「発明塾®」へようこそ!: 10月 2012

2012年10月29日月曜日

塾長の部屋(20)~「イシューからはじめよ」を徹底せよ

 僕はいつも「本は繰り返し読め」と言っていますが、何回とは言っていなかったので、伝わっていなかった部分もあるようです。多分普通の人は、30回-50回ぐらいは読まないと、行動時にその通りにはできないと思います。本を見ながら行動するわけにはいかないからです。完全に憶えてしまう必要があります。

 憶え方は人それぞれですが、僕自身は図形的思考が得意なので、ページのレイアウトや図を丸ごと、映像として記憶することにしています。言語能力が発達した人は、言葉として憶えることを勧めます。

 先日の発明塾で、僕が「小川先生の理論」を駆使した発明を出しましたが、何名かの塾生には「記憶することの威力」を感じてもらえたようです。やはり「範」を示すことは重要だと痛感しました。

 さて、そこまで読んで欲しい本の一つに「イシューからはじめよ」(安宅)があります。これは、京都大学工学研究科博士課程(当時)のKくんが、

「楠浦さんが発明塾で教えてることって、この本と全く同じですよね」

と教えてくれた本です。ちょうどいい本があってラッキーでした。本に書いてあることは教えなくて済むので、それ以来、発明塾の基礎参考書の一つです。

 詳しくは読んでもらうしかありませんが、ここに書かれていることは、ほぼそのまま僕の発明理論そのものです。

「言語化することの重要性」
「分析とは比較」
「ストーリーラインを決める」

など、僕の口癖でもあります。この本を読み、準備をして発明塾に出席し、また読み・・・・を繰り返せば、そのうち無意識にできるようになります。僕自身は、独自に同じ所にたどり着きましたが、参考書があるなら、読んで憶えて習熟したほうが手っ取り早い。

あるものは徹底的に使え。

 これも発明塾の教えですね。この本にも、全く同じことが書いてあるので・・・あまりの一致に恐ろしくなります(笑

 それはともかく、発明以外でも普段の仕事にとても役立つので、卒業生も再度読みなおしてください。

ではでは。


2012年10月25日木曜日

発明塾京都第106回開催報告

Hi guys.

 今回は、4つのアイデアについて討議しました。また、発明の入り口のおさらいをしました。人間、しばらくすると基礎を疎かにして行き詰まる、そんなものです。再度基礎を徹底してもらうために、以下おさらいをしました。

①発明テーマをロジックツリーで整理、ブレークダウンする。
②討議している内容について、明確に言語化する。
③同じく、関連内容も含めてググる。

 基礎を疎かにして、応用はありません。①はマインドマップの作成を徹底、ということです。上位概念化、概念のレベルを揃える、因果関係を明確にする、その3点です。参考書は中川氏のものです(注1)

 ②と③については、古株組には言うまでもないことです。

 ほか「瀧本先生」の本にある決断思考(注3)が、発明とどう関係あるか、その話もしました。

 再度基礎を徹底して、発明に取り組んでください。すでに出来ている古株組は、新入り組に指導をするように。教えることで、学ぶのです。


※注1)「問題解決の全体観」中川

※注2)ミハイ・チクセントミハイ

※注3)「武器としての決断思考」瀧本


2012年10月23日火曜日

塾長の部屋(19)~機械工学の未来と知財

Good evening everyone.

 僕が立命館中学で英語を習った 角(すみ) 先生は、挨拶はいつも英語という先生でした。発音に厳しい先生で、中1の半年は、「a、e、u(実際には発音記号)・・・」とひたすら発音の練習であったことを、今でもはっきりと思い出します。これからは、挨拶は英語にしましょう。


 今日は、10月10日に行った、京都大学工学部機械系の「ものつくり演習」講義の補足とします。


・「ものつくり演習」2012報告

http://edison-univ.blogspot.jp/2012/10/blog-post.html

 そこで僕がどんな話をしたかというと・・・・


「機械系の就職先=家電、自動車という時代は終わった」


という話です。京都大学工学部機械系は、毎年自動車関係に数十人、大手家電に数十人が就職するような学科です。「自動車か電機メーカーに行けばとりあえず安心」という雰囲気の学科、ということです。


 家電の現状については、昨今の報道でわざわざ僕が説明する必要はなくなっているので、自動車産業が今後どういうポジションに置かれる可能性があるか、を話しました。


・参考資料「自動車の電子化のその先に何が見えるか-電子化が加速するグローバル経営環境のパラダイムシフト」小川紘一(その1,その2)

https://dspace.jaist.ac.jp/dspace/bitstream/10119/10191/1/kouen26_594.pdf
https://dspace.jaist.ac.jp/dspace/bitstream/10119/10192/1/kouen26_599.pdf

 この「ものつくり演習」では、社会人2年目(川崎重工時代)から10年以上にわたり、毎年講義/講演をしているのですが、この話をしたのは今回が初めてです。理由は、昨年12月に遡ります。昨年12月に、たまたま設計に関する産学交流の討論会に呼んで頂きました。そこで「モジュラー設計」に関する話題が提供されたため、それに関連した話として「国際標準化と事業戦略」(小川)で挙げられている事例を紹介しました。

 その上で、機械工学のひとつの用途であり、多くの卒業生が活躍している(はず)である家電(や携帯電話)がなぜ世界で競争力を失ったのかを踏まえ、機械工学科としても、新しい技術の研究や教育だけではなく、知財マネジメント・知財戦略(注1)についても教育したり、研究したりする必要があるのではないか、という問題提起をしました。

 とたんに会は騒然(注2)とし、「携帯電話と自動車は違う」という意見から、大手自動車メーカーの要職にある方の「電気自動車は普及しないから大丈夫」という問題発言?まで、さまざまな反応がありました。


 僕の感想は「ああ、みんな勉強してないんだな」という、たったそれだけのことです。


 せめて後輩である機械工学科の学生には、きちんと勉強してほしい、世の中で何が起こりつつあるか、事実をその目で確かめるだけの「眼力」を持ってほしい、そう思ったので、今年からこの話題を取り上げることにしました。


 そもそも僕が「エネルギー応用工学専攻」に進んで感じたことも、「もう機械工学の時代じゃないな」ということでした。以前は「クルマ」作ってればよかったわけですが、「そのエネルギーどうするの?」「その廃棄物どうするの」そういう問いに答えないといけなくなった。だけど機械工学は、もはやその問いに答えられなくなっていたわけです。


 実はその紛糾した会に、現在テルモが販売している「磁気浮上型人工心臓」を開発した、流体力学の権威である赤松(あかまつ)名誉教授が来られていました。当時、自動車関係の数値流体力学をやっていれば十分食えた中で、海のものとも山のものともつかない「人工心臓」に取り組んでおられた。

 当時はその凄さはわからなかったのですが、企業で新製品、新規事業開発を担当し、そして自分でベンチャーを経営し、氏が何を考えていたのか、おぼろげながらわかってきたところだったので、急いで名刺交換し、色々とお話を伺いました。

 機械系の学生に言いたい。


「機械工学は、人類の明るい未来に、どう貢献するのか。そこで君は、どう貢献したいのか。」


その答えを出すために皆さんは勉強し、それを実現するために、就職するのです。それが伝わったなら、往復6時間掛けて横浜から話に行った甲斐が、あったと思います。



※ 注1)「製品アーキテクチャがモジュラー化すると、技術よりも知財のほうが重要性が増す」と小川先生は指摘されている。そういう意味では、機械工学のような、もともと「低価格大量生産」「モジュラー化」を推し進める学問においては、どうあっても知財のことは教えないといけないのでは?という気がします。


※ 注2)実際、かなりの激論が戦わされましたので、これで出入り禁止になるかと思いましたが、今年も非常勤で講演して欲しいという話が来ました。その辺は懐が深い(のか、単にルーズなのか・・・)大学です。


※ 注)なお、小川氏の論文を読むにあたり、チャンドラー、ラングロワの主張を理解しておく必要がある。例えば、以下参照。
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/ir/college/bulletin/vol18-1/17-3Hashimoto.pdf
http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?file_id=16153


2012年10月21日日曜日

塾長の部屋(18)~「素直さ」という能力

本日も、なかなか仕事が終わらない中ですが、週末に1本は「塾長の部屋」を書くと決めているので、簡単に。

今日取り上げたいのは、あるOBの言葉です。彼曰く、



「素直さは才能ですよね」


その通りです。僕がなにか一つ、すべての基礎になる能力をあげるとしたら、それは「素直さ」になります。他の全ての能力を伸ばす、あらゆる種類のスキルを身につけるためには、まず、素直であること、が必要になります。


スキルは、知識とは異なり「体験的に(身体知として)身につけていくもの」(定義)なので、理屈を並べても何も始まりません。よく「身体で憶える」といいますが、実際には脳の神経回路の組み換えであるため、組変わって定着するまで、何度も何度も繰り返す必要があります。そして、これには大きな個人差が伴います。


スキルを効率良く身につける方法が、一つだけあると言われています。それは「フロー」状態を作り出すことです(注1)。わかりやすく言うと「没頭すること」です。実際にスキルが身につくのはこの「フロー」状態においてなので、短時間でこの状態に入れれば、時間の無駄を減らすことができます。短時間でフローに入るための条件は、経験上、以下の2つです。


・「自分が取り組んでいることが、正しい、必ず成果が出ると信じること」

・「必ず成果を出そう、目標を達成しようという、強い意志を持つこと」

似たようなことが、「BCG流 経営者はこう育てる」(菅野)(注2)にも、「経営者として必要なスキルを身につけるために何が必要か」という問いへの答えとして、書かれています。


彼は、上記の非常に重要な点に気づいているので、今後大きく成長するのではないかと、期待しています。


皆さんも「素直さという才能」を、大いに伸ばしてください。様々なスキル習得が、飛躍的に楽になることは、間違いありません。



(画像をクリックすると Amazon.co.jp のサイトへ移動します)
Amazonのプログラムを利用して画像を引用することにしました。
公式や知識を覚えても無意味。
重要なのは
「その公式/知識がどのような考え方、
方法で導かれたか」
つまり、知識創造の技法である。


※注1) ミハイ・チクセントミハイ

※注2) 「参考書図書」リスト参照


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2012年10月18日木曜日

発明塾京都第105回開催報告

 第105回は、なぜか僕の席がなくなる(?)という大盛況となりました。にも関わらず、今回は非常に良い発明が出ました。いや、出ましたというのは正しくなくて「良い発明を詰められました」というべきでしょうか。

 前回と今回は、個人的には「発明塾史上最も良い討議ができた」回であったことは、間違いありません。

①狙った通りの発明
②Last One Piece の状態
③楠浦が最も得意とする「ロジカル」な工程を通せば仕上がる状態で、持ち込まれている

 夏休みぐらいからでしょうか、何名かが「狙って発明ができる」状態になって来ました。②は、塾生には言うまでもないことですね。世の中は「あと一歩」のアイデアに満ち溢れています。重要なのは③で、これまでの発明討議は大体「Just Idea」もしくはそれ以前の「現状分析」で始まり、そこから全員でアイデア出し、上位概念化、などを行って来ました。しかしここ二回、OくんとSくんが「だいたい詰まってるんですけど」状態で持ち込んでくれたので、最後のピースが「ピタっと」ハマる瞬間が、二週連続で訪れました。

 なかなか気分がイイですね。

 発明塾は、また一歩前進した気がします。自由にアイデアを出せる、という状態を是非楽しんで、また、世界の進歩に役立てて欲しいと思います。


2012年10月17日水曜日

塾長の部屋(17)~特許情報分析セミナーから

 今日は珍しく、先日講師として参加した「企業分析セミナー」について、そのエッセンスをお話しましょう。テキストは、いつもどおり発明塾では回覧します。あと、合宿の時に景品(笑)にします(注1)。

 特許情報分析は、統計データから始まります。しかし、そこで終わったらただの「数字あそび」「お絵かき」に過ぎません。そこからどれだけ「意味」を引き出せるか。分析者のスキルが問われるのはそこです。

 細かいテクニックはさておき、僕が注意しているのは以下です。

①どれだけ気付きを得るか=仮説を引き出す
②そのための切り口を多数持っておく=発明と同じ
③気付きとは「違い」。違いの切り口は「2者」「過去未来」「標準や平均との比較」。
④「違い」の気付き=「何かヘン」を検証するために、効率良く「読む」。そのための整理法(パターン)が肝(注2)。

といったところです。セミナーでは、実例(僕が事業判断に使った事例も交え)で、上記を次々と説明していきます。

 ところで、特許情報による企業分析の目的には、大きく2つの観点があります。

・経営的視点
・現場の視点

 経営的視点とは、簡単に言うと以下です。

 「戦略とは、何をやって何をやらないか」であって「経営戦略とは、資源配分(どこに配分してどこに配分しないか)」です。つまり「他社がやっていることは止めて(省略して、も含む)、やっていないことを考えだして、やる」ことです。競合と同じ資源配分で勝てるのは圧倒的強者だけですので、弱者の場合には、資源配分を傾斜する必要があります。その傾斜を決めるには「他社の配分」を知る必要があります。

 現場レベルでは、以下の様なことになります。

 「R&D担当者には、給与の5-10倍の経費がかかっている(設備投資、生産部門の経費など)」。より効率良く資源を回す(投下資本利益率)ために、他社がやっていることではなく、それ以外(それ以上、も含む)のアイデアを出させて、実行させる必要がある。

 知財部門がやる情報分析の仕事は、経営資源の有効利用という観点から、やるべきものだと思っています。つまり「知的生産性の向上」「知識資本生産性」「知識資本利益率向上」のための情報分析です。発明者の時間は(上記の計算の通り)貴重な資源。他社がやっているようなことを考えさせるのは資金の無駄遣いで、他社がやっていないことについて考えさせる必要がある、だから情報分析が重要なのです。

 知財の仕事とは、個人が持つ「知」を、会社が所有する「財」に変換する仕事。知識資本主義において、最もキーになる部門です。設備や土地、単純労働力は競争力(資源、資本)にならない時代。頭脳は使えば使うほど価値が向上し、償却もなく、同時利用も可能という、人類が手に入れた最高の資本だと思っています。その「利回り」を向上させるために、(日本の)各企業はどれだけのことが出来ているのでしょうか。まだまだ、余地があると思います。


※ 注1) これも甲斐塾流。甲斐塾では、数学や歴史、古典などに関する面白い冊子を作っては、イベントの景品としてのみ配布していた。これが欲しくて頑張って勉強?した塾生がどれだけ多かったか。

※ 注2) BCG流 経営者はこう育てる」菅野寛 にも同じことが書いてあります。やはり、突き詰めると何でも同じなんですね。イドは地中深くで、必ずつながっているのです。イドを掘りましょう、イドを。
・参考図書(3) http://edison-univ.blogspot.jp/p/blog-page_30.html

2012年10月13日土曜日

立命館大学「発明講義」第三回

 第二回の報告は飛ばして、第三回です。第三回では、終了時にアンケートを取りましたので、そのフィードバックも兼ねます。

 講義の内容は、塾生にはお馴染みの技術マーケティングです。全く同じ内容を、春休みの「集中講義」(注1)で取り上げていますね。いつも通り、


①「特許情報からどんなことが分かるのか」

②「特許公報の読み方」
③「特許検索のコツ」
④「分析の具体的な切り口」
⑤「やってみよう」

でした。①は当たり前の内容なので割愛、②公報の読み方は、課題解決構造、分類記号、出願人と発明者、など、基本的な記載事項の説明。


③は、いわゆる母集団作成ですが、キーワードの作り方、分類・出願人・発明者で検索すると何が分かるのか、ということでしたね。


④は「かんたん特許検索」のランキング機能(注2)を使って

・出願人ランキング
・IPCランキング
が意味することを学びました。というか⑤の中で、やってもらいました。

 今回は金曜日の一コマ目という、大学生にはハードルの高い?講義ですので、アンケートを使って質問や要望にできるだけ答えたいと思っています。(というか、一コマ目だと、学生も僕も互いにその後の講義なり仕事があるので、物理的に直接質問に答える時間がない。。。)



<感想と楠浦のコメント>

・「1限なので眠い」>僕も
・「予習したい」>良いことです
・「楽しい」>良かった
・「今までにない」>素晴らしい。今までにないこと、他人と違うことをやらねば意味がありません。
・「頑張ります」>頑張りましょう

 ここで僕が一つ注目したのは、今年の学生さんは「わからないので予習をしたい」と言ってくれている点です。これまでになかったことで、かつ、何名もの学生がそのように答えています。一体何が起きているのか、興味津々です。


 これまで「わからないから、もっとゆっくりやって欲しい」という、ヌルい要望はありましたが、わからない、という状態を自分の課題・チャレンジとして捉えて、エネルギーに転換している点は、非常に期待が持てます。僕の基本的スタンスと同じです。僕は昔から、聞いた話を理解できないのは自分の責任、と考えて勉強することにしています。そう考える方が、自分にとってメリットがあるからです。



<質問と楠浦のコメント>

 今年は結構勉強熱心な人が多いようです。以下のような質問や、「社会人はどれぐらい勉強しているの?」という質問がありました。あとは、僕自身は「アンチパワーポイント派」という話をしたので、では何を使っているのか、など。

・「楠浦さんが、機械工学(自分の専門)以外に、自主的に勉強していたことを教えて欲しい」


 いわゆる「お勉強」という意味では、政治(国際政治、安全保障など)学、哲学、心理学、経済学、歴史、芸術史(主に美術史>現物見に行く事も含め)、語学(他学部の講義に出るなど)などで、あとは暇とお金があれば手当たり次第に本を買って読む、という感じです。


 世の中の実際を知るという意味で、企業の人がどんなことを考えているか/やっているかについて、社会人の先輩と毎日の様に話して、教えてもらっていましたた。ちなみに大学時代は、仲の良い先輩後輩は多かったですが、同学年の友人との付き合いは、ほぼゼロでした。


 いわゆる、「世界」を知る、という意味では、ヨーロッパ一周などの海外旅行、日本中もあちこち行きました。


 実際には、以前から度々取り上げている「甲斐塾」の存在が大きく、毎週末、塾に遊び?に来るOB(週末になると、少なからぬ社会人が遊びに来る)の方々から、様々な企業の実情をかなり詳しく聞いていました。


 発明塾で目指していることは、単に「技術的な発明」にとどまらず、経営・事業といった視点から見ても「創造的」な人材、クリエイティブ(火)+ビジネス(油)=世の中を前向きに変えていく、が出来る人材の育成です。


 立命館大学での講義は、そのパイロット的な試みとして始まったものです。すでに三年経ちましたが、まだまだ発展させられると信じています。が、僕だけが頑張っても意味がありません。なぜかって?


 基本的に「講義は生徒が作るもの」だからです。物事には順番があります。歩けない人間に、サッカーを教えることはできません(怪我します)。僕がもっといろいろな「楽しい」ことを教えられるように、まず各自のレベルを上げてください。


 そういう意味で、今年の受講生には、今まで以上に大いに期待しています。内容は、企業で僕が教えているものと全く同じですから、一般の社会人以上の能力を身に付けることが可能です。大いにがんばってください。



※注1) 立命館大学の半期15回の講義を、2日間で行う発明塾のイベント。毎年2-3月に開催。

・2012年の開催報告 http://edison-univ.blogspot.jp/2012/03/2012.html
・2011年の開催報告 
 1日目 http://edison-univ.blogspot.jp/2011/02/2.html
 2日目 http://edison-univ.blogspot.jp/2011/03/blog-post_05.html
・立命館大学での講義シラバス(2012) http://online-kaikou.ritsumei.ac.jp/2012/syp/show.php?course_code=55325

※注2) 「かんたん特許検索」 http://kantan.nexp.jp/

 無料の特許検索サイトながら、検索結果を、いくつかのインデックスで統計処理できる機能があり、結構重宝する。CSVファイルもダウンロードできるため、かんたんなマップづくりは可能。


2012年10月11日木曜日

発明塾京都第104回開催報告

第104回も無事終了しました。今回は、3名の発明を討議しました。現在取り組んでいるテーマではビジネスモデルを先に考えて、そこに必要な技術を探していくことになります。今回は、その「方程式」を解明しつつ進めました。

今日の討議を通じて、基本的なところは解明されたような気がします。今後は、積極的にこれを活用して、良い発明を生み出しつつ、理論もさらにブラッシュアップしていきましょう。


2012年10月10日水曜日

京都大学「ものつくり演習」講義報告

今日、例年通り工学部機械系2回生向けの「ものつくり演習」で講義を行って来ましたので報告を。今年は、自己紹介も含め、未来志向に(要するに思い出話をなくす)しようというのがコンセプトでした。キャリア教育も兼ねているので、以下の様な流れで話しました。

①メッセージ、仕事とは
10円玉ゲーム(パワーアップしました)
③簡単な自己紹介
④特許、知財とビジネス
⑤発明の話

 メッセージは、今回少し考えなおしました。スライドのイメージで行くと、こんな感じです。


Think Big.

守りに入らず、小さく固まらず
もっと「大きく」「末広がりに」
考えて欲しい。


大学2回生で見えている世界なんて、小さいんですよね。それで自分の将来の可能性を縛ってしまわないようにして欲しい、という僕の反省です。大学時代から、もっと大きく仕掛けておけばよかったと、真剣に思います。そして、仕事に関する僕の考え方を紹介しました。

・失敗しても構わない、学ぶ姿勢があれば、それにより必ず成長する
・個人の成長なしに、組織、地域、国家の成長はない
25-65という人生の黄金期の、平日の8-17時という最もいい時間を費やす以上、「仕事」で成果を出すかどうか、そこでいかに「よい目標を立て、達成するか」「成長できるか」で人生は決まる
・「もっと稼げばよかった」と、死に際に言う人間はいない

これは各自の価値観なので、あくまでも僕の考え、という程度です。お金は必要なものですが、ただお金のため「だけ」に仕事の時間を過ごすのは、非常にもったいない人生の使い方だと、思います。

あとは、いつもの話ですから、割愛と言いたいところですが、昨日たまたま「標準化と事業戦略」に関する勉強会で、アップル、インテルのビジネスモデルに関して非常に興味深い話を聞きましたので、それを紹介しました。分かるのかどうか不安でしたが、顔を見る限り、少なくとも何名かには通じたようです。

来年も、新しい後輩たちに会えるのを、とても楽しみにしています。

最後に、毎年出している課題を、掲載しておきましょう。受講していなかった人も、ぜひ考えてみてください。

①現在、世界的に早急に解決(ex.2020年まで)が求められている課題を調べた上で、
②あなたが重要と思う一つを取り上げ(環境問題、エネルギー問題、健康や医療問題などから、具体的なテーマ:ex.マラリア撲滅)、
③根拠を述べ、それに対して、
④「機械工学がどのように貢献できるか」
⑤「将来自分が、その課題解決にどの様に技術者として貢献できると思うか、したいか」について、論じてください。


※後日寄せられたレポート課題については、以下にまとめました。



2012年10月4日木曜日

発明塾京都第103回開催報告

 第103回も無事終了しました。夏休みも終わりましたので、今回から従来の発明塾のスタイルに戻りました。10月から新しいRFIに取り組むことにしましたので、まずはその理解から始めました。

「どういう発明が求められているのか」

が明確にならなければ、発明に取り組んでも時間をムダにするだけです。そのためには、

「どういう社会を実現できればいいのか」

を考える必要があります(特に今回のRFIの場合)。

 また、今回のRFIについては「ビジネスモデル」起点で考える必要があるため、これまでとは違う側面からの、良い練習になると思っています。僕自身は常々「発明とはビジネスモデル付きのアイデアである」と言っていますし、一部塾生の分析によれば、良い発明は、技術とビジネスモデルの組み合わせであることがわかっています(実はあと一つ、重要な要素がありますが、それは明かせません)。

 今回のテーマを通じて「ビジネスモデルから考える」訓練をしましょう。