今回も、2回分まとめて、で失礼します。
・院試が近いので、大学生組は少しペースダウンです@発明組
・四季報読み込みの成果が出てきたように思います@投資部
例によって、あまり細かいことがかけないので、院試組の人の息抜きを兼ねて、僕の大学/大学院時代の研究室の思い出を、紹介しておきたいと思います。
京都に毎週行っていた頃は、休憩時間にいろいろな事を話していたのですが、遠隔となると、休憩時間はOFFになってしまうので、こういうところで補足しておきます。
もちろん、討議の合間に、いろいろ質問してもらっても構いません。
● 研究室選び ~ 地味だけれど「つぶし」が利く研究内容と考え「材料」関係へ
僕が大学/大学院時代を過ごしたのは1990年台中ごろです。当時人気があった研究室は、多かれ少なかれ、「自動車」に関連する研究内容がメインのところでした。例えば、エンジンなどの熱力学を扱う研究室や、流体力学を扱う研究室などです。
楠浦さんはバイクの開発やっておられたんだから、内燃機関とか流体とか、そういう方面の研究をされてたんですかとよく質問を受けます。
そこで、研究内容は
「破壊力学です」
と答えると、色んな意味でポカンとされる方が多いように感じます。
破壊力学が、ちょっと馴染みのない学問であることと、熱とか流体とかやってたんだろうという予想を裏切ったという点の2つが重なるんでしょうね。
僕が「破壊力学」という学問を知ったのは、(たぶん)大学3回生で講義がある
の講義を通じてだったと思います。この教科書は非常によくできていて、社会人になってからも、よく読み直しました。金属材料だけでなく
「セラミックや、高分子材料」
の力学についても書かれていて、機械設計に携わる人なら、一冊持っておいて損はない本です。
僕は、同じ材料学会の関連書籍を、社会人になってから何冊か購入しました。
「疲労強度」
「金属間化合物」
関連の知識を補強する必要があったからです。
内燃機関は、
「材料の限界を超えた」
ところで使用されている部分もあり、
「破壊力学、疲労強度」
「表面処理、熱処理」
「耐熱材料、高強度材料、新材料」
の知識が問われることが多かったように記憶しています。
逆に、
「新しい内燃機関を考える」(オットーサイクル以外の、という意味です)
なんてことは、そうそう必要にはなりません。
(僕は、エンジン設計者時代、一度も熱力学の本を開きませんでした)
結果として、僕が大学時代に
「各種材料」
「疲労強度」
「破壊力学」
「熱処理」
の研究を行っていたことは、オートバイのエンジン設計者になる準備としては、正解だったように思います。
もともとは、
「競争が激しくない」
けれど
「つぶしが利く」
ことが学べそうな研究室、ということで選んだだけなのですが・・・。
古くて申し訳ないですが。
社会人レベルですが、学生さんでも読める本です。
どこかにも書いたと思いますが、僕は、卒業研究・終了研究で全く同じ研究内容について、論文を書いています。
「Life
prediction by simulation of crack growth in notched components with different
microstructures and under multiaxial fatigue」
(Fatigue
and Fracture of Engineering Materials and Structures,21,2,201-213)
多軸応力下での疲労強度に与える微細組織の影響、みたいな研究内容です。まぁ要するに
「マイクロ・ナノレベル(原子レベル)の組織の違いが、各種金属材料の疲労寿命や破壊の形態にどのような影響を及ぼすか」
ということを、チタン合金なんかを使って研究していた、ということです。
これがめちゃくちゃ地味な研究で、ある種、僕の性に合っていたのだと思いますが、予算の関係もあって、年に20-30点ぐらいのデータが取れれば恩の字という感じでした。
試験条件によっては、昼夜交代で一週間ぐらいかかる実験で、
「亀裂の進展を、ミクロン単位で測定しながら」
進める実験でした。
待ち時間が多いので、本が読めるのが最大のメリット(笑)で、アセトンと酢酸臭い地下の実験室で、語学書をよく読んでいました。
僕の論文は、10年ぐらい前からの先輩方が積み重ねてきたデータに、データを付け加え、成り立っていました。好き嫌いはあるでしょうが、時間がかかる研究というのは、そういうふうにしか進まない、ということです。
あまり進まないんだけど、確実に進める必要がある。
そういう研究でした。
実験と平行して、コンピュータ・シミュレーションをやらせてもらえたのも、良かったように思います。先輩方から引き継いだプログラムを理解しつつ洗練させ、破綻がないように仕上げていくというレベルでしたが、実験結果と理論をつなぐ
「モデル」
を考えることは、後々設計者として、
「現実的なモデルに従って、経済的な設計を行う」
「不具合の原因を突き止めるために、様々なモデルを立ててみる」
上で、役立ったように思います。
院試組の人は、院試勉強の息抜きに、この3年間の過ごし方をじっくり考えてみてください。
楠浦 拝
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