「重要な問題に資源が割かれていない」
と発言したことを、ある種、僕よりも重く受け止めてくれているようです。
最近、「発明塾って何?」と彼らに問うと、かなりの確率で上記の言葉を引用してきます。
(ここに書いているから、ということだけでは、ない気がします)
僕の言葉ではないのだけれど、彼らの「心に火を灯す」言葉を紹介できたことは、やはり嬉しい。
これまで、様々な「発明テーマ」に取り組んできましたが、僕にとって衝撃だったのは、
過去に取り組んだ「解決が求められている”重要な課題”とは?」~医療分野の例と「エッジ特許」
で紹介している、
「脊椎矯正の低侵襲化」
です。血だらけの手術映像を見ながら、発明に取り組みました。医療現場の情報は、学生さんや我々のような立場では、容易に入手できませんが、様々な映像資料で補いながら発明を創出し、クライアントに提案できたのは、よい経験でした。
残念ながら採択に至りませんでしたが、それは、
「その発明は、まだまだ改良できる」
ということです。常に念頭に置き、よい発明になれば、また提案すればよいのです。そのようにして積み重ねた発明と情報が、次の「偉大な発明」を生みます。
また、僕がいつも言っているように、
「発明に、国境、年齢、性別、専門分野、学歴は 一切関係ない」
ですから、いつも発明を考え、然るべきところへ提案すればよいのです。以前もどこかに書いた気がしますが、僕の発明をいつもレビューしてくれていたある人は、僕が
「どこかの大手企業をリタイヤした、元エンジニアで技術好きのおじいさん(Old Man)」
だと思っていたそうです。アメリカでは、きっとそういう方がバリバリ活躍されているんでしょうね。お会いした時、
「まさか、こんなに若いと思ってなかったよ(So Young !)」
と言っていました。褒められているのだと、思っておくことにしました。
2004年に(この本に)出会って以来、ずっと
注目している企業の一つです。経営の勉強にもなりますよ。
でも、また、絶版のようですね・・・(笑)。
その後も僕は、「発明テーマ」「投資テーマ」探索のため、医療のテクノロジー化について、いろいろ調べています。
闇雲に調べても大変ですので、「脊椎矯正」の延長で、Stryker社 について調べていると ・・・ まぁ、この分野が日進月歩、言い換えれば、発明と投資機会の宝庫であることが見えてきました。特に、電気電子/機械系の学生には、絶好のフィールドです。
例えば、医療機器メーカーの多くは、近年、かなり活発に低侵襲医療用機器分野へ投資を行っています。直近では、例えば、Abbott 社や Medtronic 社が M&A でカテーテル分野のシェアを高めています。
また、遠隔医療との接点を探っていくと、Abbott 社に買収されることになった St. Jude Medical 社の 心不全モニタリングツール「CardioMEMS HF System」が浮かび上がってきます。臨床試験では、手術後15か月以内に再入院した患者数が37%減少した、と報告されているようです。
素晴らしいですね。塾生さんにも、是非こういう製品/サービスを考え出し、よい製品で世の中を前向きに変革しながら、事業を成長させ企業経営に貢献して欲しい。
ちなみに、この「CardioMEMS HF System」を開発したのは、その名の通り CardioMems 社であり、St. Jude 社はそれを買収し、更にその St. Jude 社を Abbott 社が・・・とM&A が続いて、かなりややこしいことになっています。
ちなみに、この「CardioMEMS HF System」を開発したのは、その名の通り CardioMems 社であり、St. Jude 社はそれを買収し、更にその St. Jude 社を Abbott 社が・・・とM&A が続いて、かなりややこしいことになっています。
4‐5年前に発明塾で討議し、いくつか発明を創出した「遠隔医療(遠隔診断を含む)」は、上記のような医療機器開発の延長線上にあります。遠隔医療については、米国では「医療保険」業界が主導して実用化が進んでおり、「医療費低減」という大きな流れの中で、より革新的な技術が導入されるという、好循環に入っているように見えます。一方、医療保険業界(というかPBM)は後発薬の導入に熱心ですので、「医」と「薬」をまたいで、
「付加価値の再配分」
が起こりつつあり、いつも発明塾で言っている通りになっています。投資資金や、企業収益の流れ/使い道をIR情報から丁寧に拾って整理してみると、業界に起きている変化、僕がよく言う「地殻変動」が見えてきます。まず仮説的に、
✔ 「新薬 → 後発薬」(+PBMの圧力)という、製薬業界の流れ
✔ 「低侵襲医療 → 遠隔医療/遠隔診断」の流れを加速する原動力は、PBM(いわば、薬のディスカウンター)が生み出す圧倒的な超過収益
のような構図で捉えてみましょう。この通りであれば、この流れを妨げるものはない、といえます。「好循環」とは、そういうことです。Fact はどうでしょうか。
PBMの状況、および遠隔医療への取り組みは、例えば米国最大手 UHGのHP、および、以下の記事で分かります。
UnitedHealth Widens Telehealth Coverage To Millions Of Americans
また、SEC Form (10-Kなど)にアクセスし、PBM各社のEPSのCAGRなどを調べれば、
「薬のディスカウンター(PBM)」
ビジネスが、いかに巨大な市場であるか、そして、そこで生まれた収益が、
「遠隔医療(TeleHealth、TeleMedicine)」
産業の駆動力になっていることが、おぼろげながら見えてきます。ちなみに、一部のPBMは、
「もっとユーザーに、収益を還元すべきだ」
との批判も受けており、遠隔医療推進の原動力も、長く続かない可能性もあるようです。
しかし、(批判が出るぐらい)かなり儲かっている、という見方もできます。
上位3社で70%以上(推定)といわれる寡占業界ですから、
「独占」「寡占」
の威力でもあります。うんざりするぐらい、
「方程式通り」
であることに気づかされます。ビジネスに近道はない、ということでしょう。
✔ 成長市場で最先端の機会を見つける(エッジ)
✔ 付加価値の再配分に目を付ける(Biz.Model)
✔ 独占・寡占を徹底する(知財、規制、M&A、独禁法対応)
という、発明塾でおなじみの構図です。
いずれにしても、
「業界を超えて、大きく付加価値の再配分が行われている」
ことを念頭に置き、
「どのような発明(=製品・サービス・ビジネスモデル)が、その流れを加速させ、世の中をより良くするか」
考えて下さい。
「関与するすべての人の利益になるものこそ、発明」
です。
やや込み入っており長くなってきましたので、補完する内容をメールマガジンで後日配信します。
ではでは。