それは「攻める」ことである。
時間節約のため、塾生に送ったメールを引用しながら進めます。
>>>以下引用
・僕が持っている、発明の規準
を共有できていない気がします。
どんない正しい方法で取り組んだとしても、自分の中の規準が間違っていると(甘いと)、世間の規準に到達できないので、「規準を盗む」 ことに注力したほうがいいでしょう。
世間の規準に到達できるかどうかは、
・「世間の規準」を、明確に理解していること
・そこに達するまで、諦めず(正しい方向の)努力ができること
この2つだけです。前者を満たしていないと、自分では満足しても他人が満足できないものが、出来上がってしまう。
自分の規準を上げること。自分の中の規準が甘いと、結局、周りから見て「グダグダ」なものが出来てしまう。
>>>引用終わり
社会人的には、プロ意識、と呼ぶべきものだと思います。ちなみに、トクヴィルは、同様のことを
「自分の考えを、そのあらゆる論理的帰結にまで突き詰め、しばしば、虚偽や非現実と紙一重のところまで近づかざるを得ない」
と、述べています(「アメリカのデモクラシー」)。発明においても、「自分の思想を突き詰め」てください。発明とは「新たな技術思想の創出」なので。
ちなみに僕は、仕事のことを考え過ぎたり、発明をし過ぎたりするとたまに、「あー何となく狂いそうだな」ということを感じる。将棋の羽生氏も「狂気の手前」などと、著書に書いていましたが、レベルは違うでしょうが、同様の感覚ではないかと思います。
そこには、古今東西の人が指摘している、共通の何かが在るのでしょう。
>>>以下引用
焦る必要はない。先行技術を技術文献としてしっかり読み、それを分析、思想化する。
焦る必要はない。先行技術を技術文献としてしっかり読み、それを分析、思想化する。
その繰り返しにより、突破すべき技術的な壁が見えてくる。それを「課題」という。
丸島先生の本に、ゼロックスの特許網を突破した時のことが書いてある(「知的財産戦略」のコラム参照)。
・メルマガ120号
先行技術を分析し、思想化し、突破すべき壁を設定する。それは、特許だけではなく研究(論文)、事業( 先行している企業の事業分析)も同じ。すべての基礎になる。
ちょっと面白いからといってやっていては、人生が終わってしまう(利根川進 ノーベル医学・生理学賞)から。
>>>引用終わり
発明塾生に限らず、僕が誰かと何かを一緒にするとして、その人達に求めるものの一つ「素直さ」。それは「素直に諦める」ことを意味しない。「成果を出そうとする意思」が前提にある。
「意思のない素直さは、害悪でしか無い」
と思っている。
「課題が見つからないので発明ができません、また来週までに探してきます」
素直だけど、それは意味が無い(言い訳ではない、という仮定で)。たぶん永久に発明は出せない。むしろ、
「なんでもいいからとにかく発明してみました。先行技術はありません。これが解決している(出来る)課題について、考えたいと思います」
の方が、だいぶマシである。
結果に向けて、とにかく攻めよ、ということである。自分の規準を高く持ち、結果のために手段を選ばない。その上で、粘り強く、じっくりと取り組む。ウロウロ、キョロキョロしない。
実はそれが、発明の最大のコツである。
そしてその能力は、むしろ発明ではなく、人生の様々な場面でこそ、武器になる。