「完全遠隔討議」
のメリットは、この辺にあります。いつもどおり18:00から討議してくれていたようですが、気になる話題のところで、仕事の傍ら「少しだけヘルプ」してあげることができました。
「”頭脳”が集まる時間を、どう、効率よく使うか」
今後も、掟破りの手法を、どんどん開発していきましょう。
組織運営について何を目指すべきか、マズローの一文を引いておきます。
「このように、仕事生活、すなわち生活のために収入を得る仕事を正しく管理すれば、そこで働く人間は成長し、世界はよいものになる。その意味で、この仕事生活の正しい管理はユートピア的、あるいは革命的なものといえるだろう。」
(「完全なる経営」A.H.Maslow より、他マズロー関連は コチラ にあり)
発明塾において、発明/創造活動は「組織を発展的に継続し、各自が糧を得て成長する」ためのものです。したがって、企業と同じ原理原則に基づき、発明塾は運営されます。
さて、今回の討議で楠浦がアドバイスした部分は、
「極端を考える」
思考の典型的なアウトプットです。
「極端に大きな磁場の中で、精密に信号を送り続ける」
必要がある環境での議論でした。こういう
「極端」
な市場について、
「ニッチ」
だからといって無視せず、調べ、情報を蓄積していくことが重要です。いつも言う、
「エッジ情報」
の蓄積です。
この考え方は、発明塾で皆さんに話をする遥か前、部下を20名ほど指導する立場に立った時に行き着いた、
「コーチング」
の考え方に、ヒントを得たものです。
コーチング理論では、多くの場合
「選択肢の創造」
という段階を踏むのがよいとされます。その際、役に立つのが
「極端」「起こる/できるとは考えられない」
ことや手法を、まず最初に選択肢として挙げることです。
「ありそうなこと」ではなく「ありえないこと」
できれば
「両極端」
を、最初に、選択肢としてあげるのがBestです。
この「両極端」の考え方は、ある経営者の方(*)がインタビューで語っておられたことにヒントを得ました。経営上の重要な決断を行う際、かならず、「両極端」を考えるのだ、とおっしゃっていました。
また、「起こるとは考えられないことを考える」という考え方は、シナリオ・プランニングの生みの親「ハーマン・カーン」の著書から学んだことです。
もちろん、
「前提を疑う」
ためにも、極端を考えることは効果的です。一石何鳥かになります。
僕のノートの一つ、通称「ハンバーガー」には
多くの方の「言葉」が書き留められています。
ほぼ毎晩、開くようにしています。ざっと見返すと、例えば
アサヒビール 池田社長、TOTO 貴瀬社長、東京電力 木川田社長、
JR東海 松本社長、日本たばこ産業 本田社長、東芝 西田社長
(所属と役職は全て当時のもの、順不同、㈱省略)
のお名前と、当時の発言が書き留められていました。
このように、発明塾で用いている様々な考え方、手法は、その多くが、僕が
「技術者/経営者として仕事を成功させる」
ために必要になった知識を、発明/創造活動へ応用したものです。企業内「発明塾」の参画者の方から、
「発明塾で学んだことは、発明より、むしろ、普段の業務で役立つ」
と仰っていただくことが度々ありますが、それは、上記のようなところに理由があるのだろうと思います。
極端や、「普通」起こりえないことについて具体的に調べ、考えて、それを書留め、蓄積しておくことで、
「その時が来た」
時に、素早く動くことができます。投資は、タイミングが重要ですから、
「その時」
になってから調べていては遅いわけで、
「今は”極端”だと思われるが・・・」
の時点で、
「どういう条件が揃えば、投資するべきなのか」
まで考えておくことです。発明自体、頭脳の投資ですが、
「発明をものにする」
には、さらに「多額の資金 や 莫大な労力」を投じる必要があります。
「極端な発明」「常識破りの発明」
が、いつ
「投資に値する発明」
になるのか、その条件を定められるまで調べ、書留め、蓄積しておいて下さい。僕が、
「発明塾」
を始められたのも、
「15年以上の蓄積と構想」
(コチラ、特に、甲斐塾 と DeepSprings Colledge を参照)
と
「良きご縁、タイミング」
が重なりあったからです。多くの経営者や事業家にお話を伺うと、やはり、足掛け15年、20年の構想で、というお話がよく出ます。
「今日の明日」「昨日聞いたネタを、今すぐ」
ではなく、
「5年10年、じっくり時を待つ」
つもりで、ネタを拾って下さい。今は、時代の流れ(クロックスピード)が早くなっていますから、それでも、意外と「数年後」に時が来たりするものです。時代の速度に負けないよう、できるだけ「先取り」しておきましょう。
「時代は加速する」
(特異点や、シンギュラリティーの話は別途)
ことを忘れずに。
時が来たかどうかを確認するために、
「日々の情報」
を活用しましょう。決して、
「日々の情報を見てから、それについて考える」
のではありません。
「予測した未来が来ていないかどうか、その予兆をつかむ」
ぐらいに考えておきましょう。日々の情報に振り回されると、ジリ貧になります。
「一度、ぶっ飛んだところまで考えておく」
「ありえないぐらいのことまで考えておく」
ことで、
「現在の情報を、未来から見る」
余裕ができます。発明塾でいつも、誰かが見つけてくれた
「ありえないような、ぶっ飛んだネタ」
を喜んで取り上げるのは、
「その後が楽になるから」
です。それ自体はなんてことないネタであっても
「未来の視点」(エッジ)
を、見つけ出すことができるのです。
(そして、多分、僕はそれが得意です)
「未来から見る」「投資家の視点」
を忘れないように。
ではでは、次回もよろしく。
楠浦 拝
* りそなHD の 細谷社長 の言葉(所属と役職は当時のもの)