前回の続きです。メルマガでも取り上げたのですが、知財に明るくない人でもよめる「知財報告書」として、中国電力の知財報告書(注1)を取り上げます。大学生もしくは新社会人向けに、要約抜粋をしており、あくまでも僕の私見です。
★知財戦略推進の基本理念(楠浦要約、原文は注1参照)
①創造性豊かな人材の育成と、その能力を発揮させること
②あらゆるところで生み出される知的資産を知財化し、競争力と企業価値を向上させる
③他者権利の尊重
実際、②に関しては「事業運営のあらゆる場面で生み出されている・・・」と書かれており、「知」を「財」にするという、知財活動の本質に関する執念のようなものを感じます。
★特許出願の目的(同上)
①自由度の確保。競合他社に取得されると、事業ができない(もしくは遅れる)ことで、損害が発生する。
②事業収益の拡大。クロスライセンスにより他社の技術を利用可能とする。競合他社のライセンスを受けると、ライセンス料が発生。
クロスライセンス(②)を、事業上の武器にする(チャンス拡大)というのは、非常に重要な視点です。
★特許価値の評価(同上)
ここで、いつも話している「相対的知財力(丸島用語:注2)」が出てきます。
「知」を事業上の武器にするための手段が「知財権(たとえば特許)」。各社がそれをどこまで追求しているか、知財報告書はそれを知る手がかりになります。
僕は「知」を「財」にすることを「頭脳にレバレッジを掛ける」ことだと理解しています。不確実な未来について、頭脳を絞ってアイデアを生み出し、費用を払い、その権利を取得する。これは、将来大きなキャッシュ・フローを生む可能性のある「知的空間」を「先物買い」していることに相当します。リスクを取って、リターンを得る。
皆さんも、自分の「知」の価値を最大化するための方法論を、しっかりと身に着けておきましょう。
ではでは。
※注1:中国電力株式会社「知的財産報告書」
http://www.energia.co.jp/eneso/tech/chizai/pdf/chizai-201202.pdf
※注2:「知的財産戦略」丸島 儀一 著