「契約」
について、何も触れていないことに気付きました。
以前、「小塚(おづか)」さんには
「楠浦が、前職時代に経験した、契約にまつわる様々なトラブル」
について、話したことがあります。
「NDA」「業務委託契約」「共同研究開発契約」など、典型的な契約の考え方と、実際に生じるトラブルの例は、
e発明塾「アライアンスと知的財産~共同研究の心構えと知財の取扱い」
として、まとめていますが、とても講座には収まりきらない、様々な経験をしました。
(楠浦が直接関与した案件だけで、3年半程度で100件近い契約を結んだ記憶があります)
本講座開始当初の事例は、すべて楠浦が経験し、収拾にあたった事例でした。
その後の改訂に伴い、詳細を変更したり、事例を差し替えたものもありますが、現在も、過半の事例は、楠浦が直接経験したものです。
最も壮絶な「トラブル」は、「製造委託」についてのものでした。いくつか手がけた「製造委託」は、どれも「トラブルの宝庫」だったといっても過言ではないでしょう。
(起業にあたり、楠浦から、「製造委託するぐらいなら、知財のライセンスだけにしておけば」というアドバイスを受けた人もいると思いますが、理由は、上記経験によるものです)
「ファブレス」のベンチャーの宿命とはいえ、
「モノがないと、話にならない」
「売るものがないと、どうしようもない」
だけに、
「納期通り」
「仕様通り」
のものが仕上がってくるかどうか、
「仕上がらなかったら、だれが責任を取るのか」
(要するに、誰がその損失を補填するのか)
など、モメる材料には事欠きません。
製造を委託する場合、往々にして
「開発要素が多い、いわば、”試作品”の製造」
の委託になることがあり、これまた要注意です。たいていの場合、
「仕様通り」「納期通り」
仕上がりませんし、
「予算は必ず超過」
します。となると、
「だれの責任で生じた、追加費用なのか」
を巡り、トラブルの種は尽きません。
「出来上がっても、出来上がらなかっても」
なんらかの(追加の)費用負担が発生しますから、問題から逃れることはできません。
(出来上がらなかった場合、別のどこかに「再発注」することになりますから・・・)
出来れば避けたいものですが・・・
経験したら、生かすしかない、でしょうか・・・
「助言が裏目?に出て(つまり、助言通りやって失敗した)、かえって経費がかさんだが、それは誰の責任か」
など、
「よかれと思って・・・」
が、
「自分(会社)の首を絞めた」(*)
こともあり、当たり前なのですが
「委託するなら、丸ごと任せないとダメ」
(任せて、できるかできないか、が重要であって、できないからといってやたらと手伝っても、何も解決せず、かえって問題を増やす)
ということも学びました。当時、
「風通しが良ければ、アライアンスは上手く行く」
「細かいことはさておき、最大限、協力することが大事」
などという
「幻想」
を語る方も、社内にはおられましたが・・・。
(問題を収拾するために、「命を削れば」、いろいろな「現実」が見えてきます)
モメにモメまくる事態を想定し、
「何を決めておくか」
「何をすべきで、何をすべきでないか」
慎重かつ高度な判断が要求されます。
共同研究は、「成果が出たら・・・」というレベルの話で、出たら出たでモメることもありましたが、
「出ないことの方が多かった・・・」
ことと、
「共同研究で生じた知財の取り扱い」
「互いが、契約前に保有している(と主張する)技術の確認と整理」
に神経を尖らせていたこともあり、製造委託ほどのモメごとは生じませんでした。
いずれにせよ、こういう経験は、しないに越したことはありませんし、そのためにも、私の経験はしっかりと伝えていきたいので、今後は、「契約」についても、関係者の方々にご迷惑をおかけしない範囲で、情報を発信していきたいと思っています。
楠浦 拝
* この一件では、相手先の「責任者」の方にも、多大なご迷惑をおかけしました。