ルール(1)「会うために会うのであって、打ち合わせるために会うのではない」
ルール(2)「社内からパワーポイント病、プレゼン病を排除し、徹底して言語化する」
今日は「ルール(1)」です。
もともとこのルール(1)のルーツは、僕が前職のベンチャーでCTO/事業責任者をしていた時に遡ります。当時何かの記事で、JR東海の松本社長(当時)が、
「IT化が進むと、ますます人は会うようになる」
と答えていたことがきっかけです。
確かインタビュアーは「これだけIT化が進み、皆が忙しくなる中で、新幹線のような長距離輸送ビジネスは将来性があるのか」みたいな質問をしていました。
彼は、ゲーリー・ベッカー(注1)の理論を引用し「時間制約と資源制約」のうち、時間制約がますます厳しくなる、というところから
「会う、ということの貴重性、重要性が再認識され、ますます人は遠方まで出かけてでも、会うようになる」
というようなことを言っていた。
彼がほんとうのところ何が言いたかったかは、今となってはわからない(記事がいつの何だったかも思い出せないので)が、僕なりの解釈を経て、今の経営方針になっている。それが、
「会うために会う」
ということである。
正直、これだけIT化が進めば、仕事上の打ち合わせから相談事、果ては「発明」のような超クリエイティブな作業まで、全く会わずに済ませることが可能である。
むしろその方が自由度が高く、早いし、効率もよい。そして、集中できる。
これは、後述の「会う」目的のちょうどウラ面である。会議は、会わない方が絶対にいい。
これが僕の確信である。
たまに弊社でも「では次のMTG(ミーティング)で」みたいな会話が出るが、僕はその手の提案を全て即座に却下し、その場で電話会議で片付けるか、別途電話会議を招集する(させる)ことにしている。
なんで次のMTG(面談)まで先送りする必要があるのか、意味がわからないからである。
MTG律速は最悪である(注2)。
重要なのは「会う必要があるのか無いのか」である。
では「会うために会う」とはどういうことか。
例えば、最近どうしているとか、趣味がどうとか家族がどうとか、そういう話は、緊急性がないので仕事の電話会議ではなかなか話せない。だけど、組織(コミュニティ)において、この手の「四方山話」は、とても重要である。
ここで「7つの習慣」(注3)を思い出したあなたは、非常にカンがよろしい。まさに「第2の領域」の話しである。
だから僕は、
「仕事上重要なことは、会うまで待たずに、すぐメールか電話をして、電話会議を設定する」
「会うときには、できるだけくだらない話をする」
ことにしている。
普段人と毎日会っていた時には、全く気づかなかったことではありますが。
この「会う」「会わない」ということは、教育においても、非常に重要なファクターである(特に「会わない」)ことを、最近痛感するが、これはまた別の機会にしましょうか。
※ 注1) 彼の著書の中で、わかりやすい(とっつきやすい)のは以下。大学生が、「経済学」がどう日常生活で活かされるか、ということを知るのに最適。
・『ベッカー教授の経済学ではこう考える――教育・結婚から税金・通貨問題まで』(東洋経済新報社, 1998年)
※ 注2)一般の企業だと「会議室が取れないので」なんて事がよくあるが、これもよく考えたら意味不明。資源(空間資源)制約の典型。時間のほうが貴重な現代において、別の制約で縛ると、効率が下がる。最も制約が厳しいもので縛るべきである、というのは「発明理論」でも教えている通り。
※ 注3) 「7つの習慣」フランクリン・コヴィー・ジャパン 参照