京都もだいぶこなれてきた印象を受けました。この調子で、どんどんアイデアを出し、詰めていきましょう。
さて、今回はすでに仕上がりつつあるSR(Solution Report:発明をまとめたもの)2件と、アイデア1件を取り上げて討議しました。他の人から見て、自分の発明がどう見えるのか(あるいは見えないのか=どこがわからないのか)を考えてみることは「発明の本質がなにか」「何が新しいのか」を考える段階でも非常に重要ですし、新たしいアイデアを人に伝える段階でも非常に重要です。
いつも言っていますが、新しいアイデアというのは、それが新しければ新しいほど、他人にはすぐには理解されません。だから新しいわけです。
なので、理解されないからといって、諦めてはいけません。むしろ見込みがあるぐらいに思って、どうすれば理解されるか、考えたほうがいいでしょう。
また、アイデアを思いついた段階で、その本質・何が新しいのかがすぐにピンと来ない場合には、類似の技術、比較されそうな技術(や製品)を見つけて、それと何が違うのか、その違いがどういう意味を持つのか、一つ一つ隅々まで洗い出し、ロジカルに詰めて考えることが重要です。
特許業界では「先行技術調査」などといって、人に任せたりしますが、この作業が発明の本質なので、実際には人に任せることはできません。発明家自身が、自分のアイデアを様々な角度から捉え直し、比較されそうな技術・類似と言われそうな技術を探し出し、比較することが必要です。それによって、アイデアをさらに磨くことができます。
もっとも、学生さんの場合には比較できそうな技術がすぐに思い当たらないこともあるでしょうから、「情報検索」をフル活用することになります。また、塾で他の人と議論したり、幅広い技術分野に精通した人に聞くこと(発明塾大人組)も重要です。
繰り返しますが、思いついたアイデアを「面白いアイデア思いつきました」でとどめておくのではなく、「何が今までと違うのか」「何と比べると何が違うのか」「その違いはどういう場面で意味を持つのか」と、どんどん論理的に突っ込んでいくことです。そうして、狭いポイントに絞り込んで考えることで、「ひらめく」こともまた多くなります。エネルギーが集中できるからです。また、他人からもアイデアを引き出しやすくなります。
漠然と広く考えていると、どうしても考えが浅くなります。
そうではなく、一つづつ深く考えて、行き着くところまで考えてダメならそのコンセプトは捨てて、違うことを考える。そういう風にして、「結果的に」広く考えていくことが重要です。
実は、仕事でも全く同じで、漠然とした(わたしはこれを「ふわふわしている」と表現する)ことを何時までも漠然と考えている人がいますが、物事はこれでは進みません。
漠然とした中から、まずある領域を絞り込んでそこについて徹底的に調べ考える。そして結論を出す。いいアイデアが出ればいいし、でなければ潔く諦める。で次の領域を又攻める。これを繰り返すことで、「結果的に」広い領域を、深く掘り下げることが可能になります。
では、その「領域」をどう決めるのか。
実はそれが最大のポイントで、私の発明のノウハウになります。
ある程度発明に取り組まないと、実感として理解出来ないので(話として理解できても、実践できないので、意味が無い。いわゆる「身体知(注)」にならない。)、これは皆さんのレベルが上がった段階で、個別に指導することにしています。
ぜひ、一日も早くそういうレベルに達してください。
では。
(注)身体知の議論は、「知識創造企業」野中郁次郎 参照。経営学(組織理論)の名著ですので、興味ある人は購入して読んで見て下さい。たとえば、以下のような議論です。