「発明塾™」へようこそ!: 「大学生が技術を学ぶ意味」と「発明理論」~立命館大学「発明講義」第13回報告(1)

2014年12月20日土曜日

「大学生が技術を学ぶ意味」と「発明理論」~立命館大学「発明講義」第13回報告(1)

立命館大学での「発明講義」(正式名称は”マーケティングリサーチ”)も、今週で第13回となりました。次回、最終発表とし、最終回は例年通り「クアルコム方程式」の勉強に充てたいと思います。

お楽しみに。


さて、今回の講義で年内最後になりますので、年末年始に発表できるレベルの発明を仕上げられるように、「そもそも発明とは」ということを、少し講義しました。


発明塾では、いつも教えていることですし、「発明塾講義(無料)」でも配信していることですが、改めてまとまった講義を行いましたので、板書内容を含め、ここにUPしておきます。


板書(1)左半分
Criticalな問題を解決しないと、意味はありません

板書(2)右半分
そのためにも、パレートの法則を理解しておきましょう


●発明とは「課題‐解決」である


塾ではいつも言っていることですが、「課題と解決」がセットで、発明です。

そして、「解決策の独自性」ではなく、「課題の重要性」で、発明の価値の大半は決まります。

「どうだ、この技術すごいだろ」


ではなく、


「この問題を解決できれば、どんなにすばらしいでしょう!」


というのが「発明思考」です。つまり、「課題の重要性」に、フォーカスするわけです。


そのために、以下2つのことを、理解しておく必要があります。



1)パレートの法則/べき乗則(Power Law)

イタリアの経済学者A.パレートは「イタリアの土地の80%は、20%のお金持ちによって所有されている」ことに気づきました。いわゆる「8:2」の法則です。
多くの自然現象や社会現象が、同様の法則に支配されていることが、わかっています。

発明に置き換えると、


「重要な課題にフォーカスすることで、大きな成果につながる発明を創出することが出来る」


となります。


こういうことを知らないと、「一見面白いけど、成果の出ない的外れなこと」に注力してしまうので、全学生が、学部で初歩的な経済学を学ぶのです。



2)T/O(Trade Off)

TRIZ/ARIZを発明塾で紹介しているのは、この「Trade Off」という概念について、アルトシューラーが触れているからです。

「Trade Off」とは、簡単に言うと、


「あちらを立てればこちらが立たず」


な状態のことです。例えば、


「強くすると重くなる、軽くすると弱くなるので、よい航空機用材料がなくて困るのよ・・・」


みたいな状態のことです。


これを「中間地点で解決する=折衷案を採択する」のは、「発明的」には、最悪の解決法です。



一般的な経済学のフレームワークでは、


「最適点がある」


という解決策の提示になり、まさに「中間地点」を探る理論なのですが、これは、経済学が「Static」な世界観に基づいているからです。


「技術の進歩=Dynamicな変化」


を前提にしていない、という意味です。ここに、


「理系の学生が経済学を学び、その限界を知り、それを超えるのが”技術”なのだと知る」


ことの意味があります。特に工学系の学生は、


「経済学を学ぶことで、技術を学ぶ意味を”明確に”知る」


ことが、出来ます。




世の中は「技術によって進歩する」のです。


「頭脳によって」と、言い換えることもできます。


18世紀のイギリスの経済学者 T.マルサス は「人口論」で、


「人口は幾何級数的に増大するが、食料は算術級数的にしか増大しないから、人類はいずれ極度の貧困状態に陥る」


と予想した。その後どうなっただろうか。


「イギリスも含めた、全世界の生活水準は飛躍的に向上し、かつ、人口が爆発的に増大した」


ことは、皆さん目の当たりにしている通りである。


理由は何だろうか。


一言で言い表せるような簡単なものではないが、マルサスが「少なくとも、低く見積もっていた(彼に敬意を表して!)」ものが何かと言われたら、


「技術の進歩速度」


だろう。20世紀に「緑の革命」をはじめとする技術の進歩によって、どれほどの「農業生産性」の向上があったか、興味がある人は調べてみるとよい。


「灌漑=土木技術」「肥料=石油化学」・・・「品種改良」「遺伝子組み換え」・・・


ネタには困らないだろう。



たとえば、講義で取り上げた「肥料」については、


「ハーバー・ボッシュ法」


により、メタンと空気中の窒素から、アンモニアが合成できるようになったことで、窒素肥料が安価に効率よく施肥できるようになった。


高校の化学で学んだ通りである。


何名かの学生さんが、憶えていてくれて、よかった。



ちょっと長くなりそうなので、まずは一旦この辺で切りたい。


大学生が、極めて短い講義時間(1.5時間しかない)中に、経済学、歴史、化学、を概観した上で発明に取り組めるように、かなりデフォルメして話している点も、ご容赦いただきたい。




この「お正月」に、技術系の学生さんには是非「経済学」を勉強してもらい、

「やっぱり技術を追求しよう!」

と、決意を新たにしてほしい。

このBlogが、その”ちょっとした”きっかけになれば、これほどうれしいことは無い。