「発明塾™」へようこそ!: 「前提を疑え」

2011年6月1日水曜日

「前提を疑え」

ここ数回の塾生さんの発想パターンを見ていると、別に誰もそんな制約条件を課していないのに、暗黙の制約条件に縛られ、その中に答えがないと苦しんでいる例があります。

ブレークスルーのコツは「前提を疑う」ということ。正確には「自分が暗黙のうちに設定している制約条件が何かをあぶり出し、それを否定する」ことです。

✔ 自分の思考の前提になっているものは何か。
✔ そして、その前提を取っ払い、別のところに新たな箱(制約条件)を作れないか。

のように考えるのが発明です。

「そんな事考えていいの?」と、一瞬ためらうぐらいのことを考えましょう。
考えてはいけないことなど、世の中には(ほとんど)ありません。

また、行き詰まるときは、だいたい制約条件が間違っています
適切な制約条件の設定とは、単に「上位概念化」や「枠を広げる」とかいうレベルのことではなくて、これまで暗黙のうちに設定していた前提と、全く違うところに箱を作ることを指します。


たとえば、僕が2004年以降に取り組む羽目になった「ナノインプリント技術の実用化開発」では、これでもかというぐらいに、次々と難問が発生しました。
そして、それらは「一見、常識はずれ」の手法で解決できました。

「一見」が重要で、「常識が、間違っている」「常識が、偏っている」ことを、いかに早く見出すか、が重要なポイントであることを、この時の数年で学びました。


◆ 「半導体製造に使うなら精密な装置が必要」と言われ装置開発をしていたが、用途は「半導体」ではなかった。

◆ 「金型は、電子ビーム描画で作らなければならない。凄く時間がかかるので、4インチで数千万から億単位になる」と言われていた。「ホンマかいな」ということで、独自に調べまくった結果、高速の電子ビーム描画装置なるものが、ある業種の方々の工場にこっそり存在し、4インチ100万円程度で製造できることがわかった。

◆ 「金型とウエハーが剛体接触だから、面の厳密な平面度と、大きさ合わせが重要(委細は割愛)」と言われていたが、「だったら」と弾性体接触にしたら、あっさり解決した。

◆ 「金型表面がナノ構造であるため、型の耐久性が問題になる」と言われ、「ナノ金属の疲労強度」の研究にまで手を染めた。めどが立たず苦しんでいたある日、ふと我に返り「金属をやめてしまえば?」「型として樹脂レプリカを使えば?」と思い立ち、試したところ、あっさり成功した。樹脂レプリカだと耐久性が問題と言われたが、それは全く問題にならなかった。正確に言うと、表面だけ金属にすれば解決した。熱せられた樹脂には疲労という概念がなく(多分、動的に回復する)、硬さというのは表面だけで決まるということがわかった。「耐久性とはなんぞや」という問いが足りていなかった。

◆ 「金型のナノレベルの穴の中に入った樹脂の汚れは取れない」「燃やす(半導体プロセスでアッシングという)しか無い」と言われていたが、犠牲膜を作り、「洗うときに金型表面を溶かす」という手法で解決できた。溶かした表面は、また「膜」を作れば再生するため、半永久的に使える可能性を見出した。まさに一石二鳥だった。

◆ ナノレベルの構造物は、一つ一つ測るのが大変(例えば「AFM」を想定して下さい)で、その高速化(「高速スキャン」と呼ばれた)が課題と言われていたが、構造物を一つづつ計測せずに形状を「推定」する手法が存在し、解決できた。


「前提を見直し」「正しい問いを立て」「調べまくる」という、ごく当たり前のことができないから、なかなか良いアイデアは出ないわけです。

行き詰まったら、「自分がなににハマっているのか」と問いかけてみると良いでしょう。



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