「発明塾®」へようこそ!: 立命館大学MOT大学院 第一回講義を終えて~「教室」の可能性

2013年6月9日日曜日

立命館大学MOT大学院 第一回講義を終えて~「教室」の可能性

今月から、MOT大学院での講義が始まりましたので、所感を。

実は、始まる前から今年は一つ変化がありました。いわゆるLMS(学習マネジメントシステム)の変更です。

・Manaba
http://manaba.jp/ja/

ハーバードビジネススクールでも利用しているそうです。
http://manaba.jp/91

昨年までは、おそらく自主開発と思われる教材の共有システムを利用していましたが、よくも悪くも、「伝言板」と「電子資料配布」の仕組みを抜けていませんでした。

2013年度の準備を始めるにあたり、LMSが変更になるということで、利用法を色々考えていました。注目している機能はいくつかありますが(注1)、いずれも、SNS的な部分が利用価値が高いと考えています。

講義でも少し利用してみましたが、学生間、学生・講師間の情報の流れをうまく(速く)制御することが出来るツールだなと、実感しました。

以前から発明塾では、この「情報の流れをいかに早くするか」に挑戦し、それにより、各自の能力を限られた時間内で最大限引き出し、成果に繋げられることを、度々実証しています(注2)。

立命館大学でも、同様のことをやりたいなと思っていましたが、インフラが整わず(セキュリティの関係もあり、学内のPCに各種ソフトをインストールすることが出来なかったので)断念しておりましたが、意外と速く、整備されました(注3)。

今年は、昨年以上に「教室の可能性」を追求していきます。

なんで、こんなことを言うか、と申しますと。。。


ちょうど都合のいい(笑)記事がありましたので、引用させて頂きます。

・「単位はネットで買えるか」
http://ameblo.jp/asayoji-zeirishi/entry-11546560488.html

ここに引用されている内田樹氏(注4)の意見は、MOOCsやeラーニングを考える上で、無視できないものでしょう。限定された空間が、質の高い活動に必要、という点は、以前私も書いています。

・「イノベーションの正体見たり・・・」
http://edison-univ.blogspot.jp/2012/02/blog-post_19.html

「膝付きあわせ、口角泡飛ばして」の「知識の応酬」が、学びの中心であるのは、私もその通りだと考えます。

ペンシルバニア大学/エイミー・ガットマン学長は「当然その程度のことは」、踏まえた上で、同大学のMOOCsプロジェクトを推進していると考えるのが、妥当でしょう。

MOOCsやeラーニング/「教室」講義それぞれの可能性について、ここで書けるレベルにとどめた場合、僕は以下を想定し、立命館大学での講義にも、その要素を取り入れたいと思っています。

・MOOCsやeラーニング
 「思考実験」により、批判的に自習ができる学習者への、より多くの機会の提供
 すでに各方面で実行されている、SNSとの接続
 反転学習のツール(教科書は家で読んでおく)
 補習(むしろ、こちらが「教室」講義になる可能性も高いですが)

・「教室」
 学習者間/学習者・講師間のリアルタイム、制限時間付き「知の応酬」による、より多面的で緻密な学習
 協調性を求められる、実験・試行錯誤的なコンテンツの提供(いわゆる、実験や演習)
 身体知の伝授

ところで、「教室」とは、物理的な場所を必要とするのでしょうか?


ペン大が、様々なツールを駆使して、より裾野を拡大しながら、高みを目指していると考え、今後の取組に注目したいと思います。

立命館大学も、負けてられないと思いますよ(笑。ペン大も「私学」ですからね。


そのうち僕の講義も、

「テキストは読んできてね。読んで理解している前提で、演習から始めます。理解できないポイントは、予めSNSで仲間と共有して、教えてもらっておいてね。どうしても残っている質問のみ、冒頭で簡潔に僕が答えてから、演習を開始します。」

みたいな状態になるのでしょう。実際、一部の(私の提供する)企業内セミナーは、この手法に切り替えています。

だって「講師が前でテキストを読む」みたいな講義って、退屈極まりないですよね(笑。

僕はそれが原因で、大学時代ほとんど授業に出なかったわけなので(その先生の著書読めば、だいたいわかることを、わざわざ言って聞く気がしなかった)。


今年は、ますます「教育を科学」できる年に、なりそうです。ユニークな学習環境を整備していただいた、立命館大学のスタッフに、感謝!(注5)



※ 注1) 立命オリジナル機能の可能性もあるので、念のため、詳細は割愛します。

※ 注2) 彼らの発明数とその採択率が、物語っています。

※ 注3) 立命館大学は、現場から見ていて、常に改善がなされていることを実感します。柔軟性とスピード、という意味では、日本の大学の中でも有数ではないでしょうか?「株式会社」と揶揄される理由がわかります(笑

※ 注4) いつもその発言に注目している方の、一人です。

※ 注5) 僕の講義は、全8回、遠隔配信もされているのですが、遠隔で受講している学生(主に社会人)とも、SNSや会話をやり取りしながら進める授業は、なかなかおもしろいです。これが出来るのも、専門スタッフが、常についているからです。いくら大学院とはいえ、出席者10名ぐらいの講義に、講師とスタッフ2名って、コスト的には全く合わないと思いますが。。。立命館大学の「徹底」ぶりが伺えます。