(006)~(008)は、エジソンから離れさせていただいて、発明塾でよく取り上げるエジソン以外の発明家について、紹介します。
トップバッターは、Qualcomm 社 創業者の
「アーウィン・ジェイコブズ」
です。
Qualcomm は、携帯電話などで用いている無線通信の技術を開発し、また、専用の半導体を開発販売している企業です。
アーウィン・ジェイコブズは、Qualcomm を設立後、1988年にCDMA技術を用いた移動体通信(要するに携帯電話)のコンセプトを発表し、紆余曲折を経て実用化します。
実はこの
「CDMA」
は、もともと軍事用の通信技術として利用されていたものです。
この技術についての歴史も、非常に興味深いものがあります。
CDMA技術と関連が深い「周波数ホッピング」という技術は、ある「ハリウッド女優」が発明したものです。
周波数ホッピング技術については、1942年に特許が取得され、1962年にその改良技術が軍事技術として実用化されているそうです。
さらに20年以上を経て、ようやく広く世界中で使われるようになった、ということになります。
軍事技術が民間転用されて世の中に大きなインパクトを与えた例は、他にも多くあります。
例えば、発明塾でよく取り上げる、
「Intuitive Surgical 社」
の手術ロボット
「Da Vinci(ダ・ヴィンチ)」
も、その一つでしょう。
Intuitive Surgical も、Qualcomm と同様に、優れた特許戦略で有名です。
(書くときりがなくなるため、解説は、また別の機会に譲らせてください)
(画像をクリックすると Amazon.co.jp のサイトへ移動します)
Amazonのプログラムを利用して画像を引用することにしました。
本書と並行して「国際標準化と事業戦略」を読むと
理解が深まります。
Qualcomm とアーウィン・ジェイコブズの話に戻りましょう。
CDMAを用いた移動体通信のコンセプトを発表した当初、
「軍事技術としては使えても、民用では不可能」
と、誰も相手にしなかったそうです。
しかし、アーウィン・ジェイコブズは、技術的課題を一つ一つクリヤし、自社で必要な技術をすべて開発し、CDMAを用いた移動体通信が可能であることを実証しました。
そして、その過程で取得した
「特許」
を、
「広く、かつ、巧みに」
ライセンス(許諾)することで、携帯電話の普及を加速させ、業界において高いシェアを持ち、大きな収益を上げるところまで、こぎつけています。
発明塾では
「独占的普及」(*)
のお手本として、よく例に挙げています。
Qualcomm の歴史について、さらに知りたい方は、以下も参照ください。
また、Qualcomm の優れた特許戦略について知りたい方は、以下、下名の論文を是非一度、お読み下さい。
楠浦 拝
* TechnoProducer 株式会社 の登録商標です。
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