「発明塾®」へようこそ!: 2016

2016年12月28日水曜日

冬期アイデアコンテスト「”枯れた but コア技術”を生かした新事業/新製品のアイデアを生み出す」~第356回

今回は、いつもと違い、日曜日の夜の討議になりました。

皆さんお疲れさまでした。


当面の「発明塾」の討議は、題記アイデアコンテストを対象に進めます。


動向が気になるOBOGもいるでしょうから、可能な範囲で紹介しておくと、テーマは

「ある、既存製品について、そこで用いられている技術を正しく定義」

した上で、

「その技術を生かした、新たな事業/製品のアイデアを生み出す」

ということになります。
(ある企業様からの依頼です)


第一回(今回)の討議は、主に、

「技術を正しく定義」

するところに、(僕としては)注力しました。

結果として、

「エッジ」

のあるアイデア、情報がいくつか見つかりました。


「コア技術」
「強み」

を、どう定義するか、しっかり理解できましたか?

各自、討議ログを振り返り、

「どのように技術が定義されたか」
「なぜそのように定義されたのか」
「そこから、どのようにアイデアや情報が見つかったのか」



「自分で再現可能なように」
(偶然の必然化)

ドキュメントにまとめておきましょう。

「1回見たら、覚える」

ことが重要です。

「同じモノは、2度と見れない」

からです。


(Youtube より)
Dali が 「アナロジー」をどのように用いているか、
いわば「頭の中」がわかる、貴重な作品です。
見てわかる通り、「Disney」の作品です。


僕が何気なく出した情報、言ったこと、すべてメモされているはずです。
(あるいは、メモする必要があることがわかります。)


そのようにして、発明塾は成り立っています。

メモする人が、一番学べるからです。


「枯れた技術」

でも、

「捉え方」
(発明塾は、ここが上手いんだろうと思っています)

次第で、

「いくらでも新しい用途がみつかるだろう」

ことが、今回の討議からだけでも、わかったのではないでしょうか。


つまり、

「最初が重要」

です。


しっかり振り返り、また、年末年始に、アイデア/エッジ情報を探して、次回討議に臨んでください。


楠浦 拝


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2016年12月23日金曜日

「ルービックキューブ」「実践が7割のダナハー式」~@京都忘年会/九州大学訪問など

トピックを幾つか。

●@京都忘年会

@京都忘年会出席の皆さん、お疲れ様でした。

出張移動の途中、短時間になりましたが、特にOB/OGの皆さんが元気に、そして活躍している様子を伺うことができました。

「原理原則」

を忘れず、各自の目標に向かって、日々精進して下さい。


色んな話をしましたが、

「ルービック・キューブ」

の話が、印象に残ったようですね。


僕は苦手なので、時々そういう気持ちになるのですが

「1マスだけ、揃ってない」

という状態になると、

「なんとか、そのまま、大きく動かさずに、揃えられないかな」

と考えてしまいます。

しかし、この誘惑は、

「罠」

です。


「1マス揃わない」

理由に遡ると、

「ゼロからやり直し」

になることが、往々にしてあります。


「原理原則」

を徹底することです。


惜しげもなく、突き崩し、最適なものにする

ことを、妥協なく、行って下さい。



●九州大学訪問

「発明塾」紹介の機会をいただきました。最近、大学からの問い合わせも増えてきたように感じます。



Leadership, Growth, Lean だそうです。


消耗品ビジネスと言う視点だけでなく、

「人材育成」

の視点でも注目している

「ダナハー」

の資料を見ると、

「人材育成は、実践が7割、トレーニングは3割」

ということだそうです。

我々も、どんどん変わらないといけないな、と感じます。


当日の資料より


九州大学訪問は、

「ご縁」

によるものです。


京都大学でのご縁、タイヤメーカーにおられたということで「ソフトマター」「レオロジー」などを研究しておられたというご縁、・・・など様々なご縁の積み重ねです。
(前職における「ナノインプリント」の研究は、ほぼ、「高分子」の研究に明け暮れました。専門は機械工学ですが・・・「成果を出すためには、なんでもやる」以外の選択肢はありません。人を雇う時間もなく、専門書を読み漁り、専門家に教えを請う、の繰り返しでした。)

ちなみに、当時ご紹介いただいた先生には、その後、全く別の場/別の形でお世話になりました。
(教え子にあたる方々が、共同研究先におられたり、学会でお世話になったり・・・)

「色々なものが、繋がっている」

と感じました。


皆さんには、特に、

「仕事で成果を追求する中で、出来た縁」

を大切にしてほしいな、と思っています。


楠浦 拝


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2016年12月20日火曜日

「極端」を使いこなす~制約思考セミナーご報告/御礼(2016年12月15日)

12月15日開催の「制約思考」セミナーへご参加いただきました皆様、改めて御礼申しあげます。 
また、開催に向け告知・ご案内などでご協力を賜りました皆様、篤く御礼申しあげます。


今回も、


「新たな製品や事業の企画提案を求められている」


方に、ご参加いただき、終了後も様々なご質問をいただきました。


「ただ集まって議論しても、なかなかアイデアが出ないと感じている」

「1人で検討を進めなければいけない、進め方もわからないし、アイデアも広がらない」

など、課題に応じ、若干のアドバイスをさせていただきました。



ご都合がつかず、お申込みいただけなかった方、次回、あるいは、弊社の他のセミナーにて、お待ちしております。 


1月18日 「未来創造設計書」セミナー 



ご質問やご感想を頂いた部分を含め、内容の振り返り、また、補足をさせていただきます。


特に、メール配信(発明塾講義)にてご紹介しきれなかった、


「極端思考」(*)


について、少し補足しておきます。


具体例は、セミナーに譲らせていただき、大枠の考え方、使い方について、少し触れます。




● 「極端」で先を読む


発明塾で、最初に


「極端思考」


を用い始めた、あるいは、そう名付けるようになったころは、


「エッジ情報」


の一つとして、極端な情報を取り上げ、それをヒントに、


「先読み」


をし始める・・・、のように用いていました。


「極端」


から


「エッジ」


な部分を目利きして、それを更に


「飛ばす」


ことで、先読みに繋げます。


「エッジ」「極端」


という「ギリギリ」の情報にこだわる理由は、こちら




● 「極端」で「具体化」する


今回の「制約思考」(*)セミナーにおいて、


「ヘルスケアにおける、新たな事業機会の発掘」


の考え方の例として、「極端思考」を用いた「エッジ情報」の探し方、


「具体的な、仮説の立て方」


を紹介しました。


「具体的なKWが思いつかない」

「仮説が立てられない」

方の、第一歩として、極端思考が有用であることは、ご理解いただけたのではないでしょうか。


発明塾での討議でも、頻繁に用いますし、僕も日々意図的に


「極端」


を考えるようにしています。



ちなみに、ここに書いたのですが、極端に考える、という考え方は、りそなHD社長(当時)の細谷氏のインタビュー記事にヒントを得ています。

(今でも、その記事は、印刷したものを手元においております)

細谷氏が想定されていたのは、経営上のシナリオを考える際に・・・ということだと思いますが、「発明」でも同じであると、気づきました。




機械設計やるなら、絶対読んでおきましょう。
コマツ時代、毎日のように読んでいました。
独FAG技術陣による、最高傑作です。
何度読んでも、発見がある本です。
仮にエンジンがなくなったとしても、軸受はなくならないようです。
でも、この本は絶版みたいです・・・。



●他にも・・・


場合分けや因数分解など、


「具体論」

「具体化」

フェーズでは特に、使える考え方です。




注意点としては、

「良い仲間と、良い議論」


を心がけないと、


「そんな極端な話しされても・・・」


と、なってしまうことでしょうか。



エッジ情報/極端について、こちらの講座でも取り上げていますので、実践を兼ね取り組んでみてはいかがでしょうか。


ご参加頂けなかった方、資料の販売もしております。お問合わせは、こちらのページをご確認いただき、「セミナー配布資料購入検討」とお問い合わせください。



年明けの、


1月18日 「未来創造設計書」セミナー 


も、よろしくお願い致します。





* 弊社 TechnoProducer 株式会社 の登録商標です。


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2016年12月18日日曜日

「自分がやるなら・・・」と考え「フェアに」評価する~第355回(投資部第11回)

今回は、忘年会も兼ね、久々の

「リアル討議」

でした。遠隔の方も、お疲れさまでした。


討議で取り上げた企業は、

・AngloAmerican
・FitBit
・Hilton

でした。

全く見方が異なるので、比較しながら振り返るのがよいでしょう。

ざっと見ておきましょう。


●AngloAmerican

資源価格の影響を大きく受け、業績低迷で苦しんでいます。
非中核事業の切り離しなど、どのような手を打っているか、よく見ておきましょう。

以前取り上げた、「ロイヤル・ダッチ・シェル」の話もしました。

エネルギー/資源の分野は、数十年の単位で見ていく必要がある分野です。

シェルの、天然ガス事業(M&A)を例に取り話をしましたが、僕が「天然ガスシフト」の必然性について大学で学んでから、20年以上経過しています。


●FitBit

企業における健康管理ニーズの高まり、という点で、非常に面白い業界だと感じました。

直近では、デバイスの信頼性などについて、訴訟が起こされています。
自身が経営者ならどうするか考えつつ、実際、どうなっているか、よく「事実」を調べましょう。

また、それらの「打ち手」に対して、投資家がどのように反応しているかも、見ておきましょう。


●Hilton

「高級ブランドのフランチャイズ」という、ユニークなビジネスモデルになっているのが、この業界です。事業の一部を切り離すようですので、その動向に注目しましょう。

エッジセミナー」「制約思考セミナー」「BPIセミナー」などでも度々取り上げていますが、事業再編中の企業からは、得るものが多いですね。


Amazon.co.jp のサイトへ移動)
結局、原典にあたるのが、早いようです。
1000ページの大著です、冬休みに読んで、新年以降の討議に
臨んでください。


●ここまでの総括に代えて

一部の人には話しましたが、

「いまから、自分がその企業/事業を経営するなら、どうするか」

考えることで、その企業/事業の実態を、正しく把握し評価することができます。

FitBitは、集団訴訟を起こされていますが、どうするのが良いのでしょうか?

唯一の正しい答えはありませんが、

「自分の考え」
「実際のFitBitの打ち手」
「投資家の評価」

を明らかにしていく討議を通じ、自分なりの「答え」を出すことはできます。

「なるほど、そういう手があるのか」
「そうなるのか」
「そう、見られてしまうのか」

を繰り返すことで、事業や企業の価値を

「正しく評価」

することができるように、なると思っています。


視点を、変えることです。

そして、「ブレないように」することです。

例えば、

「自身がその企業に入り、株式だけをもらって働く」

と考えてみれば、とても分析しやすくなります。
(僕は、そうしています)


先の、「エネルギー・資源」の話もそうですが、

「目先の話」

にとらわれず、

「何を、どう、議論すべきか」

よく考え、議論を持ち込むようにしてください。



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2016年12月10日土曜日

「設計」は「仮説」にもとづく段取り~発明・設計・企画/第354回(投資部第10回)

投資部の比重が高まっていますが、1つ注意点を述べておきます。

発明の時は、「発明提案書」(研究計画書)が決められていましたが、現状、投資部の活動で必要な


「投資アイデア提案書」


の明確なフォーマットが決まっていません。

(ラフな案は、僕が示していますが)


僕が与えるものではなく、


「皆さんが、自分で作っていくもの」


だと、理解し進めてください。

(どのような情報があれば、意思決定が可能なのか、「意思決定者の立場」で、突き詰めて考えてください)

つまり、まず自ら、投資部を

「設計」

してください。


発明も、企画も、すべて「設計」です。

「仮にAならば、Bになるはず」
(そして、検証を素早く行う)

を積み重ねることです。


年末年始に、ちょっと「わかりづらい」本を読んでほしい。
要するに何が言いたいのか、どういう背景でこういう議論がされているのか・・・、
など「読み」を深めるには、それしかありません。
わかりやすい本ばかり読んでいると、「浅瀬」で終わります。
あと、「エライ人の指示は、なぜわかりにくいか」が、わかります。
ちゃんと、理由があります。


発明塾の発明法も、そのようにして出来上がってきました。

(採択する側の立場から見て、必要な情報を、必要十分、かつ、論理的に記載する)

手法の開発の一環として、アウトプットフォーマットも含めた


「ツールの開発」


が必要になります。



「言われたことをやる」


のではなく、


「やるべきことを、自分で決める」


ように、進めてください。

(社会に出れば、それが普通です)


さて、今回の投資テーマは


「エネルギー」


でした。



いわゆる ミッドストリーム の企業を数社、比較討議しました。


「天然ガスシフト」


にどのように対応しているか、たとえば、


「キンダーモーガンが、LNG輸出のための施設へ投資中で、かつ、シェルとの長期契約を結んだ」


等の情報を勘案しながら、各社の取り組みを比較していくことが重要です。


エネルギー分野は、洋上風力含め、まだまだ分析の余地があると思います。


また、エネルギー問題は、エネルギー資源が「足りる・足りない」という次元の問題ではなく


「環境問題」

「外交・安全保障問題」

ですので、技術や経済以外の分野も勉強しながら、分析を進めてほしいですね。



僕が、外交や安全保障問題に関心を持つようになったのは、大学院時代


「エネルギーと安全保障」


についてのゼミに出ていたからです。



「企業家」として、様々な分野で長期にわたり活躍できる人材の創出、も、投資部の一つのテーマです。発明、技術、起業・・・のような視点にとどまらず、幅広い視野で世界を見て、自らの力を社会に役立てられるようになって欲しいと思っています。



次のテーマは、「資源」という話も出ていました。アングロアメリカン、リオティントなど、歴史ある企業がひしめく分野です。


「投資」


を題材に、すべてを学び、成果を出す、そんな場にして行けるように。


皆さんの努力次第、です。



OBOGと連絡していると、


「発明塾での経験を活かし、大きな予算(億単位?)を取りました」


などの報告が入ってきます。


普段やり取りできない OBOG の皆さんも、しっかり頑張ってくれているようで、何よりです。



引き続き、よろしく。



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2016年12月3日土曜日

「リスクを戦略的に低減していくような保険」~「テクノロジー」「サービス」と「金融」/第353回(投資部第9回)

先日のメール配信

「南アフリカの保険会社」

号は、いろいろなところから反響がありました。


かれこれ13年間、しかも、隔週から毎週へ、そして今は週3回へ、と発行回数が増えており

「よくネタがありますね」

というお話も、いただきます。

今後も、実際に

「発明」
「投資動向分析」

など、発明塾/発明塾投資部の活動の中で得られた情報について、ごく一部にはなりますが、皆様へ提供して行きたいと考えています。
(書く時間が許す限り・・・になります、ネタ切れの心配はない気がしています)


メール配信では

「金融(保険)に、テクノロジーとサービスを組み込む」

ことで、

「安全」
「健康」

という価値を提供する、損害保険/医療保険企業を取り上げました。


その後、テクノロジー側からのアプローチについて、OBOGから情報提供がありましたので、共有しておきます。

サイバニクスとIoTで損害保険を革新、AIGジャパンとサイバーダインが提携」(Monoist)


私のキャリア転換にも、とても縁が深い(笑*)「医療用ロボット」の動向ですが、

「まさにこれ」

と思う方向に進んでいるようです。素晴らしいです。

山海先生が、

「リスクを戦略的に低減していくような保険」

と仰っていますが、まさにこれが

「価値の提供」
「価値の創造」

だと感じます。


「モノづくりに金融をビルトインする」

のは、古くからある考え方ですが、

「IoT」

というテクノロジー?の出現で、

「古くて新しいもの」

になってきた気がします。


Honeywell 社 の直近のM&A動向を示す資料です。
事業構造改革に取り組んでおり、直近では、先行きの見通しを下げています。
(FY2016 2Q 決算報告資料より)


そんなことを考えながら、Honeywell の 「Home Security」事業関連の特許を調べていると、ここにも

「モノづくりと金融」

のヒントが見えてきました。

関係するOBさんにコメント依頼中ですが、皆さんも考えてみてください。



* 今は笑い話になっていますが、当時、関係者の方には、多大なるご心配とご迷惑をおかけいたしました。「人生、何が起こるかわからない」ことを思い知らされた最初の出来事であり、また、現在の仕事につながる転換点であったという点で、私のキャリアに大きな影響を与えた出来事です。



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2016年11月23日水曜日

「意図」を読み、「突破」する~11月22日「特許網突破」セミナー御礼を兼ねて

11月22日開催の「特許網突破」セミナーへご参加いただきました皆様、改めて御礼申しあげます。

 また、開催に向け告知・ご案内などでご協力を賜りました皆様、篤く御礼申しあげます。 ご都合がつかず、お申込みいただけなかった方、次回、あるいは、弊社の他のセミナーにて、お待ちしております。


12月15日 「制約思考」セミナー 

1月18日 「未来創造設計書」セミナー


ご質問やご感想を頂いた部分を含め、内容の振り返り、また、補足をさせていただきます。




● どの出願に注目して作業を開始するか~「核となる技術思想」を見出すために


今回は、「数百件」の特許から、


「核となる技術思想」


をどのように見出したか、情報分析の過程と、特に重視した特許の一部について


「技術思想を把握する」


作業を紹介し、また、追体験いただけるような演習を入れました。



また、注目すべき出願を選び出すための手法について、一部


e発明塾「特許情報分析」


の抜粋も提示しながら、


「弊社で独自に開発した手法」

「今回用いた、審査経過や分割出願の経緯を用いた手法」

など、いくつか、試していただきたい手法を紹介いたしました。



特許情報分析の基本的な「型」や、注目すべき出願の選定法の基本的な考え方については、


e発明塾「特許情報分析」


を参照ください。演習課題に沿って受講を進めていただければ、一通りの手法と考え方が身につくように、設計された講座です。



僕の数学についての知識の範疇を超えていますが、たまに読み返すと
「ああ、高校の時の”塾”の数学の授業は、これがネタだったんだな」
という気付きがあります。
僕はこういう「元ネタ」探し/推論が好きです。
数学は、背景にある物理や経済などの事象を
理解することも含め、一つの問題を長く楽しめる点で好きです。
ただ、周りの同級生と比較すると、決して得意だったとは言えません。
(ので、数学のネタ/話題は振らないでください)


● 請求項に表現されている技術的思想と「実体」は?~難解なパラメータ特許を読み解く


あくまで結果論ですが、紹介した「突破」作業において、当時、発明塾で注目した特許の大半は、いわゆる「パラメータ特許」でした。物理/化学的な実体を、ある種の方程式(数学)を用い、概念に変換し、表現されていましたので、それらを


「逆に読み解く」


必要がありました。ここで重要なことは、


「どういう実体を、どこまで取りたいのか」


についての仮説と、


「そのために、どういう数学を用いているのか」


を仮説検証的に推定していくことです。



今回紹介した特許の一つは、


「溝幅ゼロの溝」


を取得する目的の特許であることが、そのパラメータの設計から、すぐにわかりました。

(明細書中の記載も、参考になりました)


また、別の特許では、数値の関係と


「円」


をもちいて概念を構成していたため、その背景に


「三角関数を用いているのでは?」


という仮説を立て、解いたところ、


「あっさり」


解けました。

JP355096 です。興味ある方はぜひ、トライしてみて下さい。)

もっとも、実際に塾で議論した際、当初は全員


「????」


でした。沈思黙考すること数分後


「解けた!!!!」


となり、あわててホワイトボードでいろいろ図示し、周りの塾生さんに検証を求めたことを、今でも鮮明に思い出します。


まさに、ちょっとした数学の問題を解く感じでした。

(さほど高等な数学は使いませんので、これぐらいでよければ、とても楽しいです)



● 我々が学んだこと~「実体」、「技術思想」、そして「パラメータ化」


セミナー中、資料に書ききれなかった、様々な気づきを紹介させていただきました。


「拒絶理由への対処法」

「分割出願の利用法」

もさることながら、やはり、


「実体を、どう、思想化し、表現するか」

「思想を、どのような数学を用いて変換し、請求項として表現するか」

について、特に気づきが大きかった特許群です。



拒絶理由への対応など、一部内容は、以下

e発明塾「本質から学ぶ特許概論」

に、収録しています。ぜひこちらも、ご参照ください。


個人的には


「数学をどう使うか」


について、とても考えさせられました。


発明塾生の大半も、度々混乱していましたので、多くの発明者には


「一見では、理解不能(つまり、近寄らないようにしようと思わせるに十分)」


な出願/特許だったと思います。



同じように考えて出願すれば、


「多くの人は、近寄りたくない」


出願が出来上がる、と考えています。

(一部、弊社の出願でも、実践しています)


「巧妙を超えて、”狡猾”」


な出願/特許だなぁと、いつ読んでも感じます。




今回ご参加いただけなかった方、また次回、ぜひ討議させていただきたく、よろしくお願いいたします。



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