2013年9月6日金曜日

発明塾京都第145回開催報告~「なんでもよいから目標を立てよ」

今回も、各自のアイデアを討議しました。これまた繰り返しなのですが、発明において、最も重要なことの一つは「自分のアイデアに、こだわらない」ことだと思います。

パッと思いついたことに、いつまでもこだわって、こねくり回す人がいます。殆どの場合、そのアイデアもモノにならないし、発明法も身に付かない。残念ですね。

僕は、「発明は詰将棋だ」と思っています。

与えられた状況(初期の着想)から、「最終目的(詰め)」に向かって、論を進めていくわけです。

だから、スタート地点のアイデアは、極論すると誰のどんなアイデアでも良いわけです。既存の先行技術でも、全然構わない。はっきり言って、2-3時間のブレストで出る程度のアイデアは、調べれば近い先行技術が出てきますから、後生大事にしても仕方がない(注1)。

重要なのは、「それを起点に、どこまで練るか、詰めるか」なのです。

もう一度言います。

「重要なのは、”どこから” ではなく、”どこまで”」

そのために、一連の「発明塾式」の発明プロセスを組んでいるわけなので、基礎を疎かにせず、また「今やっていることは、何のためなのか」「次どうするのか」常に考え、進めるようにして下さい。


僕が大学生と社会人の最も大きな違いと考えるのは、この「目的意識と具体的目標」です。大学生の大半は、「目的・目標を定めず」「スタート地点付近の、”ちょっと面白い”?ことにこだわって」勉強し、4年間(もしくはそれ以上)を過ごしますが、社会人ではありえないことです。

実際の所、「目標はなんでも良いから、とにかく立てることが重要だ」と、僕は考えます。スタート地点で、無駄に、そして興味本位でウロウロしないためです。

例えば、僕の知人で「30歳までに一軒家を建てる(ぐらいのお金をためる)」という目標設定をしていた人が、いました。彼はその具体的な目標に向かって、友達付き合いなどをコントロールし、見事にその目標を達成していました。

彼にとっては、仕事も、そのための一手段だったのではないかと、思います。一軒家が立てられるお金(具体的目標)が貯まるように(目的)、働こう(手段)、と。

目標は、なんでも良いと思います。

「違うな」と思ったら、変えればいいので(注2)。

・XX装置を開発したい
・一軒家を建てたい
・資格を取りたい
係長になりたい

測定可能なものであれば、何だって良い。

「正しい目標」「達成可能な目標」を立てようとか、評価基準を入れると、殆どの人が「目標すら立てられなく」なってしまう。極論すると、「正しい」とか「達成可能」は結果論なので、

「とにかく目標を決めて進める」(主観)
「定期的に見直す」(客観)

と、ネガポジの制約条件を分けることです。一般的に、大学生はこれが極端に不得手です。以前取り上げた「設計論」にある「フィードバックプロセス」(注3)が、できないのです。「主観と客観の切り替え」が甘い、もしくは「客観が無い」のが、主な理由だと思いますが。

「とにかく山に登ることが重要」で
「違うと思えば降りればいい」

のです。登らないとわからないこと、がありますから。


最後に、前回(注4)の続きの情報を、塾生さんが共有してくれましたので、卒業生にも共有しておきます。

・「零戦 その誕生と栄光の記録」堀越 二郎 著

からの「写経」です。

「技術者の仕事というものは、芸術家の自由奔放な空想とはちがって、いつもきびしい現実的な条件や要請がつきまとう。しかし、その枠の中で水準の高い仕事をなしとげるためには、徹底した合理精神とともに、既成の考え方を打ち破ってゆくだけの自由な発想が必要なことも、また事実である。
与えられた条件がどうにも動かせないものであるとき、その条件の中であたりまえに考えられることだけを考えていたのでは、できあがるものはみなどんぐりの背比べにすぎないであろう。私が零戦をはじめとする飛行機の設計を通じて肝に銘じたことも、与えられた条件の中で、当然考えられるぎりぎりの成果を、どうやったら一歩抜くことができるかということを、つねに考えなければならないということだった。」p.225

「人間は負けるべく宿命づけられている。
だが、負ける瞬間までは、
勝負を投げずに戦うべきだ」
ヘミングウェイ


設計において、要求仕様は「ネガポジ」両方ありますが、それらを「パズル」のように組み合わせて一つの「モノ」に仕上げていく、そんな仕事が、設計です。


はっきり言って、めちゃくちゃ面白い仕事です。


※ 注1) 僕は、ブレストが面倒なときは、先行技術調査で代替します。そういう意味でも、発明には「検索」「分析」能力が重要、だと思っています。「自分の頭」に頼っていては、限界がありますから。まぁ、調べればいい発明が出る、というほど甘い世界でもありませんが・・・(必要十分条件の話)。


※ 注2) そのためにも、常に目標・目的を意識し、それを見なおす時間を取ることが重要です。詳しくは「7つの習慣」で。


※ 注3) 「設計」に関する記載は以下。

・発明塾京都第144回開催報告~再び「設計」論
 http://edison-univ.blogspot.jp/2013/08/144.html
・塾長の部屋(40)~「設計」と「発明」が持つ「アート的」面白さ 
 http://edison-univ.blogspot.jp/2013/04/blog-post_7.html

※ 注4) http://edison-univ.blogspot.jp/2013/08/144.html 参照