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2013年1月28日月曜日

塾長の部屋(34)~業務日誌と「ベカラズ集」

さて。しばらく書き込めていませんでしたので、久々に。就職活動組が増えて来ましたので、就職後に参考になるようなことを一つ。

①業務日誌をつける
②「べからず集」をつける

この2つを、おすすめします。


●業務日誌は「自分」のため

まず①は「今日どんなことをやって、明日何をやるか」を、箇条書きで良いので、まとめておく、ということです。達成したことを確認し、明日の計画を組むためです。

報告のためではなく「自分」のためです。


●「べからず」集とは~「同じことを何度も言わせるな」と言われる人へ

②の「べからず集」は、説明が必要でしょう。仕事のミス、指摘されたこと、失敗ではないけどヒヤッとしたことなど、改善したい点を自分なりにメモしておく、ということです。次の仕事に取り掛かる前に、それに目を通せば、自分なりのチェックリストになります。

「べからず集」とは「やってはいけないことリスト」ということです。

僕は、川崎時代に設計の仕事をしていたわけですが、図面について上司や関係者(現場など)に指摘された項目は、すべてメモして同じ指摘をされないように、次の図面に反映するようにしていました。
年間1000枚以上は図面を書いていましたから、いかにミスなく図面を描くか、ミスでなくとも指摘項目を少なくして、手戻りをできるだけ無くすことが、非常に重要でした(注)。たった一箇所のミスで、A0ロング(畳ほどもある図面)を出し直して、再チェックして、上司にサインを貰いに行くわけですので、その手間は結構なものです。

「べからず集」、実際につけ始めると、当然最初はかなり書くことがありますが、ある程度で無くなってきます。当時は図面も全部保存していたので結構な資料になりましたが、ノートにすれば1冊も行かないのではないでしょうか。

意識すれば、同じ失敗はしなくなる、ということです。

同じ失敗を何度も繰り返す人、同じ事を何度も言われる人(同じこと何度も言わせるなと言われる人)は、ぜひトライしてください。

自分を進化させるために、その進化の仕組みを、習慣にしておくことです。


※ 注) この話を弊社の別のメンバーにしたところ、やはり同じ事をやっている人がいました。

2013年1月24日木曜日

発明塾京都第116回開催報告

 第116回も無事終了しました。テスト中の学部生、卒論が大変な4回生は、しっかり目の前の課題で成果を出すようにしてください。それなくして、その先はありません。

 さて、今回は討議に余裕があったため、マインドマップ作成の注意点について話しました。もちろん、一般論ではなく「発明を出す」ということにおける、という限定付きです。

 重要なのは「作って満足しない」ということでしょうか。たまに、壮大なマインドマップを送ってくる塾生がいます。それはそれでいいのですが、単なる情報集め(昆虫採集)に終わってしまっては、その労力が回収できませんので(自己満足)、概念、アイデアを入れて構造化していくことが重要です。

 情報収集と、アイデア出しで、マップを分けることも良くやります。Topicのレイヤーが下がるたびに、新しいマップを作るのが理想的です。

 では、次回も宜しく!


2013年1月21日月曜日

発明塾京都第115回開催報告/塾長の部屋(33)~熱力学第二法則と経済学

 第115回も無事終了しました。少し前から、各自毎週の目標を立てて進めてもらっていますが、きちんと習慣化できるでしょうか。

 さて、今回もいくつかの発明を討議しました。ある発明を討議する際に「熱力学第二法則」のおさらいをしました。

・熱力学第二法則 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E5%8A%9B%E5%AD%A6%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E6%B3%95%E5%89%87

 以前、マックスウェルの悪魔について取り上げたことがありました。

・「イノベーションの正体見たり・・・」
http://edison-univ.blogspot.jp/2012/02/blog-post_19.html

 実は、高校で習う物理学の中で、最も奥行きがあるのが熱力学、特に第二法則だともいます。例えば、僕が大学院で専攻していたエネルギー工学には、環境経済学/エネルギー経済学という分野があるのですが、そこではエントロピーに関する議論が出てきます。

・「エントロピー法則と経済過程」N.G.レーゲン
・「エコロジー経済学」J.M.アリエ

 情報理論にもエントロピーは出てきますね。ちなみに僕は、経営という行為もエントロピー制御過程だと思っています。放っておくと、エネルギーが散逸して熱死に陥る。でも、上手く境界条件を設定すれば、自己組織化が生じる。

 そんなことを考えながら、現実の世界を見ると、まだまだ科学することがありますね。

 現象を通じて理論を知り、その理論が繋ぐ別の現象を追っていく。そのようにして勉強を進めれば、すべてが繋がっていることが、理解できるでしょう。

 字面で勉強するのではなく、原理原則を理解する。それを通じて、世界を「つながり」で理解する。

 発明塾はそのようにして、今後も進んでいきます。


2013年1月19日土曜日

立命館大学「発明講義」最終回を終えて

 15回に渡る「発明講義」も、2012年度の最終講義を終了しました。皆さんお疲れさんでした。今回は、前半はクアルコムに関する映像資料を参考に、解説を加えながら

・「特許とは」
・「不況に陥った米国が、1980年台後半にどのような手を打って、復活してきたか」

大きくこの2点について学んでもらいました。後者の方は、これからの日本がとるべき道、に対するヒントです。

 後半は、

・仕事での成長と成功なくして、充実した人生はない。
・組立産業の付加価値の極端な低下(iPhoneの組立コストは、端末価格の1%)
・製造業から金融業へのシフト(トヨタ、ホンダの利益の80%は金融)

について、話しました。一部は、京都大学での講義内容そのものです(注)。付け加えたのは、

・「大学生である君達にが見えているのは、世の中のごく一部。それですべてを判断せず、自分が知らないこと、知らない世界がまだまだあるという前提で、広がりを持った人生を設計してほしい、可能性を制限してしまわないようにして欲しい」

というメッセージです。

 最後に、授業アンケートから、感想を抜粋します。

・「自分が知らないことがたくさんある、という一言が一番印象的」
・「最高でした。」
・「新しい、の意味がわかるようになった。もっといいもの、ではなく、今までにないもの。」
・「もっと勉強したいと思った。危機感を持った。」
・「今回の講義はとてもためになった。悩みが深まった。」

 それぞれの目標に向かって、精進してください。

 では、またどこかで必ずお会いしましょう!

 Anyday on the Road !


※ 注) http://edison-univ.blogspot.jp/2012/10/blog-post.html


2013年1月11日金曜日

立命館大学「発明講義」最終回を迎えるにあたり~何を学ぶべきだったのか


 いよいよ、立命館大学での「発明講義」も次回で最終回です。本日全Grのプレゼンを見ましたが、まだまだこれからですね。もちろん、よく頑張ったことは認めますが、努力と結果を分けて評価する、のが僕流です。

 さて、そもそも本講義を通じて、何を学んで欲しかったのか、おさらいしておきましょう。講義中に話したことが大半ですので、まとめの意味も兼ねて。


1. 一つは、解の多様性を追求すること。

 これは、高校数学で教わるはず(注1)。それを、様々な問題に当てはめる訓練を徹底する。他の人の解、考えから学ぶことは多いが、最終的には、多様性を自分でも生み出せるようになること。

 サンデルも全く同じことを言っていたが、結局は、人間は社会的な生き物であり、それが強み。答えが一つではない様々な問題を乗り越えるには、いい議論が必要。いい仲間とは、いい議論が出来る相手。それを探すのも、また、高校・大学時代にやるべきこと。


2.そして、いい議論は、いい質問からなる。

 大事なのは、質問は何のためか、誰のためか、ってこと。


質問は「相手のため」である(注2)。

 だから、相手がその質問について考えることが、大きなブレイクスルーを産むような質問が、いい質問。すくなくとも、それについて誰かが答えることで、進歩もしくはそのヒントが生まれる質問がいい質問。自分が知りたいこと、もしくは揚げ足をとって(頭の良さ?を見せびらかして)点数を稼ぐことが、質問の目的ではない。

 世の中には、質問に答えるのに時間がかかる人もいる。一向に構わない。頭の「速い」タイプではなく「強い」タイプだ。そういう相手には、矢継ぎ早の質問を浴びせてはいけない。じっくりと、一緒に考える。そのための質問を考える。それが「質問力」。ファシリテーション。

 いい仲間とのいい議論、それに必要な「質問」能力。発明塾でも、立命館「発明講義」でも、それがテーマの一つ。


(画像をクリックすると Amazon.co.jp のサイトへ移動します)
Amazonのプログラムを利用して画像を引用することにしました。
この手の本は、実にいろいろありますが、
まずはこの本。



3.もう一つは、課題を決めること。

 
 この訓練は、現状、大学でしかできない。何を解決すべきなのか、何が価値ある問題なのか。解決の価値は、課題で大半が決まる。

 中学校では、決められた問題を、決められたように解く。高校では、決められた問題を、様々な方法で解く。大学では、問題を決めることを学ぶ。社会では、それを実践し、成果を出す。


4.あともう一つ。徹底的に考えること。

 様々な視点から考えること。自分一人の視点ではなく、他人の視点を持つ、学ぶこと。それには他人と議論し、その批判を受けて、さらに考えることしかない(注3)。


なんでそんな質問が出てくるのか(注4)。

 相手の思考回路を探る。自然と、他人の視点で自分のアイデアを見る(批判する、質問をする)事ができるようになる。


5.他、結びの言葉に代えて

 「大学時代に、絶対に勉強しておくべきことはなんですか?」 と聞かれたら、多くの場合、僕は「勉強法」と答える。一生使える「頭の作り方」を大学時代に身につけて欲しい。

 そして、他に学んで欲しいことの一つに「チームワーク、リーダーシップ、役割分担、フォロワーシップ」特に「組織で創造的になる方法」がある。あと、「情報分析」も、しっかり身に付けてほしい。これは「仮説思考」と大いに関係がある。

・例)特許情報分析セミナー http://edison-univ.blogspot.jp/2012/10/blog-post_17.html

 他、「人の考えないことを考えること、答えが一つではないことを考えること」もある。「このとおりやったら正解ですよ」というのは、高校で終わり。社会には唯一の解は存在しないし、答えにたどり着く方法も一つではないし、その方法も、多くの場合、だれも教えてくれない。自分で考える訓練をすることが、大学でやるべきことだと、僕は考えます。

 で、最終講義は、僕から皆さんへのメッセージと半分、クアルコムという世界最強の企業の紹介半分、とします。



※ 注1)僕は「甲斐塾」の数学の講義で、徹底的にこれを教わりました。よくもまぁ、こんなに様々な解法を思いつくなぁ、と思うぐらい、生徒が次から次へと前に出て、黒板にびっしりと別解を書き綴る様は、壮観です。僕はあまり参加出来ませんでしたが。

※ 注2)これは、僕と社内メンバーの一致した意見。別に摺り合わせたわけでもなく、学生から質問を受けて、自然と同じ答えが口をついて出た。

※ 注3)そのために一つ「言い逃れや言い訳をしないこと」が重要。意見は素直に受け入れ、じっくり練り直す。批判や質問を、次に活かすためには、「言い逃れ」は障害にしかならない。その場を上手く繕わないことが、君たちを成長させる。
 そして、繕わなくて済むように、事前に「ありとあらゆる角度から」考え抜くことが、大事。批判されて沈没したくなければ、考え抜くしかない。

※ 注4)リバースエンジニアリング。これができる生徒が伸びる。



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2013年1月10日木曜日

発明塾京都第114回開催報告

 なんだかもはや、通常の回の報告は意味をなさなくなっているが、回数カウントのために(笑)報告しておきます。

 今回は、年末年始を挟んだだけあって、ほぼ全員が何らかの作業結果を持ち込むという、非常に好ましい状態でした。若干討議時間が不足気味かも知れないが、それぐらいが丁度良いと思っている。もっと議論させろ、と言えるぐらい準備してきて欲しい。

 次回まで何をしてくるのか、自分で目標を宣言して、進めてください。

 では。 Chao!

2013年1月6日日曜日

塾長の部屋(32)~「目標の立て方」と「管理」

 さて。
 
 新年早々、恒例の作業の一つに「目標」を立てることがあります。塾生全員の目標が出揃ったところで、目標の立て方について復習をしておきましょう。

 僕の場合は、目標管理のツールは「フランクリン・プランナー」(注1)を使っています。別にこれに限らないと思いますが、個人的にはここ10年ほど愛用しています。今のところ、自分にとってこれを超えるツールが見当たらないので、しばらくは使う予定です。

 あとは「5年日記」(注2)です。毎日5行100文字程度の日記が、5年間つけられるようになっています。同一日付の出来事を最大5年分振りかえれる、のはなかなか重宝します。これも10年以上使っており、3冊目に突入しています。

 目標の立て方は、大きく分けて2段階になります。①結果目標(年間) ②プロセス目標(週ごと) です。例えば「①今年は4件の発明を特許出願する」「②そのために、毎週XX時間の発明時間を確保する(できれば毎日XX分行う)」のような形です。

 よく結果目標だけ立てる人がいますが、実践するための具体的な「時間」計画に落とし込まないと、多分達成できません。また「XXについて完璧に理解する」のような、測定不可能な目標も、最終目標としては避けたほうがいいでしょう。達成感が得られないからです。

 「プロセス目標」の最小単位は「週ごと」が良いでしょう。ほとんどすべての人は、一週間をひとつのサイクルとして生活していますので、ここに「時間」を組み込むのが、一番無理がありません。一週間のスケジュールを予め組んで繰り返すことにしても良いですし、毎週土曜日か日曜日に、次の一週間の「時間」計画を立てても良いでしょう(僕はこちらのパターン)。

 会社勤めの人は「1ヶ月」の目標を立てることが多いですが、僕はあまりおすすめしていません。1週間の積み重ねが、1ヶ月になる、という風に組む方が良いでしょう。1週間は必ず7日ですが、1ヶ月は日数も違いますし、生活リズムとも、かみ合っていません(注3)。

 さて、年末年始に「フランクリン・プランナー」を用いて「ミッション・ステートメント」の見直しも含めた、振り返りと目標の見直しを行ったのですが、偶然、手帳を使い始めたころの「一週間コンパス」(注4)が出てきたので、参考までに可能な範囲で転記しておきます。

 10年ぐらい前のものですので、30才頃、ちょうどコマツで新規事業開発をしていた頃のものです。当時、僕が置かれていた状況を如実に反映したものになっています。現在は全く異なることを書いていますので、過去のものと見比べることは、自分の今後を考える上で非常に参考になりました。

・役割「リーダー、コーチ」
 エゴを捨て、他に求めず、明るく、手本となり、他者を励まし、手助けをし、他者の能力を100%引き出す。

・役割「自立者」
 自立する。チャンス、努力、計画、準備と実行。

・役割「家族とパートナー、仲間」
 割愛。。。

・役割「エンジニア」
 IntelligenceとTechnology、情報分析と意思決定

・役割「読書家」
 古典、名著、スキルUP、文化と歴史、流行りを捨て、持たずに読む。

・役割「プロフェッショナル」
 顧客への誓約、プロとしての倫理とペルソナ、必要なスキルの洗い出しと修得

・役割「教育者」
 互いに教えあう仕組み、人つくりをキャリア後半の中心に

・役割「求道者」
 自己の内面に隔絶されたコアを持つ、自己との対話のツールとしての読書、思索の相手と場を持つ。

 自分が目指すところは何処か(Where, What)、それにたどり着くために毎週何をするか(What, How, When)、と落としこんでいけば、着実に成長します。

 皆さんもぜひ、今年の目標を達成するために、参考にして「毎週」の計画を立ててください。

 では!


※ 注1)「7つの習慣」S.R.Covy とセットのツールです。

※ 注2)いろんなメーカーから出ています、特にこだわりはありません。

※ 注3)1ヶ月毎に行うべきなのは、売上管理(もしくは家計管理)ぐらいでしょうか。

※ 注4)「フランクリン・プランナー」に付属の、一週間のおおまかな目標管理をするためのツール。結構重宝します。使い方はいろいろ有るようですが、僕は目指すべき方向を忘れないための、まさに「コンパス」として使っています。


2013年1月1日火曜日

塾長の部屋(31)~21世紀を「記した」本

 あけましておめでとう。

 年頭の挨拶にかえて、21世紀を舞台にする塾生さんに、20世紀から21世紀に時代が変わったことを象徴する技術革新について、2冊の本を紹介します。もちろん、ベテラン組にはすでに紹介済みの本です。

①「21世紀の挑戦者 クアルコムの野望」
②「クレイグ・ベンター自伝」

いずれも、2000年前後で大きく発展を遂げた技術革新をリードした「人達」の、歴史です。21世紀は、現在のところ「ICT」と「生化学」の時代です。

 ①はすでに、立命館大学での特別講義なども含め、度々紹介済みですが、無線通信の巨大企業に成長したクアルコムに関する本です。CDMA技術がなければ、現在の携帯データ通信はありません。自宅裏?の馬小屋で創業したベンチャーが、世界の無線通信を支配するようになるまでの物語です。

 ②も、一度紹介していますが、ヒトゲノム全解読という偉業に一人で臨んだ天才学者/起業家の物語です。ショットガン法、という天才的な方法を発明し、政府(米国)の支援なしで独自にヒトゲノム全解読に至ったというのは、ただただ驚きです。

 後者については、その中身をよく知らずにニュースを聞き流していましたし、前者については、よく考えたら「関西セルラー」で始まった僕の携帯電話生活は、常にCDMA技術とともに在ったわけで、20世紀が21世紀になった瞬間、を中身をよく知らずに体験していたということかも知れません。

 いずれも、10年以上の長い時間を経て、人類に大きく貢献している発明の物語です。続きを書く皆さんにも、きっと参考になると思います。

 というか、参考にしてぜひ続きを書いて欲しい。

 では、今年もよろしく。


2012年12月28日金曜日

塾長の部屋(30)~2012年を振り返って

Hello guys.

 今年もいよいよ残り数日。振り返って、新たな目標を定める時期です。各自は、自分が年初に立てた発明目標と実績、そこに至るプロセスを振り返り、2013年の目標を定めて宣言してください。

 2013年とは、発明塾にとっては、その活動が4年目に入ることを意味します。未来を創造する「Futurist」集団として、ますますの飛躍が求められます。


 2012年を少し振り返りましょう。発明塾がどのようなことを目指し、どう発展してきたのか。

・「知的体育会であること」 
 これは、知識ではなくスキル(身体知)の修得を目指していることを意味しています。知識詰め込みの「お勉強」だけでは、役に立ちません。しかし、勘違いしてほしくないのだが、「憶える」ことが不要とは言ってはいない。むしろ対極で、「完璧に憶えてしまうこと」を要求しています。スキル習得とは「内面化(internalization)」(注1)なので、憶えることが前提だからです。

・「学習する組織であること」
 自ら「発明法」を生み出し、表出化/体系化し、それをさらに互いに学んでいく。実際、僕自身の発明法の講義を始めた(注2)4月以降、各自が自分なりの発明理論をまとめて、積極的に共有化してくれるようになりました。Learning Organization として、着実に進化していると思います。

・「成果を出す」
 目に見える成果を出すことで、「社会から」具体的なフィードバックを得ることができます。それが皆さんの自信につながり、さらなる向上/成果につながります。成果にこだわりましょう。今年は、殆どの学生が、何らかの形で「発明創出」をすることができました。貴重な機会を頂いた関係者の方々に、改めて感謝申し上げます。


 振り返ってみると、2012年は発明塾として様々な進歩がありました。ご協力、ご支援いただいた企業の方々には、深く感謝申し上げます。

 僕自身は、派手な宣伝活動も、大人数を集客したイベントの開催も、キャッチーなタイトルの本を出版することもなく、今後も地道に人材育成に取り組んでいきたいと思います。

 発明が、大学生でも確実に習得できるスキルであることが分かりましたし、その手法が幾つかのタイプ(頭脳の型に依存する)にわかれることもわかりました。現時点で、ほぼ完璧といえる発明教育法が、僕の手の中にあります。

 それを基にぜひ、新しい未来を創りたい。そう思っています。

 僕は僕のやるべきことをやる。

 それが、来年の抱負です。


※ 注1)「暗黙知の次元」ポランニー 参照。ポランニーは「indwelling(内在化)」とも表現している。いずれも「頭の中で繰り返し再現(reproduce)することで、その概念・知識と一体化する」というプロセスを指している。

※ 注2)講義資料が、下書きも含めてA4ノート8冊になっている。僕は甲斐塾講師時代から、手描きの講義ノートを作ってから、講義に臨むことにしています。しかし、これほどのペースで作成したことは、一生を通じて初めてです。発明塾で、如何に多くの「知」が創出されたか、ということを物語っています。


2012年12月24日月曜日

京都大学「ものつくり演習」講義レポートを読んで~在るために働く(B価値)

先日、10月に行った講義(以下参照)のレポート課題が届きました。本日、少し時間がとれたので、ゆっくりと目を通しました。

・「京都大学「ものつくり演習」講義報告


1.レポート課題
レポート課題は「世界的に早急に解決が求められている課題で、最も重要と思うもの」を挙げてもらって、機械工学がその解決にどう貢献できるか、を論述してもらう内容でした。

課題として挙がっていたのは、「エネルギー」「CO2削減」「高齢化・医療」「水・食料」などでした。エネルギー問題がやや多かったのは、3.11事故の影響かもしれませんね。あるいは、併設されている「エネルギー応用工学専攻」に興味がある学生かもしれません(僕も、この出身です@大学院)。

殆どの学生が「これまで受けた講義の中で最も面白かった」と言ってくれていました。京都大学には、かの有名な「瀧本先生」の講義もありますので、褒め過ぎのような気もしますが。


2.講義の感想
講義の感想についても、紹介しておきましょう。全体的なコメントは、

「自分で考える時間が与えられたのが良かった」
「世界で勝てる日本を作っていきたい」
「考えるに伴って、多くの知識を貪欲に自分のものにして行かなければならないと感じた」
「話が非常に巧みで、とても引きこまれた」
「もっともっと話が聞きたかった」

といったところでした。皆さん熱心でしたね。

1)発明、発想法に関して
少なからぬ学生が「人と違うことを考える、する、ことの重要性」に気づいてくれたようです。

「これまで、周りの人と同様にやっていれば大丈夫と思っていた自分には、とても衝撃的な授業でした」
「同じ事を、繰り返しうまくやることを目指してきた自分にとって、不安ではあるが受け入れざるをえない現実と感じた」
「強制的にでも、人と違う考え方をしてみようと思った」
「他人と同じ事をやったり、考えたりしても意味が無い」
「頭を使うことこそが仕事、という一貫した主張がわかり易かった」

といった正直な感想を寄せてくれました(多少モディファイしています)。



(画像をクリックすると Amazon.co.jp のサイトへ移動します)
Amazonのプログラムを利用して画像を引用することにしました。

皆さんに、大学時代に取り組み始めておいていただきたいことは、
「知識の詰め込む」ことにとどまらず
「知識創造の楽しみ」を味わうことです。
僕は、大学時代、「教材作成」に明け暮れました。
とても楽しかったこと、また、いま、それが非常に役立っている
ことを、お伝えしておきます。


2)仕事やキャリア
何名かの学生さんが、僕の言葉を引用して感想を寄せてくれました。

「『仕事をするということは、みんなが思っているほどつまらないものでも、悪いものでもない』という言葉が印象的でした。自分たちは、バブルも知らず、失われた20年に育ってきた夢も希望もない世代ですが、働くということや将来を少し前向きに考えてみようと思いました」
「何となしにやるべきことがわからず、無気力にくすぶっていたが、勉強してみようという意欲が湧きました」
「自分の将来に関しても、明るい気持ちになった、モチベーションが上がった」
「これほど、自分が将来出ていく社会が楽しいものだと思えたのは、久しぶりだった」

講義の感想に「失なわれた20年」とか(!)、メディアも煽りすぎなんじゃないの(笑)という気もしますが、働くということを前向きに考えてくれるきっかけになったなら、とてもありがたいです。ちなみに僕が就職した時も「バブル崩壊、就職氷河期」真っ只中で、研究室の先輩にも、なかなか就職が決まらない方が居られたりして、「日本沈没的」な雰囲気が漂っていました。しかし、今のところ、結果的にはそれほど暗い職業人生ではありませんでしたし、年の近い諸先輩に伺っても、おおむねそういう感想をお持ちのようです。

少なからぬ学生が、働くこと、社会に出ることについて、非常にネガティブな印象を持っていることは、ここ数年非常に気になっています。だからこそ僕は「働くことがどういうことなのか」を、真面目に語らねばならない、と思っています(注1)。

繰り返しですが、僕は各自が仕事を通じて世の中を少しづつ良くしていくことが、最も現実的で確実な「明るい未来」の作り方だと思います。一つ一つの仕事を、妥協なく、「将来の世代のため」という判断基準で行なっていくことが、我々に日々求められていることです。大金持ちになって寄付するよりも、実効性のある「革命」手法だと思います。


3.ものづくりと経営
経営、金融、知財、といったテーマを取り上げて、「技術以外に勉強しておくべきこと」について話をしました。

「ものづくりと経営、経済について深く考えるきっかけとなった」
「経営学を学んでみたいと思った」
「機械工学と経営学が、こんなに結びついているとは知らなかった」
技術にとどまらず、もっと広い視野で技術者として勉強、成長したいと思ってくれたようです。何名かは、将来経営者になりたい、起業したい、と書いてくれていました。


4.まとめ
講義で紹介した各種参考書に興味を持ってくれた学生さん、購入したという学生さんもいて、講義をしてよかったなと、思います。

「4力(注2)と設計の勉強をしていれば、技術屋として生きていけると思っていたが、それだけでは足りないと分かった」
「昨今の電機業界の状態を見て、技術の勉強だけをしていても勝てないと改めて感じた」

もっと勉強しよう、と思ってくれたなら、それで十分です。

何名かの学生さんは、発明塾に興味を持ってくれたようですし、すでに2名は参加してくれていますから、京大機械系から、何名かの「発明家」が僕に続いてくれることを、大いに期待します。発明塾に来るなら、春休み2月から来るのがベストです。

「人と違うことをする」=「人が遊んでいる間に勉強する」

ですよね。

最後に、ある学生さんのコメントを挙げておきます。

「『世界はますますIssueベースの取り組みに変化している。いつまでも機械が目的でいいのか?』という言葉が最も印象に残っている。私達が作ろうとする機械の先に、常に世界規模の困難な課題というものを見据えなければならない。優れた技術者であればあるほど、より大きな義務感、使命感を持たなければならないと改めて思うようになった。」

みなさんのレポートは、僕にとっては、最高のクリスマスプレゼントになりました。

ありがとう!

ちなみにレポートは、論理構成と独創性で評価させてもらいました。




※注1)"Maslow on management"「完全なる経営」A.マズロー を僕が度々取り上げるのも、それが理由。僕は、働くことは、自分が存在する(Being)理由を「創り出す」ことだと思っている。「XXが足りないから働く(D欲求)」のではなく「ZZとして在るために働く(B価値)」のだ、と。
 「お金を稼ぐために”だけ”、働くのではないんだよ」という、僕の講義中の言葉を挙げてくれた学生もいました。上手く伝わっていると良いのだけれど。

※注2)機械工学では「材料力学、熱力学、流体力学、機械力学(振動工学)」を4力(よんりき)と呼ぶ。機械工学の基礎。



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