「発明塾®」へようこそ!: 「仮説思考」から「仮説検索」へ~自らを過信せず「巨人?の肩に乗る」技術に習熟を

2016年6月28日火曜日

「仮説思考」から「仮説検索」へ~自らを過信せず「巨人?の肩に乗る」技術に習熟を

メール講義バックナンバー紹介も、ただ紹介するだけでは面白くないなと感じています。

試みとして今回は、「バックナンバー紹介+内容の補足」の形式を取ります。そもそも、メール配信では、「一度書いて、削る」作業により、相当量の内容を削除していますので、それらを拾い上げる意味も、含んでいます。

文章も発明も、

「削る作業が本質」

だと、僕は考えています。付け足すと、往々にして醜いものになってしまいます。(自戒の念を含みます)


今回は、Vol.90(2016年6月27日号)を取りあげます。

配信文では触れていませんでしたが、Vol.90のテーマは、

「仮説検索(*)」

です。

* 「仮説検索」は、TechnoProducer株式会社の登録商標です。

この技法は、もともと、

「仮説思考」
(例えば、発明塾参考図書「イシューからはじめよ」参照)

を、コンサルティングではなく

「発明」「創造」「先読み」

に最適な形へと進化させ、突き詰める中で生まれてきたもので、発明塾独自の考え方や実績にもとづくものです。


こちらでも触れましたが、「仮説検索」が生まれた背景には、発明塾が置かれた特殊な環境があります。

✔ 専門外、あるいは、そもそも専門家がいないような、「これから起こる未来」について発明を求められる

✔ 締め切りがあり、締切を過ぎるとアイデアは無価値になる

✔ (一般論として、知識と経験の蓄積に劣る)大学生が、切磋琢磨しながら取り組む


僕が、塾生さんにいつも言うことは、以下です。

✔ 専門知識は「今」を理解するには有益だから、あるに越したことはない

✔ 一方で、「皆さんは、世界中の形式知を一瞬で手元に取り寄せられる”魔法の箱”(携帯電話+Google)」を、肌身離さず持ち歩く時代に生きている

✔ 「皆さんの固有性」(今の時代背景、今の時代の精神”Zeitgeist”)を生かすことが、「これまで出来なかったことを、これから実現するため」には、不可欠


これまでにできなかったこと(課題)が、今できるようになる(解決)理由について、よく考えましょう、ということです。これ自体、「発明の本質」の一つ「固有性(*)」という考え方を示します。

* 今回は、「固有性」の話は、おいておきます。また、「固有性」に注目した思考法の一つに、僕が過去何度かセミナーを行い、特に、企画部門の方や研究者の方など、限られた時間で「アタリ」を出さないといけない、知的創造に関わる方に非常に好評であった「制約思考があります。
 「制約思考」は、TechnoProducer株式会社の登録商標です。



今回の配信では、

① 生体内留置デバイスは、現状、「なぜか」、RFなど「電波」で無線通信することになっている
② そうでないアイデアも、当然誰か考えている(考えた)はず
③ 具体的に、どんなものがあるのだろうか
④ 考えるより、調べるほうが速いだろう

という、「仮説検索」の考え方を用い、実際に検索して見出した例を、掲載しました。

透光性生体留置デバイス及びその利用 (パテントニュースライン)

の特許を見つけるまでに要した時間は、①の疑問をいだいてから、約3分です。発明塾の経験上、「仮説検索」初期においては、仮説に該当する先行例(特許など)は、3-5分程度で見つかります。
(なお、生体内留置デバイス「以前」のお話は、こちらを参照ください)



より抜粋


これらを、

① 「課題-解決」と「先行技術との違い」の視点
② 「知財戦略」と「ビジネスモデル」の視点
③ 「バリューチェーンへの影響力」「先読み」「知財的再発明」の視点
④ 「技術進化把握」と「突破発明」の視点
⑤ 「コア技術」の視点
⑥ 「取り組みの本気度」の視点
⑦「攻めか守りか」「意図を読む」「権利化したい技術思想」の視点

など、e発明塾で既に体系化済の幾つかの視点を組み合わせ読み解くことで、

「その先の仮説」

を立て、次々と検索を進めます。

* 「知財的再発明」「突破発明」は、TechnoProducer株式会社の登録商標です。


詳細は、以下セミナーで、(上記とは異なる)医療機器分野の事例を用い、実際の作業プロセスを振り返り、解説しながら紹介いたします。



●「 ”エッジ情報” 分析とその活用」セミナー開催のご案内(略称:エッジセミナー)
7月13日 東京開催です。
弊社HP内のご紹介ページは、こちら
発明塾HP内のご紹介ページは、こちら



ところで、特許情報(特許公報を含む)を読み解く際、注意すべき点の1つに、「出願人」があります。

特許や知財に対する取り組みは、企業や業界により、大きく異なります。

例えば、「花王」は「異業種参入」に先んじて「既存業界のキープレーヤーを排除」できるような特許を出願しておく傾向があることが、一般的に知られています。

また、「キヤノン」は「市場形成」と「収益源になる技術の保護」という視点を重視しているように、見受けられます。

「特許情報をこう読む」

という一般論は、発明には殆ど役に立たず、

「XX社の出願の定石から考えて、今回の出願はXXXではないか」

のような読みが、最低限、必要になります。最低限、と書いたのは

「過去の延長線で、未来が予測できるとは限らない」

からです。ただ、何も無いよりは、随分楽になります。


発明塾で、「知財戦略」について、代表的な企業を取りあげ演習講義や、突破発明創出を度々行っているのは、上記が理由です。発明塾での多くの指導・討議経験から感じることとして、どうやら、多くの人は、

「その特許情報(特許公報)だけ」

を見ても、発明が生まれるほど、読み解くことはできないようです。

「見る目」

が出来ていない、平たく言うと、

「特許」

のことがあまりよく分かっていない、ことが、その原因のようです。


予定通り?長くなってしまいましたので、今回はここで一旦打ち切ります。

続きはまた、どこかで。



念のため、最後に配信文を掲示しておきます。
(配信申込は、こちら

==以下、配信文(エッジ特許関連を抜粋)


「「「 生体内留置デバイスと「光通信」のエッジ特許 「「「


遠隔医療、低侵襲医療をキーワードに情報分析を行っていくと、避けて通れないデバイスとして、
心不全モニタリングツール「CardioMEMS HF System」が浮かび上がってくることを、発明塾Blogにて
以前簡単にご紹介いたしました。



今回は、さらにその続きです。


生体内に留置するデバイスとの「通信」は、RF無線通信など、いわゆる電波を用いた「無線通信」が一般的です。


もちろん、「生体自体を通信媒体にする」という考え方も、あります。





発明塾的に考えると、上記以外に着目したものはないのか?が気になります。
例えば、「光通信」はどうだろうか、です。


もちろん、ありました。





光を使うことにより、解決されている課題は何でしょうか?
また、その課題に対して「独占」的な解決手段になっているでしょうか?
光通信を用いる「必然性」があるでしょうか?


読み解いてみると、「生体モニタリングデバイス」「遠隔医療」「光通信」の分野に
おいて、「まだ誰も気づいていない」あらたなチャンスを見出せる可能性があります。


このように、発明塾では、


「XXである」


という ”いま、手元にある情報” に対し、


「だったら、その先に、XXXXはないのか?」
「本当は、XXXXであるべきではないのか?」
「そうだとすれば、さらにXXXXと考えられないか?」


と考え、特許情報・財務情報・M&A情報・投資家動向などを分析します。


「できるだけ素早く、先に行きたい」


そのために、「エッジ」という考え方、独自の情報の「読み方」が生まれました。


発明塾独自の「エッジ」という考え方、情報の読み方について、もっと知りたい、
という方は、以下セミナーへのご参加を、ぜひご検討ください。


●「 ”エッジ情報” 分析とその活用」セミナー開催のご案内(略称:エッジセミナー)
7月13日 東京開催です。
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==ここまで


楠浦 拝