「発明塾®」へようこそ!: 発明塾京都第173回開催報告~「教え合い」ではなく「学び合い」

2014年3月29日土曜日

発明塾京都第173回開催報告~「教え合い」ではなく「学び合い」

いよいよ卒業ということで、参加最終回の塾生さんも交え、173回を行いました。

今回も、各自の発明提案書を基に討議を行い、合わせて「知的財産戦略」に関するケーススタディを行いました。

このケーススタディは、立命館大学MOT大学院の講義でも、取り扱っているものです。今年は、4月25日の立命館大学MOT大学院での講義(石田教授担当)で、大学院生の皆さんと討議する予定です。

せっかくですから、問いの一部を、転記しておきましょうか。

「ビジネスモデルとは、収益構造のデザインであるという視点から、”知財戦略とは何か”ズバリ答えよ。以下のキーワードを適宜用いることを薦める(利益、投資、垂直、無力化、安定、成長、加速、Sカーブ、早期回収、数量、寡占、水平、巻き取る、差別化、巨額、仲間づくり、イネーブラー)」

これまでの発明塾討議の、総決算的な内容です。皆さん、きちんと答えられましたか?

繰り返しですが、唯一の正しい答えがあるわけではありませんので、今回の討議/他メンバーの回答案を踏まえ、自分なりにまとめておくことが、とても重要です。


昔からの癖もあって、僕はたびたび、このような「答えのない自作の設問」を、塾で討議してもらうことにしています。会社のメンバーは知っていると思いますが、このような「問い」を作り、それに対して様々な観点から回答を考え、蓄積していくことが重要です。

「自分で問いを作る」

のがベスト、という点は「KSQ」の議論でやりましたね。


僕が、せっかく塾生が集まる時間に「答えのない問い」を議論するのは、理由があります。

「会った時/集まったときに、本を読めばわかるようなことを話す」ことは、時間の無駄だ、というのが僕の基本的な考え方です。

これは、前職の時に「自分の開発した技術についてヒアリングに行く際に、相手の出願特許を隅々まで調べ、提案書を作って持っていく」という、独自の手法を編み出した時からの、考え方です。

僕は、この手法も含めた一連のノウハウを「特許情報を用いた技術マーケティング」として、講演/指導する機会を、たまに頂きます(注)。似たようなセミナーや論文は多いのですが、「皆さんホントにそれで実際やってみたの?」「うまくいくの?」というぐらい浅い内容で、少しがっかりします。

脱線しました。

「会わないと出来ないこと、をする」

これが、発明塾で集まるときの、基本的なスタンスです。多くの塾生同士で

「XXについてわからない」⇒「君の場合は、この本がいいよ」

みたいなやり取りが、行われているようです。その上で、「まだ本にも書いていないような、独自かつ最新の考え方や仮説」について、集まって討議してもらっています。

ある塾生さんの推奨本。
過去に一度、「スケッチ」の指導/講義をしたのですが、
その時の「モヤモヤ」を、持ち続けてくれていたようです。
ある種の絵を描く能力は、発明では極めて重要です。

僕は、起こすべきは「学び合い」だと思っています。「本読めばわかるようなこと」は、互いにさっさと本で済ませて、その上で「そこでしか起きないような、もっと突っ込んだ議論」を仕掛けていく。そんなやり取りです。

そうすれば「ここでしか得られないものに溢れた」場を、継続することができます。

発明塾は、これからもそのような場であり続けます。


※ 注) 絶大な効果がある手法なのですが、あまり大々的に広めるべきではないような、そんな気がしています。というか、そもそも、そこまで調べられる人も、あまりいないようです。