何があるわけでなくとも、忙しい時期ですね。
さて、スプリングスクールも無事終え、当初予定の5年+次への準備期間の1年を、予定通り終えることができました。
現在、第328回が終了したところです。原点回帰で、RFIに取り組む人もいるようです。
高いハードルを自らに課し、日々の努力を積み重ねることは、とても良いことです。
繰り返しですが、
「個人作業」
無しに集まることは、
「集まる人全員の時間を無駄にする」
ので、絶対に避けることです。
「集まる前に、ぎりぎりまで詰めておくこと」
「集まったら、自分が詰めてきたものに、”一切” こだわらないこと」
この二つが、創造的な議論の鉄則です。
発明塾ではない、もう一つの「塾」の教え子さんにあうと、
ごくたまに、「また楠浦さんの英語の授業が受けたい」みたいな
お世辞をもらいます。当時の雰囲気に近い良書を、最近発見しました。
「題材のセンス」が、ものすごく「僕好み」ですし、
解説も「多感な高校生」向けで、よく出来ています。
さて、「準備期間の1年」も終えましたので、2016年どうするか、ということも徐々にあきらかにしていきましょう。
尊敬するある企業の経営者の方からは、
「楠浦さん、もう、発明については、”発明塾”で散々やり尽くしたんとちゃいますか」
という、厳しいご指摘を頂きました。
見ておられる方は、見ておられる、ということを痛感します。
今後どうするかのヒントとして、そもそも「発明」でどのようなことが得られたか、について話しておきましょう。
● 発明は、「技術」「知財」「投資」で、できている
まず、今回のタイトルについて、少し解説しておきましょう。
2008年に現在の仕事を始めるまでは、
「設計」
「新規事業」
「新技術」
「特許情報分析」
「経営」
のようなKWで説明できる仕事であり、お付き合いであったといえます。
2008年以降、「発明」に携わることになって以降、
「技術」
「知財」
「投資」
が、仕事であり、お付き合いのKWになりました。
1つづつ、行きましょう。
● 「技術」
これはほとんど説明不要なKWのようにも思えますが、
「自分で事業化しないものについて、発明を求められる」
ということは、
「知らない技術があってはいけない」
(自分はやってないので/やらないので、知りません、という言い訳は通用しない)
ことを意味しますので、これまでとは全く次元の異なる情報収集や、お付き合いになりました。
実際、購読する学会誌も多岐に渡るようになりましたし、常に、
「新しい、画期的な技術が提案されていないか」
探す必要が出てきました。
「仕事であるならば、求められた分野について、必ず期日までに有効な発明を創出する必要がある」
ので、当然といえば当然です。
前職までで、
「金属の結晶組織と疲労強度」
「内燃機関」
「オートバイ」
「歯車」
「エネルギー工学」
「風力発電」
「ナノテク」
「半導体プロセス」
「光学フィルム」
「化合物半導体・結晶成長」
「細胞培養」
「表面プラズモン共鳴デバイス」
のように、ある種「見境なく」「必要があれば何でも」取り組んできたことが、大変助けになりました。
発明塾にも、
「技術好き・技術オタク」
的な学生さんが多数集まってくれ、メンバーが増えるにつれ、議論も大いに活性化しました。僕も基本は、
「技術オタク」
だと思います。
ダビンチやエジソンの手記など、「今見たからといって、どうということもない」モノが、大好きですしね。エジソンのノートは、出版されているものは全て持っています。引っ越しの時なんか、チョ~重くて邪魔以外のナニモノでもないのですが、宝物の1つなので、捨てるわけにはいきません。
ネイサン・ミアボルド(元マイクロソフトCTO、5つの学位を持つ天才)から、発明家表彰の記念にもらった本も、宝物の1つとして、保管しています。カラフルな料理本で、息抜きにパラパラ眺めるにはサイコーです。ただ、料理を徹底的にサイエンスするというミアボルドの尋常ではない熱意には、ついていけない部分があります。そういうことを感じるのも含め、眺めるにはサイコーの本です。
ホント、ただの技術オタク(マニア)ですね・・・。
● 「知財」
これも、説明不要かもしれませんね。弊社 TechnoProducer株式会社も、知財業界に分類されているでしょうから。
当初、特許情報分析/特許調査で始まった事業も、2008年のリーマン・ショックで業容転換を迫られ、事業撤退と新事業開発の末、現在の
「発明・知財教育」
事業に至っています。リーマン・ショックを予測していたわけではないですが、2008年の6月ごろから、既に
「新事業への転換が必要だな」
と感じ、手を打っていたのが幸いでした。痛みは伴いましたが、
「生き残るためには、何でもやる」
という基本的な考え方からブレず、粛々と進めました。
「新規事業開発」
「新製品開発」
単体ではなく、
「事業撤退」
込みでやらなければならないところが、
「1つの事業を見ている場合」
と
「会社全体を見なければならない場合」
の違いなのでしょうか。経営資源の再配分であり、それが経営の本質、といってしまえば、それまでですが。
ここは、次の「投資」に繋がる部分でもありますので、次で掘り下げましょう。
私が「知財」に触れたきっかけは、
「前職で、ナノインプリントの用途を、どうしても探さなければならなかったこと」
(用途がないとわかると、投資をすべて引き揚げられてしまうので、用途特許を2000件以上の関連出願から探しだし、全て読破した)
「そもそも、前職のベンチャーの技術が海外勢に対し大きく劣っており、海外勢の特許を回避し、かつ、彼らを圧倒できる技術の開発が急務であったこと」
(いわゆる、「突破発明」が必要だったので、特許を読みまくっていた)
でした。他にもいろいろありますが、
「お金も時間も人も”技術も”ないベンチャーが、最短距離で勝ち上がるためにどうするか」
(「技術もない」は、今から考えると意味不明ですが・・・。)
を考えぬいた結果、
「知財に賭けるしかなかった」
ということに尽きます。
以前、この話をした時に、
「6か月かけて2000件読むなんて、よっぽど暇だったんですね」
と、ある企業の知財部の方に言われたことがあります。
確かに、「特許分析業」の視点で見ると、2000件査読は20人・日(Man・Day)ぐらいの仕事ですから、6ヶ月は、どう見てもかかりすぎです。
しかし、大した分析ツールもなく、特許についても何も教わっていない人間が、
「毎日深夜まで、クリーンルームで実験を繰り返す」
(あまりにも毎晩深夜まで実験をするので、産総研のラボのルールが、17時以降単独利用禁止になる、という事件がありました。深夜まで一人で黙々と実験する人がいるとは、当時の産総研では考えられなかったようで、明文化されていませんでした。安全を考えると、当然のルールだと思います。危険なガスや薬品に囲まれているわけなので、無知は恐ろしいなと思いました。)
中、実験中や実験後にPDFを1つ1つ読むわけですから、むしろ早いぐらいなのですが、6か月もかけてお前暇だったんだな、もっと早くやれよ、と言えるぐらい早くこなせる方がおられるのであれば、それはそれで何もいえません。
ただ、そういう、何も知らないし道具もないのだけれども、とにかく期日までに結果だけは出さなければいけないという
「切羽詰まった環境」
の中で、現在弊社が提供している
「知財・発明教育教材」
の原型が出来上がったことを、塾生さんには是非知っておいて欲しいと思い、敢えて書いておきます。我々の教材が、どこまでも実践/実戦的なのは、上記のような
「実戦」
の中で、
「切羽詰まった中から生まれた手法/道具」
を、提示しているからです。知識を詰め込んで、テストで点数を取ればいいという
「お勉強」
(価値創造にもつながらず、実践予定もない知識の詰め込み作業を、僕の尊敬するある経営者の方は、このように呼んでおられました)
では、企業は成り立ちませんし、新製品や新事業も生まれません。
そして、常に
「必要は、発明の母」
なのです。
「準備が整ってから、出発していては遅い」
ので、
「とにかく船出してから、必要な備品を買い集める」
ようなメチャクチャなことも、時には必要とされます。その時、
「知財(の知識)は、とても役に立った」
ことは、紛れも無い事実です。
発明塾で「発明法」が体系化されたのも、
「右も左もわからない塾生さん(学生)が、楠浦さんの議論についていこうとする中で、知識を整理し体系化した結果」
でしたね。
結局、
「物事の本質は、いつも同じ」
なのです。
● 「投資」
本当はここが本題のはずなのですが、あまりに長いため、今回は割愛し、次回書きます。
お楽しみに!
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