「マルサスが UnderEstimate していた、技術の進歩速度」
という話をした。この点について考えれば考えるほど、
「経済学の未来予想」
は、いい意味で裏切られ続けることを確信している。
一つは、「Moore's Law」であり、もう一つは「インターネット/IT技術の進歩」である。
Intel 的進化 と Facebook 的進化 と言い換えてもよいかもしれない。
講義では取り上げなかった(失礼!)が、発明塾ではよく議論することなので、ここでまとめておきたい。
ここまでの文脈については、板書も、適宜参照してください。
●ムーアの法則(Moore's Law)
「半導体の集積度は、一定期間毎に2倍になる」という、正確には「予想」である。
Intel 創業者ゴードン・ムーアの、この「予想」は、日本を代表する半導体技術の企業である、CanonやNikon、フォトレジストメーカー(JSRなど)の努力もあって、今のところ当たり続け?ている。
コンピューターの性能が、幾何級数的に増大する、ということを意味しており、これは発明塾では定番の、
「シンギュラリティ理論」
に繋がっている。最近Googleに合流した「知の巨人」レイ・カーツワイルは、その著書で、
「20xx年に、コンピュータの情報処理速度は、人間の脳のそれを超える」
と予測している。
「その時何が起きるか」
ものすごく楽しみであり、それが僕が、
「常に”技術の最前線”にいたい」
と思う、一つの大きな動機となっている。
●インターネット/IT技術の進歩、特に「繋がる」能力
何をいまさら、だと思いますので、発明塾的な視点のみ、簡潔に述べておきます。
人口増による問題が、そのまさに「増えた頭脳」によって解決されてきたことは、疑いの余地は無いでしょう。生み出される知識が、人口に比例ではなく、
「ネットワーク」
によって、
「掛け算」(幾何級)
的に増大することは、未来予想を明るいものにしてくれる、と僕は考えます。
発明塾では、
「知らなくてもいい、検索して見つけ出せ」
と常に教えていますし、
「人が見つけていない情報を見つけることに、全力を尽くせ」
「隣の人間と同じ検索式を使うな、2人いる意味がなくなる」
と、常に指導しています。
「異なる個」が「繋がる」
技術。それが、現在のITの「発明塾的」な本質です。
解決策において、この「掛け算」が本質になるのですが、それはこの後。
●「解決」を、効率よく導出する
発明塾では、
「経験が必ずしも豊富ではない”大学生”が、発明に取り組む意味と”とるべき”戦略」
について、教えています。
よい発明を行うために必要な要素の一つに、
「情報(技術的知識、市場に関する知識)」
があります。経験豊富な技術者が発明に有利なのは、これを探すコスト(情報コスト)が極めて低いからです。
2008年ごろに使っていた、「化石」な資料
今見ると、いろいろ的外れで笑える
随分遠くまで来たな、と感じる瞬間
大学生が”ベテラン”に勝つには、
「情報コスト」
を下げるしかありません。つまり、
「検索技術」「情報分析技術」
の向上と徹底活用、です(注)。
その上で、
「有効な組み合わせを、効率よく生み出す」
ことです。発明は、
「課題と解決」「技術と技術」
の、組み合わせだからです。効率の良い組み合わせを生み出すために、常に意識しておいて欲しいことは、以下の二つです。
①意図的に「異分野」を結び付ける
②TRIZ/発明方程式などの、基本的な「発想ツール」を、徹底活用する
あと、もう一つ重要なのが、
③一人で発明するのか、集団で発明するのかで、方略が全く異なる
ことです。
結構長くなりましたので、一旦この辺で切りましょうか。
※ 注) KSFは決して、「自由な発想」では、ありません(笑