周知の事実のはずですが、発明討議において
「過去ログ」
の分析は、
「討議自体より重要」
です。特に
「議論のスピードについていけなかった」
人は、振り返ってはじめて全貌が理解できる場合もあるでしょう。また、どんな人でも、
「見落とし、聞き落とし」
がありますから、それを拾い上げ、さらに深堀りし、新たな着想を得るために、過去ログ分析は必須です。
また、現在、楠浦は討議に参加していませんから、ログを頼りにアドバイスすることになります。
慣れれば、効率よく指導するツールになりえます。
もちろん、各自がきちんとしたログを残してくれていることが、前提になりますが。
Amazonのプログラムを利用して画像を引用することにしました。
なんにせよ、予習は重要です。
そして、「復習」により、気づくこともまた多い。
発明討議において、
「結局、初期のアイデア・情報が重要だった」
「議論が一周し、当初のコンセプトに戻ってくる」
ということがよくあります。今回も、まさにそうなっています。
楠浦は、過去ログを見てこのことに気づき、今回のアドバイスに至っています。
各自が、過去ログを振り返り気づくことがベストですが、ログさえ残っていれば、第三者の指摘により軌道修正できます。
ログの重要性、改めて肝に銘じておいてください。
ハネウェルの「UAV(ドローン)」特許に行きついていましたね。
ハネウェルも、注目すべき企業の一つですので、また取り上げましょう。
最近では、GEのOBがヘッドハントされ、社長に就任することが決まっています。
さて、本日は「特許情報を用いた技術マーケティング」の、おさらいをしておきましょう。既に e発明塾「開発テーマ企画・立案における特許情報分析の活用」として教材化されていますので、
✔ 受講が済んでいる方は「復習」、「今後のアクション」、および、アクション結果からの「フィードバック」
✔ 受講前の方は、心の準備
を兼ねて、お読みください。
「特許情報分析は役に立たない」という声が多い
先日、過去のセミナー参加者の方より近況をお伺いする機会に恵まれ、
✔ 「特許情報を用いた技術マーケティング」セミナーの内容は、非常に役立っていること
✔ 社内で取組みとして定着し、結果も出ており、次のStepへ進むタイミングであること
など、貴重な情報をいただきました。
過去にも、「非常に役立っている」というご報告をいただいた例は少なくありません。一方で、一般論として、
✔ 特許情報を有効に活用したい
✔ しかし、なかなか上手く活用できない
というお話も、各所で伺います。理由は一つではないでしょうが、私が上記のような相談を受けた場合、必ずアドバイスすることがあります。
それは、
「特許情報から得た仮説をもとに、実際に自分で行動を起こさないと、活用できるようにはなりませんよ」
ということです。
上手く活用されている方にとっては、
「なんだ、あたりまえじゃないか」
というアドバイスでしょう。詳細は、e発明塾
「開発テーマ企画・立案における特許情報分析の活用」
に記載がありますので割愛いたしますが、「ナノインプリント技術の実用化」において、私は、
「特許情報を分析して、用途を見つけた」
というよりは、
「事業を成功させるために、会うべき人にきちんと会った(会えた)」
のであり、
✔ ナノインプリントの実用化開発に必要十分な ”大口の研究開発投資を得る” ために
✔ 投資家を説得できるレベルまで、事実を集め、事業計画を仕上げたい
✔ そのために、だれに接触し、どのような対話を行うのがよいか
✔ 特に「本気で取り組んでいる ”先駆者”」との対話を通じ、他では得られない情報を得たい
✔ それには、「こちらも本気である」ことを、示せるだけのものを準備する必要がある
✔ そのためには、まず、「行かなくても手に入る情報」を入念に調べておく
のように、目標から行動へ、そして、その行動に無駄が生じないように、特許情報を最大限活用した、とお伝えするのが正しいでしょう。
実際、あるヒアリング先の方は、
「そこまで調べて来ておいでなら、のらりくらりと無駄話をしてお茶を濁し、追い返すわけにもいかないですね」
と前置きし、その後二時間以上にわたり、社内でどのような取り組みをしているか、どのような課題があるか、どのようなサンプルであれば評価したいか、どのような設備を持っているか、など、微に入り細に入り、お話し頂きました。
残念ながら、当時の技術力では、先方のご要望に、完全にお応えすることが出来ませんでしたが・・・。
また、「今は、ナノインプリントは検討していないけれど、評価装置は持っているし、おもしろいデータが取れるかもしれないから、評価だけでよければ、お手伝いしますよ」と申し出ていただいたこともありました。
何のために「特許情報分析」を行うのか
「特許情報を用いた技術マーケティング」を、一字一句注意深く読んでいただくと、特許情報を利用したことで生じた事業開発上の転機は、大きくは
✔ 自己都合による「認知バイアス」を排除
「自社の人間も含めた世間」が言う、用途についての「セグメント」が、致命的に間違っていたことに気づいたこと。つまり、「血気盛んな人間が数名集まれば」、ついつい自分が正しいと思い込んでしまいがちであり、かつ、だれも正してくれないものであり、その結果必ず生じる「自分たちの認知バイアス」に気づくための客観的なデータとして、特許情報が大いに役立った
✔ 「身の程」をわきまえた上での優先順位設定
自分たちが、何の実績もない、いわば口先だけの「駆け出しのベンチャー」であり、「丸腰で大手企業の方にコンタクトしても、全く相手にされない」「技術・人材に乏しいだけでなく、資金、つまり、事業化までに許される時間が限られている」という「ポジション」を考慮した場合、「今/まず、誰に会うべきなのか」という事業開発上の「必然性」と「優先順位」を考える材料を得たこと。
ついでに言えば、「ポジション」がわかっていれば「会うべき人に会うために何をすべきか」は、すぐに明確になり、そこでも特許情報は欠かせなかった
✔ 身勝手な論理から生じる「致命的なミス」を排除
ナノインプリント以外の技術でも実現出来ることを「ナノインプリント事業」で追求することは「事業開発において、致命的なミス」になる。したがって、「消去法」で、「他の技術でも出来そうなこと」を徹底的に排除することを厳守し、特許情報を活用/ヒアリングでも、この点に特に注意したこと。
何十億も資金を投じた挙句に、「競合技術に勝てませんでした」は許されない。「本当に勝てるのか」を検証するために、特許情報を活用し、他技術を試みている「先駆者」にも、積極的に助言を求め、「本気の対話」を繰り返した。
ついつい「市場を大きく見せたがる」のが、事業開発担当者のマインドセットであることは、すでに痛いほど理解していたので、「本当に勝てる市場に絞り込む」「勝てると確信が得られ、一定の合理的な証明/投資家への説明ができるまで、ロジックを練り上げる」ために、特許情報を活用した
✔ 「ラストワンピース/L.O.P」を見出す「本質的な議論」のために「会う時間を有効に」
一方で、実用化されていないデバイスには、何か「課題」が残っており、それが「最後のピース(ラストワンピース/L.O.P)」であり、自分たちに解決できるのではないか、という視点でヒアリングを行う。そのためには、「本質に絞り」対話を行う必要があり、「前置き」のような話はできるだけ省略できるような面談提案を行ったこと
の4点にあることが、お分かりいただけるでしょう。
「開発テーマ企画・立案における特許情報分析の活用」
では、「売れるか、勝てるか、儲かるか」のように表現していますが、発明塾で特に重視しているのは、
「絶対勝てる場所を、まず見つける」
ことです。一つ見つかれば、他を見つけるヒントが得られます。実際、ナノインプリント技術の実用化開発でも、
「なぜ、LEDの高輝度化が有望か」
を考え抜いた結果、今後大きく発展し、かつ、ナノインプリントを必要とする可能性が高い用途の仮説を、他にもいくつか導き出すことが出来ました。
その他、当時の話の一部は、こちらにも記載。
「情報」の価値は、そのあとの「意思決定」の価値で決まる
これまた当たり前すぎて怒られてしまうでしょうが、
「情報分析や情報収集は、単なるコスト」
です。
情報の価値は、その情報に基づいて下される意思決定の価値によって決まる、と私は考えています(情報分析の結果も、情報です)。
「重大な意思決定のために、情報分析を行う」
「情報分析の結果にもとづいて、自ら意思決定を下し、行動し、そこからフィードバックを得て、情報分析手法を見直していく」
ことが、
「特許情報分析」
の精度を向上させ、その価値を最大化するために、必要なことです。
もちろん、
「大して役に立ちそうにない」
と思われている状態で、
「だれか他の人が、重要な意思決定に使ってくれる」
ことは、まずありえませんから、
「自身で情報分析を行い、重要な意思決定を行い、行動に移し、自分で結果を確かめ、分析の精度を向上させてから、他の人に ”使ってもらえないか、お願いする”」
しか、ないでしょう。
また、いつもの「逆張り」の精神で
「活用できている人が少ない、ということは・・・」
で、手法を磨きぬいていきましょう。
「皆がやっている」
ことを、そのままやっても、勝てませんからね。
続きはまた、お会いした際、ぜひお話ししましょう。
楠浦 拝
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