「金融」
「セキュリティー」
「Liイオン電池」
などの分野について、分析と討議を行いました。
「Fintech」
という言葉に象徴されるような、新しい技術の流れも、しっかり押さえておきたいですね。
次週もよろしく。
今週、ご縁があって、ある分野の非常に著名な方のところで、
「発明塾」
を開催し、発明創出の支援を行ってきました。
参加者の皆様には、非常に活発な議論を行っていただきました。
また、事前学習で受講いただいた
✔ e発明塾「課題解決思考(1)」
について、
「普段の研究でも、とても役に立つ、よい考え方が学べた」
「今回学んだ考え方を、日々の研究で、すでに使っています」
と、ありがたい感想をいただきました。研究は発明の連続でしょうから、むしろ当然なのかもしれません。
非常にベーシックなサイエンスの研究をされているチームですが、同時に、「用途」「実用化」「知財先行」をキーワードに掲げ、積極的に活動を進めておられます。
発明塾の手法は、「開発」「研究」「用途探索」「知財の先行確保」「知財戦略の立案」「先行特許を回避した発明/製品アイデアの創出」など、
「技術の実用化」
に向けた様々な活動の段階で、幅広く利用いただけることが、改めてわかりました。
終了後、
「普段、楠浦さんは、学生さんの指導において、どのようなことに注意しておられますか?」
「いつも、あんな感じで、”自由に”議論させているのですか?」
と、ご質問がありました。
「”自由”の前提に、”型”があること」
「皆が共通の”型”を踏まえて行うため、”自由な討議”が成り立つこと」
を、説明させていただきました。
また、
「アイデアそのものではなく、そこに潜む”エッジ”を拾うこと」
「答えを言いあうのではなく、周りから正しい答えが引き出せる”問い”にこだわること」
も、お話しさせていただきました。
歴代の財務長官、FRB議長の自伝は
とても参考になります。
特に「金融危機」を経験した方々の自伝は・・・
そういえば以前、ある方に
「楠浦さんの質問には、”愛”がありますね」
とご指摘(?)いただいたことがありました。
実は、この
「エッジを拾う」
考え方の原点は、
「カワサキでのオートバイ開発経験」
にあります。
カワサキ入社時に乗っていたのは ZZ-R1100(WIKI, Mr.Bike) という、当時世界最速(最高速度300km/h以上)の カワサキ製オートバイ ですが、その源流は
GPZ900R → GPZ1000RX → ZX-10
と、あるバイク雑誌曰く
「最速の系譜」
と呼ばれる、一連の
「改良機種」
にあります。一部の重要なエンジン部品にさえ互換性があるぐらい、
「(特にエンジンは)できるだけ変えずに、かつ、オートバイとしては大胆に変える」
ことで、
「最速」
を維持してきた機種達です。
すこしづつ手を入れ、10年以上にわたり「世界最速」を維持し続けてきたオートバイには、典型的な
「カワサキ流」
が現れています。
(私がカワサキにこだわったのも、「10年以上、世界一に君臨できる機種群」を作れる企業が、当時、他に見当たらなかったからです)
これらの機種に用いられているエンジンは、結果として、非常に信頼性が高く、かつ、性能も高いエンジンとして進化し続けていました。
互換性がある、と言いましたが、部品1つ1つは丁寧に見直されており、互換性はあるが、同じ部品ではない、という非常に丁寧な作りこみがなされているエンジン達です。
エンジン設計に配属された後、ことあるごとに関連する設計図を
「よくできているな」
と、眺めていました。後に、後続機種のトランスミッション設計を担当しましたが、その時も
「トランスミッションとして、互換性を持たせる」
「時代に合わせ、最新技術を取り入れ、性能を向上させる」
方針にこだわりぬいて、設計しました。アフターマーケットで、カワサキのエンジンがどのように扱われているか、よく知っていましたから、「互換性」は絶対に外せません。
「制約条件が厳しいほど、よいアイデアが出る」
ことを、実感した仕事でした。
最終型のZXT10(C,D)は、今でも部品表を持っているぐらい思い入れもあり、好きなエンジンです。
(ZXT20になり、クランクケースから新作されているのは、オートバイファン・カワサキファンはご存知の通りです)
街中で、二人乗りでUターンしても何の不安もないぐらい車体の取り回しも抜群で、非の打ちどころのない、まさに「名車」でした。
もう一つは、僕が入社後すぐ担当した「W650(WIKI, Goo Bike)」のような、
「コンセプト(見た目)はそのままに、中身を ”最新技術” で大胆に変える」
という流儀です。
クラシック系、アメリカン(クルーザー)系の開発機種に、この傾向がありました。
W650は、
「カムシャフトのべベルギヤ駆動」
(厳密には、ハイポイドギヤ駆動、です)
をはじめ随所に、最新の技術を盛り込んでいます。
「空冷ツイン」
という、一見レトロなオートバイに
「そこまでやるか」
という感じでした。
まとめましょう。
「何を変え、何を残すか」
これが肝なんだな、ということが、まさに”身にしみた”5年間でした。
そのメリハリが
「カワサキらしさ」
を生み出していました。
なので僕はいつも、ある塾生さんのアイデアを取り上げるとき、
「エッジ」
を取り上げ、それ以外を
「大胆に変え」
でも、
「その人のアイデアとして、きちんと進化する」
ように、進めます。
それが、僕がカワサキで学んだことだからです。