「発明塾®」へようこそ!: 2月 2015

2015年2月28日土曜日

「発明塾東京を復活させる」~発明塾京都第219開催報告

今回も、塾生さんの持ち込みアイデアについて、

「どこを押さえると勝てるのか」

について、

「業界のXXXな立場の企業の場合は、どうか」

と、様々な観点から検討しました。


当たり前ですが、

「バリューチェーンの、どこに位置するか」

だけでなく、

「業界内のポジション」



「その企業の持つインフラ(例えば流通網)」

によって、

「知財上の打ち手」

が変わってくるからです。

「裁定取引の本質は、確率を正しく計算すれば、
大部分の取引で、そして取引全体の総額でも
儲けが出るということだ」とルービンは言う。
”蓋然的意思決定(Probabilistic decision making)”
こそが、リスクを取る、ということの本質


「どこを押さえるべきか」

が見えれば、それを

「押さえるべき技術思想」

に落とし込みます。


発明塾では、この過程は、

「知財的発明」

と呼ばれます。


ここから先は、いつも通りです。


発明塾は、この3月で6年目に入ります。

このタイミングで改めて、「発明塾東京」を、復活させます。


発明塾東京は、これまでより「さらに進んだ内容」を、討議する場とします。


詳細は、近日発表予定です。


お楽しみに!


2015年2月20日金曜日

「ドーナッツのように考える~アイデアは捨て、型を残す」~発明塾京都第218開催報告

前回、@東京で討議したアイデアは、その後その塾生さんが直接「ある企業」に、提案するということで、いそいそと提案書を作成していました。

既にアポはとれているとのことでしたので、結果がたのしみです。


さて、今回は京都に戻り、マシンビジョンのアイデアを、引き続き討議しました。


この間、我らが注目のキヤノンが、

「監視カメラの企業を買収」

するなど、画像センサー業界も大きく動きつつあります。


「画像センサー企業が、今後どうなるか」
「どの事業分野/企業へ投資すべきか」

ということが、本討議を通じて明らかになると、良いですね。


今回も、討議を適宜振り返りながら、

「アイデアが、いかにして生み出されるのか」

の解明も行いました。


討議を振り返る意味は二つあります。

①「方法論への熟達(マスタリー)」
②アイデアの再利用


「時間をかければ、その分良いアイデアが出る」

のはアタリマエなので、我々は、

「如何に効率よく、良いアイデアを生み出すか」

に、こだわります。知財の世界もまた、

「早い者勝ち」

だからです。

皆、穴を食べたがる・・・
「禅問答」のような話ですが・・・
実話です(笑


多くのアイデアを討議すると、暗黙知として、

「知識の構造」

が、各自の頭のなかに出来ます。


アイデア自体より、この

「構造」

が重要です。


ドーナッツみたいなものです。

穴は食べられないですが、その周りの部分が、美味しいのです(笑


皆さん、なぜかその

「食べられない、穴」

に、こだわってしまうようで・・・


きちんと「構造」を、残して再利用するようにね。


では、次回も宜しく!



2015年2月14日土曜日

「財務データから、業界の収益構造を割出し、競争力の源泉を探り、 それを覆す事業モデルを”発明”していく」~発明塾東京第72回開催報告

今回は、京都からの移籍組2名を含む4名で、久々に@東京として開催しました。
たぶん、72回目だと思うのですが・・・。

さて今回は、以前から継続している「3Dプリンター」を用いた、新商品/新事業アイデアを討議しました。


詳細は割愛しますが、

「3Dプリンターを、これまでだれも想像していない、ある業界」

の事業と結びつけることを検討し、

「業界内のどの企業が、最もシナジーが高いか」
「最も競争力が高まる企業はどこか」
「その際に、押さえるべき知財はどのようなものになるか」

を、議論しました。



「戦いの性格」も踏まえた上で、
土俵を選ぶ。
重要ですね。


我々は、

「これはいけるんじゃないの」

と思うアイデアかどうかの判断の基準に、

「発明塾生の何名かがわかる」
かつ
「それ以外の人には、ピンとこない」

を、挙げています。


実は、今回のアイデアの原型も、一度そのテストをパスしています。

「誰にでも、その場ですぐに”よい”と分かるアイデア」

は、すでに潜在的な競合が検討を始めている可能性が高く、検討している間にどんどん価値がなくなっていきます。


(周囲の人には)ある程度ハードルの高いアイデアを、じっくりと検討する


これも、発明塾式、の一つでしょう。

3月にも、@東京を開催します。


今後の@東京では、僕が30前ぐらいに手法を模索していた、

財務データから、業界の収益構造を割出し、競争力の源泉を探り、
それを覆す事業モデルを”発明”していく

取り組みを、行いたいと思います。


情報分析の手法は、対象が何であれ、全く変わりません。

今後は、特許情報に加えて、財務データも分析し、

ある技術の発展/発明を想定した場合、どの事業/企業/業界に投資すべきか

を、シナリオとして「発明」していきます。その場合の「投資収益」も、割り出しておきたいですね、


新規塾生(大学生に限り)も、新たに募りたいと思いますので、興味ある人はご連絡ください。


では!


2015年2月7日土曜日

「”設計”は究極の”人任せ”の仕事」~発明塾京都第216開催報告

今回は、皆さんテスト期間や修論卒論等もありますので、じっくりと進めました。

毎回、必ず討議をレビューし、個人作業で発明に取り組めるように、してください。


さて、そろそろ卒業し、社会人になる人もおられますので、定例ですが、楠浦が一番最初に就いた仕事である「オートバイのエンジン設計」という仕事が、どんなものだったのか、というお話をしましょう。



後者のBlogから一つ引用しておくと、

「技術者の仕事というものは、芸術家の自由奔放な空想とはちがって、いつもきびしい現実的な条件や要請がつきまとう。
しかし、その枠の中で水準の高い仕事をなしとげるためには、徹底した合理精神とともに、既成の考え方を打ち破ってゆくだけの自由な発想が必要なことも、また事実である。
与えられた条件がどうにも動かせないものであるとき、その条件の中であたりまえに考えられることだけを考えていたのでは、できあがるものはみなどんぐりの背比べにすぎないであろう。
私が零戦をはじめとする飛行機の設計を通じて肝に銘じたことも、与えられた条件の中で、当然考えられるぎりぎりの成果を、どうやったら一歩抜くことができるかということを、つねに考えなければならないということだった」

「零戦 その誕生と栄光の記録」 堀越 二郎 著

の一節を、当時の塾生さんが共有してくれたものです(写経)。

国家にも、企業にも「設計者」は
必要でしょうね。
Where there is a will, there is a way
「意思がなければ道は無い」という意味で。


ちなみに僕は、この小説を読んでいません。

ですが、この一節が意味していることそのものを、常に追求してきたので、よくわかります。


「設計」という仕事は、

「与えられた条件の中で、当然考えられるぎりぎりの成果を、どうやったら一歩抜くことができるか」

を、来る日も来る日も、ひたすら考える、そんな仕事です。


設計の仕事は「考える」ことなので、

「実験したり」
「製造したり」

することは、その道のプロに

「お任せ」

することになります。


その「お任せ」のための、共通言語が

「試験計画書(依頼書)」
「設計図」

です。


それぞれ、

「どういう目的で、どの部品にどういうテストをして欲しくて、期待する結果はどんなものか」
「どの寸法はどの範囲で、材料や熱処理はどうで、やむを得ず特定の加工法でやって欲しい部分は、どこなのか。それを、どのように検査して確認して欲しいのか」

を、

「相手がその通り出来るように」

詳細に指示するものです。


よく、

「具体的に」「詳細に」「Detailで」

という言葉が出ますが、それは、

「相手が、自分の考えている通りにできるか(再現)」

という基準になります。


実際にやったこともないことを、

「図と言葉」

で指示するわけなので、大変と言えば大変ですが、

「実際に想像通りのものが、”完璧に”上がってきた時の、何とも言えない達成感」

が、病みつきになる仕事です。


「設計がやってみたいです」

と言って卒業していった塾生さんは、無事

「設計者の卵」

に、なれたかなー。