さて、今日は予定より仕事が進んだので、明日から始めようと思っていたコラムを前倒しします。今後「塾長の部屋」で、主に卒業生に向けてメッセージを発信していこうと思います。発明とは「一見」無関係な話題も盛り込みながら。
初回にふさわしいテーマはなにかと思いましたが、やはりこの本を再度挙げておきましょう。大学生が読む必要はないですが、社会に出て5-10年経てば、ぜひ読んで欲しい本です。ちなみにこの本は、今後も度々取り上げると思いますので、無理して読む必要は有りません。
・「BCG流経営者はこう育てる」菅野 寛 (著) 日経ビジネス人文庫
http://amzn.to/zVaNE3
会社のメールマガジンでも、何度か取り上げています。
http://technoproducer.blog84.fc2.com/blog-entry-107.html
今日、この本から取り上げるのは「決断コスト」です。この本では、経営者に必要なスキルを「科学系スキル(ロジカルシンキングなど)」と「アート系スキル(認知能力など)」に分けています。
発明塾でも、この二つに分けてアドバイスしていますが、それは、発明塾生を「リーダー」として育てたいという僕の考えによるものであり、また、「発明にはリーダーシップが必要」であり「発明によってリーダーシップが鍛えられる」と考えているからです。
ロジカルシンキングが得意な人は、往々にして「失敗した時のリスク」「出来ない理由」をすぐに考えついてしまう(それが得意だから)ため、決断できず、チャンスを逃す、と書かれている。
逆もまた然り(et vice versa)。
各自に「ロジカル系」か「アート系」かはアドバイスしているので、自分の弱み(偏り)を理解し、安易な決断(もしくは非決断=非決断は決断である)に流れないように、自分を御すること。
安易に飛びついてもいけないし、待ちすぎてもいけない。
自分の偏りを理解し、そのバランスを取るために「意思」(=忍耐力か決断力)を用いる。
僕の場合は「ロジカルシンキング」が比較的(あくまで比較論です)得意なので、放っておくと「やらない理由」が溜まってしまう。そこで「やる理由」「勝てる理由」を仮説として作り出し、徹底的に検証する。これを自分の決断が確信できるようになるまで、繰り返す。まさに「知的忍耐力」勝負。経験上(自分ならびに周りを見渡して)、これが楽しい(楽しめる)人は、企業家に向いている。
発明を通じて、それを日頃から行っておけば、適切な決断が自然に行えるようになる。このような時間のかかる教育や訓練は、社会に出てからは不可能(と、僕の周りの人間は常に言う※。僕は不可能と思ってはいませんが、これこそ決断の問題なのでしょう)なので、学生時代にこそ、やるにふさわしい。
これからもよろしく。
※少なくとも、会社内で教育してくれるようなものではありません(except 僕の会社)。
※しかし、本来企業の競争力を考える上で「できそうかできそうでないか」という議論ではなく、「困難であるが、これが出来れば間違い無く勝てる」という打ち手を追求すべきであり、もっと言うと「これを競合にやられると負ける」という打ち手を考え、それを先取りすべきなのである。これは、経営者・リーダーにしか出来ないことである。
※ちなみに「これをやられると負ける」という打ち手を考えて先取りするのは、まさに知財戦の一つの重要な考え方であり、他社の視点・競合の視点を持つことが、リーダーシップにおいても重要なのであるが、これはまた別の機会に譲る。
※ちなみにちなみに、「これを競合にやられると負ける」云々は、僕の会社の部下が指摘してくれた視点であり、非常に頼もしいメンバーに恵まれたと感謝している。
※ちなみに×3、そのメンバーはMBA取得者なのですが、僕が以前面接した時、「MBAって正直何の役に立つんですか」というある種非常に失礼(!)な質問に、とても「誠実」に答えてくれたことを今でもよく覚えている。当時ミンツバーグが「MBA不要論」を盛んに喧伝していたからではあるが。。。僕には答えはない。
役立てようと思えば、なんでも役に立つし、そう思わなければ、どんな知識も宝の持ち腐れ、ぐらいに考えている。むしろ重要なファクターとして、応用できる「器用さ」みたいなものは、あるかもしれないとは思っている。これの測定方法は、まだ開発できていない。
以下、芋づる式に出てきた部分の参考書を記しておきます。また個別に取り上げるはずです。
・当時読んでいたミンツバーグ関連の本
「H. ミンツバーグ経営論」Hミンツバーグ
・「なんでも役立てようと思えば役に立つ」を感じた本
「禅とオートバイ修理技術」RMパーシグ
ここで「禅とオートバイ」と言われて、そこに何か見出した人は「人が気づかない物事の関連性」に気付くことが出来る人です。僕はまだ読書中(これも別で書きますが、僕は同じ本を数年かけて読むことにしている)ですが。。。
・禅に関する本
「東洋的な見方」鈴木大拙
・禅に至るまで、日本について考えるきっかけになった本
「 日本の目覚め」岡倉覚三(岡倉天心)