「締切に間に合うよう、きっちりした発明提案書を仕上げる」
ことを、今一度スケジュール含め、確認してください。
「採用していただけるレベルの、よい発明が、締切までに仕上がらない」
のであれば、発明塾生としては
「失格」
です。
「どんなテーマであっても、締切までに、相手が欲しいと思う発明を出す」
のが、発明塾の「永久に変わらない」基本方針です。せっかく良い機会をいただいているわけですから、ムダにしないように。
さて、以下の記事で、
「アイデアをたくさん出して、いいアイデアが出るのを期待する」
ことの、「ある種の」ナンセンスさに触れました。
【セミナー】情報を集め「ありきたりなフレームワーク」で検討し終えたものの何も 見いだせず、思考停止に陥ってしまう・・・そんな方へ
不特定多数の方を対象に細かいニュアンスまで伝えることはこのBlogでは一旦諦め、次の話題に移ります。
特許情報分析に限らない情報分析の世界や、発明や企画のための調査分析について書かれた文献において、よく、
「網羅的に情報を分析する」
と書かれています。これに意義を唱える方は、あまりおられません。
しかし、上記のBlog 記事で書いたのと同様、塾生さんからしてみれば、聞いたこともない技術分野について、
「網羅的とか、無理です」
「情報を読むだけで、時間切れです」
「読めば読むほど、似たような情報ばかりに見えて、混乱します」
という、これまた
「至極 ”まっとうな” 意見」
が、出ました。これが、
「エッジ特許」(そして「エッジ情報」)
に注目するようになった、理由です。塾生さんは、いつも僕に「新たな気付き」を与えてくれます。
一度整理しましょう。
素人(集団)が、プロの評価に耐える発明を出さなければならなかったこと
✔ そもそも、発明に取り組むのは「その発明が求められる分野について、ほとんど知識がない人」であること
✔ その発明をレビューするのは、多くの場合、(当たり前ですが)その分野の「世界中から選ばれた」専門家集団であること
短期間で、それなりのクオリティーのドキュメントに仕上げる必要があったこと
✔ 発明提案には、期日、つまり、厳格な締め切りがあること。つまり、使える時間が極端に短いこと✔ 通常、「発明テーマ」に取り組み始めてから、1-3か月以内に A4 で 20枚程度の提案書を仕上げる必要があったこと
徹底した成果主義であり、また「客観的な新しさ」と「市場性」の双方が求められたこと
✔ ダメなアイデアは、どんなに分厚い提案書でも、一顧だにされないこと
✔ 学生のコンテストにありがちな、「努力賞」「よくがんばったね」的な話は一切無いこと
✔ どんなに「市場性がありそうな」アイデアであっても、「同一とみなしうる先行文献が、世界のどこかに存在するアイデア」「米国の特許審査基準に照らして特許取得の可能性(進歩性)が低いアイデア」は、採用されないこと
✔ もちろん、「市場性(”確実なライセンス先”の存在を含む)」があまり見込めないアイデアも、全く見向きもされないこと
振り返ってみると、発明塾「独自」の手法や考え方が生まれた背景には、上記のような「特殊事情」があるように感じます。これを5年以上、飽きもせず地道に毎週こなしてきたことが、
「発明塾式 発明の技法」
「多くの優秀な塾生/OBOG」
の創出につながっていたのでしょう。そして、私の技量も、飛躍的に向上しました。
飽きるどころか、好きな作業だったので、特に苦痛に感じることはありませんでしたが、結果を出さなければならないプレッシャーは、日々、感じざるを得ませんでした。発明が出ないと、発明塾に社会的な存在意義は認められず、結果として無くなってしまうわけですから・・・。楽しみにして集まってくれる学生がいる以上、発展的に維持していく必要があり、その最終責任者が塾長です。
発明塾京都第188回開催報告~「なぜ皆、発明が出来るようになるのか」
で取りあげましたが、ある塾生曰く
「どんな課題にも、必ず発明を出せると信じられる」
(実際には、出さないと発明塾がなくなるから、なのですが・・・)
ところまで、「発明塾として」突き詰めた感があります。毎日毎晩、365日休みなく、世界中の特許文献を調べ、時には世界中の発明者と共同で発明を仕上げ、数十件の米国出願明細書の一字一句をチェックして米国代理人とメールで討議し、OA対応案も作成し・・・のような生活の中から、発明塾の「今の手法」と
「e発明塾」
は生まれました。
脱線しました。
「網羅的に分析」
は、
「専門外の人間が、新たなアイデアを、期限内に必ず創出しないといけない」
場合には、
「使えない方法」
であったということ(経験であり事実)です。
しかし、多くの人が、上記のような「非常に追い込まれた状況」にあるにも関わらず、「網羅的に分析」の罠にハマってしまうのには、理由があります。
私も、「特許情報分析」を業務にしていた頃、つまり、特許情報分析の結果を販売していた頃には、ハマっていましたので、よくわかります。
それは、
「いい結果が出なかった時に、”網羅的に調べたんですけどね・・・” と言わなければならないから」
です。
繰り返しですが、私も、
「情報分析を仕事にしていた」
時は、上述の罠に「完全に」ハマっていました。必ずうまくいくとも限らない「厳しい」仕事もあるわけで、そうなると、ダメだった時のために「いろんな言い訳」も準備しないといけませんから・・・。
これ自体、特に責められるべきことではないと、思います。
つまり、
「やむを得ない」
事です。しかし、ここに書きましたが、情報分析は手段でありコストなので、
「とにかく、期限内に、いいアイデアを出す」
を仕事にした場合、
「全く異なる風景が見えてくる」
ことになりました。
ですので、例えば
「新規事業のアイデアを出す」
ことを、目標として設定し、仕事をされる方の場合、
「網羅的に分析」
するという「手段」にとらわれず、
「専門外の分野で、いいアイデアが、素早く出る」
ための情報分析を、考えぬく必要があります。「手段を目的化(例:いいアイデアが出るかどうかと関係なく、網羅性を追及)」してはいけないということです。
それで辿り着いたのが、発明塾の場合
「エッジ特許」(エッジ情報)
に注目する手法だったわけです。
何も、「発明塾の手法が普遍的で万能であり、いかなる場合においても、他の情報分析の考え方より優れている」とか「エッジ情報に注目することは、網羅的に調べるよりも良い方法だ」などと主張したいわけではありませんし、そのような不遜な考えも、持っていません。
繰り返しですが、
「専門外の人間が、新たなアイデアを、期限内に必ず創出し(続け)ないといけない」
(5年以上に渡り、年間数十件、創出「し続ける」必要がありました)
という「ある種の極限状態」において、非常に有益であったという、
「自身と塾生の経験」「事実」
ただ、それだけのお話です。全て
「発明塾を継続させ、発展させる」
ために、必要だったことです。もちろん、それが好きでなければ、できることではありませんが。
(現塾生以外の方:OBOGを含む)
宣伝になり恐縮ですが、最新の発明塾の知見を、以下セミナーで紹介します。
「 ”エッジ情報” 分析とその活用」セミナー開催のご案内 (7月13日 東京)
周囲の方へのご紹介、および、ご参加ご検討を、よろしくお願い申し上げます。
楠浦 拝