3月5日に@京都の集中講義第2回(後半)を行いました。前半とほぼ同じメンツでした。
今日のテーマはズバリ「発明発想法」。前回のテーマは情報分析(とマーケティング)でしたので、表裏一体のテーマです。
詳細は講義資料(と送付済みの追加資料)に譲りますが、Topicとしては
・課題解決~「なぜそうなのか」からそのアイデアの解決している課題を考える。
・構造化、MECE、上位概念化、ロジックツリー、の習熟~整理、検索、発想すべての基礎
・情報検索と異分野融合の有効性を確認する~競争力と進歩性のある「解」を出すために
・課題の「時間軸」を意識する練習~すでにやられている「であろう」課題ではなく、その先の課題に取り組むということになったのでしょうか?
あとは、Grワークの練習でもあります。
マインドマップではなくロジックツリーである理由も説明しました。
多くの場合、(特許)情報検索やブレインストーミングで「面白い」アイデアや情報が出てくるところからアイデア出しは始まります。その時の過程は例えば以下のようになります。
①見つけた情報、思いついたアイデアを書きだす
②Gr化してラベル付、名づけを行い、概念でくくる(上位概念化)
>特に「そのアイデアが解決している課題」を概念として導出し、それで整理する
>「課題」は複数である場合有り(それが普通?)
③階層性の確認。同じ階層の概念が、同じような大きさ(抽象度)の概念かどうか。
④MECEであるかどうかをチェックする。MECEでなければ組み換え、追加を行う。
⑤各階層に概念、切り口をどんどん追加して、既存の解決策やアイデアから漏れている切り口を探す
>これが、他人がやっていない「課題」「切り口」の探索につながる
⑥気づき、漏れがチェックできて、新たな発想につながる、網羅的に解が出せる
⑦行き詰まったら、一番上位の概念(たとえばA)に対して、NOT「A」を考える。
>たとえば「見える物」と「それ以外」=「見えないもの」
>「見えないもの」をさらにMECEで具体化する(例えば、意味、関係・・・など)
つまり、「具体」から始まって「抽象」(上位概念、課題)になり、さらに「水平展開」(MECEなどをつかう)して最終的に再度「具体」化して新しいアイデアに至ります。
この作業には、概念を中心に置き、広げる方向のみが強調されている「マインドマップ」ではなく、構造性を強調したロジックツリーが向いています。場合によっては、概念をどんどん抽象化していく必要もあるからです。
あとは「現在の課題」ではなく「未来の課題」について考えること、もやりました。
何かを調べたり、自分の身近なことにひきつけて考えると、どうしても今問題になっていることに目が行きがちですが、実際には今問題になっていることは、殆どの場合誰かが過去に手を打っていたり、すくなくともアイデアを出しています。そうではなくて、将来問題になるであろうことを想定して、その課題を具体化し解決策を考える必要があります。
そのために使えるのが例えば、「現在出来ていること」X「未来のテーマ」、を網羅的に考えてみることです。「靴」X「健康」、「靴」X「食料」などです。過去には「食べられる靴」というコンセプトを出した大学生(岡山大学での講義にて)もいます。もちろん、現在の課題が解決されるとして、他の未解決な課題、他の工程で問題になるであろうこと、他の部分で問題になることなどを考える(この辺はMECEで出せますね)ことも有効です。
いずれにせよ「他の人が未だ取り組んでいない課題」であるかどうかが、重要なのです。ここで十分に考えておかないと、後々頑張っても、結局似たようなアイデアがすでにたくさん有りますよね、とか、もっといいアイデアがありますよね、となってしまいます。
とにかく、そのアイデアは結局のところ何を解決しているのか、というところで課題を導き出し、その課題がすでにたくさんやられている課題ならば激戦区ということです。そこで進歩性や優位性のある解決策を出すには、切り口として斬新でかつ有効なものを出す必要があります。もちろん、この作業も重要です。
しかし、課題自体が新しければ、いわば「やりたい放題」ですから、広く権利が取れる可能性があります。
アイデアを見るときに、意識して「実はまだ誰も目を付けていない課題を解決している可能性はないか?」と考えてみるのも有効かもしれません。意外と気付いていないだけ、ということもあります。発明=「課題の創造」ぐらいに考えてください。
それぐらい「課題」にこだわってください。
「課題解決」「概念化、構造化、階層性」「MECEでどんどん切り口を出す」「まだあまりやられていない切り口、できれば、まだあまりやられていない課題に注目する」
あと一つ「名前をつける!」これ重要。(「シンデレラ」なかなか良かったです。)
集中講義はこれで終わりですので、今回の講義の手法を日々練習し、発明に励んでください。
ちなみに、今回の一連の講義の要点は、以下コラムにも記載があります。復習用に。
(特許分析、ロジックツリー、異分野結合、課題解決、発明の本質など)
ではでは。