今回は、大学の講義の関係で、時間がタイトで失礼しました。
前回の宿題をレビューした後、キヤノンのインクジェットプリンターに関する特許の分析を、行いました。優れた発明を「リバースエンジニアリング」することは、発明を「仕上げる」能力を培う上で、非常に重要な訓練です。
ただ、「漫然と」読んでも、何も身につきませんので、今回行ったように「サイエンス」のレベルまで深堀りし、かつそれを「権利として」事業で有効に使えるように仕上げる作業を想定し、読む必要があります。
今回用いたサイエンスの知識は、「表面エネルギー」です。
発明塾の発明に、よく出てきます。
なぜでしょうね?今回の討議で、「優れた発明に表面エネルギーがよく出てくる理由」が、明らかになったと、僕は思っています。
キーワードは、「認知バイアス」でしたね。
これも、よく出てくる言葉ですね。
さて、すでに皆さんご存知のように、今年から発明塾の卒業生が、うちの会社(TechnoProducer株式会社)で働いてくれています。
せっかくなので、彼が入社する時に、
「発明塾卒業論文として、”発明塾は何がすごいのか”、ちょっと論文にしてくれへんかな」
とお願いしてみました(注1)。
" Where there is a will, there is a way. "
大学生時代に、僕もよく受験生に贈った言葉の一つ。
普段、ベストセラー本は”全く”読まないのですが。
面白がって?快諾してくれた彼の考察結果は、
「正直、”発明塾”の何がすごいのか、塾の存在が当たり前になっていて、よくわからなくなりつつある」
僕にとって、非常に有意義なものでした。いろいろあるのですが、僕が”もっとも”本質的と感じた彼の指摘は、
「どんな課題にも、必ず発明を出せると信じていること」
です。彼曰く、
「なぜかそれを、楠浦さんが一番強く信じていて、疑わないのがすごい」
「楠浦さんが、絶対発明できるから、って言うから、皆、できるんじゃないかと思う」
みたいな感じだそうです(注3)。
最近の発明塾では、
「どうやってファシリテーターを育成するか」
を、一つの課題(注2)にしていますが、彼曰く「ファシリテーターが”自分たちの能力”を強く信じてないと、たぶん発明は出ない」だろう、とのこと。
「楠浦さんの存在意義は、もはや”発明法を教えるヒト”ではなく、”絶対発明できると信じる存在”」
という結論のようです。正しい気がします。
現在発明塾で教えている内容は、「数年前に立命館大学で教え始めたころの発明法」とは、全く異なるものになっています。立命館大学出身の塾生が、その変化に最も驚いているかもしれません(注4)。
しかも、日々進化しています。これは、発明塾の発明法が「もはや僕の発明手法」ではないことを、意味します。参加している塾生一人一人が、自分なりに手法を作り上げており、その「共通言語」として、現在の「発明塾式発明法」がある、ということです。
僕にとっては、とても理想的です。
ではでは、次回もよろしく!
※ 注1) もちろん「仕事」なので、もっとちゃんとした指示ですけど・・・。
※ 注2) もう一つは、「企業で通用するレベルの特許情報分析法を、マスターしてもらう」ことです。
※ 注3) 実際、発明塾でも、海外の発明家達とのセッションでも、「納得いくアイデアが出なかった」ことは、一度もありませんので、「発明できること」を疑う理由が、そもそもありません。
※ 注4) 現在は、発明塾で指導している手法を「簡素化」して、立命で教えています。