました。
たしか4冊目ですが、既にボロボロ・・・
今年買い直す予定です


マズローは「いい社会」「いい人間」とは何か、という問いを立てている。


「いい人間は、一般に彼の成長する良い社会を必要とする・・・人間の可能性の完全な発達、完全な程度の人間性を育成するような社会がいい社会」(P413-414)


「頭のいい」人なら、答えになってないと「イラッと」する回答である。



マズローが、なぜ「企業経営」に興味を持ったのか。


「カナダという社会全体をそのように具体的実在物として感じることは難しい」(P414)

「つまり、一人ひとりの個人は社会という”実体”に出会うわけではない」(P414)

「よい社会」と言いながら、その社会を個々人が実感することは、難しいと述べている。そして、出てくるのが「仕事」である。


「その意味で、仕事とは”社会と通じる窓”であり、会社とはそこで働く人が成長・発達する場でありうる」(P414)

「大半の人が多くの時間を会社という組織で費やしていることを考えれば、”いい社会とはなにか”という問いをもう一歩、具体的なレベルに推し進めるだけで、”いい組織体(会社)の特徴とはなんなのか”という経営学の問いにたどりつくであろう」(P414)

「完全なる経営」は、このような文脈で書かれた本である。



最後に、自己実現に関する「B価値」「B欲求」について、「モティベーション(動機付け)」という言葉との対比(注2)で、以下のように解説がある。


「モチベーション(動機付け)とは、自分たちに欠けている基本的な欲求を満足させるために努力することを指すのであり・・・自己実現のレベルでは、ひとは通常の意味で動機づけられて努力しているのではなく、あえて言えば”発達しつつある”のである」(P423)

「ないものを埋めること(欠乏動機、D動機)によって人を短期的に動かすのでなく、自分の存在価値を示していくこと(存在動機、B動機)によって、長期的に探し続けるものなのだ」(P423)


せっかくなので、最後にマズロー自身の言葉も引いておきたい。


「健全な人間は仕事を通じて成長し、自己実現に向かうことができる」(P1)
「優秀な人間がきちんとした組織に加われば、まず仕事が個人を成長させ、次に個人の成長が企業に繁栄をもたらし、さらに企業の繁栄が内部の人間を成長させる」(P2)

なぜ企業に「成長」が必要か、それは「正しい組織は、成長せざるを得ないから」である。これも、答えになっていないと叱られそうな答えであるが、僕はアタマが悪いので、勘弁して欲しい。

「人間だれしも仕事に従事する」(P2)


のだから、その人にとって極めて重要なことであり、また同時に「社会を良くする」ことにも繋がる。

「この上ない安らぎを得たいのであれば、音楽家は曲を作り、画家は絵を描き、詩人は詩を読む必要がある。」(P4 太字は筆者)
「人間は自分がそうありうる状態を目指さずにはいられないのだ。こうした欲求を自己実現の欲求と呼ぶことができよう・・・。それは自己充足への欲求、すなわち自己の可能性を顕在化させようという欲求、なりうる自己になろうとする欲求である」(P4)


僕がこの本を手にしてから、はや10数年。まだまだ先は長いが、「発明塾」と弊社「TechnoProducer株式会社」の経営を通じて、「いい社会」の実現に向けて少しは動き出せた、この6年間。


今年もよろしく。




※ 注1) 「7つの習慣」参照


※ 注2) 本書の言葉を用いれば「モチベーション(動機付け)」とは、D欲求/D価値(何かが欲しい、何かが足りない)に基づいた考え方、ということであろう。







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