さて今回は、ここ数カ月いろんな方と話していて、気付いたことを。
それは、ロジックツリーとMECEに関するものです。
私は発明塾やその他のセミナーで、基本的にロジックツリーやロジカルシンキング(いわゆるMECEの考え方も含め)をベースに、マインドマップを使って情報を整理し、穴をみつけ、発想を広げることを推奨しておます。
で、当然それに対する様々なご意見を頂きます。
一番多いのは、
「MECEは皆使うツールなんだから、それでオリジナリティのある発想が出るわけがない」
というものです。まぁ、実際には出てるんだから仕方ない、と開き直ることも出来ますが、それは塾生さんのためにならないので、「ロジカル」に反証しておきます。
①MECEといっても分け方は無限にある
②どれを選ぶかで、整理して導出される概念が変わってくる
③導出される概念が変われば、導出されるアイデアも異なる
という、3段論法です。②~③は自明だと思いますので、①を証明すればいいことになります。無限であることを直接証明するのは厄介なので、個人により異なることを示します。
たとえば、私がいつもMECEとロジカルシンキング、ロジックツリーのトレーニングに使うのは「10円玉」です。
Q1:10円玉を見て気付いたことをできるだけ多く書きだしてください。
Q2:それを、MECEに整理してください。
Q3:MECEなロジックツリーを用いて、強制的に気付きを産み出してください。
これをやります。特にQ3が重要です。
A1:材質、重さ、形、模様、字、汚れ、傷・・・などについて気付いたことを挙げ、それをMECEに分けた人。
この辺が一般的ではないでしょうか?たしかにありきたりなので、なんだMECEでは大した発想は出ないかも、と思ったかもしれません。
その人は、MECEの修行が足りません。
上記は実は、ほとんどが「視覚」の言う切り口(一部触覚)ですね。それに気付いた人は、概念化の階段をひとつ上って「視覚」と「触覚」とそれ以外(あとの五感)、で再度気付きを得ることが出来ます。10円玉の「味」や「臭い」はどうなんだろうか?と。
注)銅のサビである「緑青」は猛毒?説があるので(すくなくとも体にはよくなさそう)なので、10円玉は舐めないように!
ロジックツリーとMECEというのは、このように、無限に概念化して遡ることが出来ます。つまり必要なのは「概念化」能力であって、ロジックツリーはそれを助けるツールに過ぎない、ってことです。足が遅いのを、靴のせいにするようなものなので、道具のせいにせずに、しっかり「頭脳」の方を鍛えてください。
実はこれにはおまけがあって、なんと私の立命館大学での講義「マーケティング・リサーチ」を受けている学生さん(理工学部3回生)が、最初から、
A2:「5感」でまず切り口を設けました。
と回答。うーん、なかなかやるな。彼は、一段飛ばして走っているわけです。こういう人のことを「独創的」と言うのでしょうが、先の議論で、同じことは論理的思考と概念化能力の向上で達成できることを示しましたので、私も落ち込まずに頭脳を鍛えたいと思います(笑)
しかし、若いっていいですね。A2のような回答に刺激を受けて、他の学生さんも頑張ってます。
「創造性はすべてを省略する」を痛感した一瞬でしたが、「創造性は獲得できる」を示して、本講義は終りにします。
では。