「発明塾®」へようこそ!: 「特許公報の束」をカバンに詰めて・・・~特許情報分析とは?(発明塾第365回/366回/投資部第15回)

2017年2月24日金曜日

「特許公報の束」をカバンに詰めて・・・~特許情報分析とは?(発明塾第365回/366回/投資部第15回)

2回分で失礼します。

日曜日の投資部は、前回に引き続き、ある事業アイデアのビジネスモデル検討を行いました。M&Aも含めた、事業参入の選択肢を、一つ一つ検討しました。

木曜日の発明塾では、アイデアコンテストに応募する発明提案書の討議と、現在注目している分野のエッジ情報探索を行いました。


討議後、塾生さんから

「自分には、検索能力が不足している」

という発言がありました。

小塚さん、安富さん曰く

「彼の力が不足しているわけではなくて・・・」

とのことでしたが、発明塾で

「スピード感ある議論」

をするために必要なレベル、という意味では、やはり

「不足している」

という表現が適切かもしれません。

理由はいろいろあるでしょうが、

「特許情報」

についての理解も、まだまだ、足りないのかもしれません。

で、タイトルの話になります。



● 「特許情報分析」とは?

発明塾における、特許情報分析の歴史は

「僕の個人的体験」

に、遡ります。概要は、以下論文の通りです。

特許情報を用いた技術マーケティング(TMJ誌より)

現在は、実際の特許分析結果をご覧いただきながら、僕が行った特許情報分析、および、情報分析にもとづいた企画作業を

「追体験」

してもらえる講座を開発しました。

e発明塾 開発テーマ企画・立案における特許情報分析の活用

上記論文は、既に10年前に公開されていますし、その後も、上記論文にもとづいて特許情報分析を提供される業者さんも続々現れましたので、僕、および、TechnoProducer株式会社では、特許情報分析や特許調査は行わないことにしてきました。
(誰でも出来ること、になっていると判断したためです)

しかしながら、最近、また

「特許情報を分析してほしい」
「特許情報分析にもとづいた、開発テーマ選定/技術マーケティングを支援してほしい」

という声*が、増えています。
(* 弊社に対するもの、です)

ご依頼のお話を聞いて思ったことを、以下に記しておきます。


● 調べるのは簡単、問題は「どうアクションするか」

以前から、特許情報分析の依頼があると、必ず、僕の個人的な経験談をお話しすることにしています。

「何のために、特許情報を分析するのか」
「特許情報を分析した後に、具体的に、どのようなアクションを起こす必要があるのか」

を、明確にイメージしていただきたいからです。

そのためには、

「個人的な経験談を、ありのままに、じっくりお話する」

ことがベストだということに、ある時、気づきました。


(画像をクリックすると Amazon.co.jp のサイトへ移動します)
Amazonのプログラムから画像を引くことにしました。
安富さんが、僕に
「ジブリの仕事術がオモロイ」
ことを教えてくれました


● (経験その1)特許公報をキャリーバックに詰め込んで、全国を行脚

よくお話しするのは、2000件ほどの特許公報を読み込み、特に有用と思われる情報が記載されている公報をまとめたキングファイル(多数)を、

「キャリーバックに詰め込んで、全国津々浦々にヒアリングに行った」

経験です。これは、本当に有益な経験でした。

当時、面談を申し込んだ方に断られたことはなく、また、その中の多くの方に、自分たちが開発している技術が

「どう使えるか」
「本当に使えるか」
「試してもらえないか」

について、腹を割って、かつ、

「サイエンスの側面も含め」

議論していただけたことに、大変感謝しています。

10年以上たった今でも、一部の方とは、お付き合いがあるぐらいです。

詳細は割愛しますが、

「会う前に、調べておく」

ことの意味というか、

「会う、という貴重な機会を生かすための情報分析」

について、

「悟り」(大袈裟ですが・・・)

を得た気がしています。

これは、現在の発明塾の運営方針

「集まる機会を、最大限、レバレッジする」

に、つながっています。



● (経験その2)先行他社の「中途半端な製品」を参考に、コア技術の本質を深堀し、強みを生かした製品を開発し上市

あまり書くと、その先行他社の方が気を悪くされるかもしれませんので、詳細は、お会いした時にお話しすることでご容赦いただきたいのですが、当時、

「技術の売り込み(マーケティング)」

と同時並行で

「自社製品の開発」

も、行っていました。現在、発明塾で

L.O.P(ラストワンピース)

と呼んでいる考え方の原型ができたのも、この開発の時です。

まったく同じ技術を用いて、同じ課題を解決する製品を開発していたにもかかわらず、先行他社が

「完全に見落としている、細胞の科学についての視点」

に気付いたときは、

「興奮が止まらなかった」

ことを、今でもはっきりと思い出します。

「あれほどの企業が、なんで、気付かへんのやろなー」

と、開発メンバーと何度も

「念押し」

の議論をした上で、開発に踏み切りました。

発明塾で、僕が口癖にしている

なんで、まだ無いの?

という視点も、この開発の時に、叩きこまれました。

この開発テーマは、資金調達も上手く進み、その後、事業売却(エグジット)されています。



お会いすると、まだまだいろいろなお話をさせていただくのですが、長くなってきたので、今回はこの辺で。


塾生さんは、ぜひ、続きの話など、積極的に質問してください。
僕にとって、上記のような話は、(多くの案件を通じ)日常茶飯事であり、完全にアタリマエになっているので、自分から積極的に話題を振ることはないと思います。でも、聞いてくれたら、それはそれで、喜んで答えます。


楠浦 拝



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