一つのケースをたたき台にして、進めましょう。
僕が昨年、母校のとある討論会に出席した時のことです。「自動車のEV化の流れ」などの話題を交えながら、「電機業界の現状と標準化戦略の重要性」(内容は、小川先生の受け売りに近い)について話したのですが、参加者の反応は「それは電機産業の話であって、機械産業には全く関係ない、そういうことは絶対に起きない」という、ややヒステリックなものでした。
一部の塾生さんが出席してくれていましたが、この議論にはさすがにびっくりしたようです。
僕が昨年、母校のとある討論会に出席した時のことです。「自動車のEV化の流れ」などの話題を交えながら、「電機業界の現状と標準化戦略の重要性」(内容は、小川先生の受け売りに近い)について話したのですが、参加者の反応は「それは電機産業の話であって、機械産業には全く関係ない、そういうことは絶対に起きない」という、ややヒステリックなものでした。
一部の塾生さんが出席してくれていましたが、この議論にはさすがにびっくりしたようです。
席上、多くの出席者から理由として挙げられたのは「電気自動車は、永久に普及しない」「工作機械は、すり合わせの極地の製品」。いずれも理由になっていないのは明らかです。
✔ 前者は、なぜ電気自動車が普及しないかを示す必要がある
✔ 後者は、工作機械が機械産業の代表値であること、もしくは、機械産業の大半を占めていることを示す必要がある
この手の議論は通常「平行線」をたどるため、いちいち相手にすると疲れますし、こちらも揚げ足取りをしたいわけではありません。生産的でないことに時間を費やすよりは、少しでも皆さんのお役に立てるようにしたく、ここでは少し違った「発明塾独自の思考法」を、一つ紹介しましょう。
✔ 前者は、なぜ電気自動車が普及しないかを示す必要がある
✔ 後者は、工作機械が機械産業の代表値であること、もしくは、機械産業の大半を占めていることを示す必要がある
この手の議論は通常「平行線」をたどるため、いちいち相手にすると疲れますし、こちらも揚げ足取りをしたいわけではありません。生産的でないことに時間を費やすよりは、少しでも皆さんのお役に立てるようにしたく、ここでは少し違った「発明塾独自の思考法」を、一つ紹介しましょう。
それは「もしXXしたらどうなるのか」ということと「もしXXするとしたら、そのための条件は何か」ということです。つまり、
①結論をひっくり返して、その影響を考える
②ひっくり返った結論になるための条件を考える
ということです。たぶん、クリティカルシンキングの一つだと思います(何シンキングかも、どうでもいいのですが)。
では行きましょう。
では行きましょう。
①「もし、電気自動車が圧倒的に普及したらどうなるか」
備えておかないと負ける。
モジュラー化するため、産業のアーキテクチャが変わる。
・・・(好きに考えてください)
②「電気自動車が普及するための条件は何か」
航続距離を伸ばす。
(そのために)バッテリー容量を増やす、充電インフラを普及させる。
ここに本質があります。前提条件をひっくり返すことで、新しい着想に至ることができます。これは、経営者にも共通することです。(1)で「先にやられると負ける」ことを考える必要がある、という話をしました。それと同じです。電気自動車が普及したら負ける、では話になりません。
いつも話しているように、「知財戦略」とはここに手を打つことに、他なりません。将来行使可能なオプション(*)を確保しておく。チャンスをつないでおく。それもまた、知財戦略です。
* ある会合で、経済学者の方に「知財権について、一言でわかりやすく説明頂けませんか?」と質問を受け、「例えば、特許出願とは、オプション購入のことです」と答えたことがあります。すごく納得されていたようで、「なるほど、そうだねー」と何度も頷いておられました。
皆さんも「XXは実現しない」「XXは普及しない」で終わらせず、「もし・・・」「・・・なるためには」と考えてみましょう。
発明を含めた、いわゆる「投資」は全て、「リスク管理」から成り立っています。リターンをコントロールすることは難しいため、取れるリスクを決め、それに応じたリターンが得られることを確認し、仕組み(ポートフォリオ)を設計することが重要です。
※ 参考:クアルコム社の「ダイナミック給電」技術
http://www.qualcomm.co.jp/sites/default/files/ja/common/qualcomm_halo_june_2012.pdf
「走行中に道路から給電する」技術の開発を進めている。