バリュー投資家の代表例としてよく挙げられる
「ウォーレン・バフェット」
は、すでに紹介しました。バフェット関連の書籍は、「バリュー投資って何?」を知るための入門書として最適ですので、是非押さえておいてください。
バフェットの投資スタイルは、保険事業から生み出られる
「フロート」
という強みと切り離せないため、そのまま真似できるものでもありません。
(そのまま真似するなら、バークシャー・ハサウェイに投資する方がよい気もします)
今回は、バフェット以外の
「バリュー投資」
のスタイル、考え方、視点を紹介している本を取り上げます。
まだまだ深堀り出来るチャンスがあることに気付きます。
企業調査・企業分析の手法についても、いろいろな学びがありました。
紹介されている「10のアイデア」を一通り頭に入れておくと、
ニュースの見方も、大きく変わります。
本書は10章からなり、各章1つのアイデアが紹介されています。
グリーンブラットの手法など、著名なバリュー投資家の手法も、ある程度網羅されています。
バリュー投資という考え方を広く学びながら、自身に合った、使える手法を探し出すのにうってつけの、バリュー投資の入門書です。
(その手法の多くは、事業機会を探すためにも、利用できます)
各章末に、ポイントが簡潔にまとめられており、また、冒頭に
「なぜ、この方法が上手く行くのか」
と題した節があるため、とても読みやすくなっています。
以下に、本書の内容の特徴的な部分と、僕の所感を記しておきます。
● 「バフェット式」の本質は、「優れたビジネスモデルの割安企業」探し
本書も含め、投資業界では「銘柄」という言葉をよく使いますが、僕は、できるだけ避けるようにしています。
実際に経営をしていて思うことですが、株式は市場で取引されるという意味で商品ですが、そのもとになる「企業」の多くは、かかわっている人たちの生活の基盤であり、いろいろな「意味」を持つものです。
「XXX社という銘柄は・・・」
みたいなニュースを見ると、そこに、実体を伴わない薄っぺらさというか、なんとなく違和感を感じるため、僕は「銘柄」という言葉を「できるだけ」使わないことにしています。
(資本市場の論理として、株式は商品であるということは、頭では理解しています)
(金融関係者の方々と株式について議論する際などは、言葉を合わせたほうが楽なので、使うことにしています)
脱線しました。
本書でも、第1章では、バフェットを取り上げています。しかし、非常に簡潔にしか取り上げられていませんので、詳しく知りたい方は、バフェット関連の書籍を読むのがよいでしょう。
紹介されている内容の要点を挙げておきましょう。
・ 優れたビジネスモデルを持つ、割安な企業に投資する
・ 投資する際には、その企業の「オーナー(所有者)」になるとして考え、行動する
・ バフェットを上回ることが出来るファンドマネージャがいれば、任せればよい
(上回れないなら、バフェットに任せればよい)
第1章では、企業を評価するための考え方をまとめた
「フローチャート」
が示されています。本書全体の理解を確認する上で、かなり便利だと感じました。
(本書購入当時の話です)
● 「資産」を正しく評価する
企業分析で、僕が最も重要だと考えているのが
「ビジネスモデル」
「資産」
の2つです。これを正しく評価するのが、企業分析の王道だと僕は考えています。
特許情報分析/投資情報を活用して、いくつかの事業を立て直したり、数多くの発明を創出してきた経験を振り返ると、
「これはまだ、誰も気づいていないだろうな」
というインサイトが得られたときの興奮というか、満足感には、格別なものがありました。
第3章で、「サム・オブ・ザ・パーツ」と称して、隠れ資産や正しく評価されていない資産を評価することについて、取り上げています。
ここに書かれたこと以外にも、会計上、評価されていない
「資産」
は、多数あります。これを自分なりのロジックで評価し、企業価値を算定し、
「実は、アンダーバリュー(低く評価)されている」
という結論を導き出すのが、僕は割と好きです。
「事業参入」
のロジックと、そっくりだからです。
投資における頭の使い方と、新規事業/新製品開発の頭の使い方は、かなり似通った部分があります。毎日、新規事業を立ち上げることはできませんが、毎日、企業の評価をすることは可能です。トレーニングを兼ねて、僕は、週に数社について、簡単な分析を行うことにしています。
「頭の使い方が変わる」
これが、投資視点での企業分析の面白さです。
● 「自国以外」での価値を探す
長くなってきましたので簡潔に、と思いますが
「国や地域」
を変えるだけで、大きな機会が得られる場合があるのは、事業も投資も同じです。
(事業は投資なので、あたり前ですが・・・)
第10章では、日本の例も取り上げられており、有名な
「中北製作所」
が、例に挙げられています。
投資部でも、米国だけでなく、欧州・中国についても議論するように心がけています。
日本から欧州の株式市場にアクセスするのは難しいため、
「ADR(米国預託証券)」
に頼らざるを得ませんが・・・。
● 他の参考書籍
「バリュー投資アイデアマニュアル」で取り上げられているグリーンブラットの手法など、バフェット以外のバリュー投資家、彼らの投資哲学や投資法について、さらに深く学びたい方は、以下を参考にして下さい。
バフェット以外のバリュー投資家の手法を、さらに知りたい方に
前半で、インテルの事例を含むバリュエーションの基礎を取り上げ、後半では、バフェットを含む、8組の著名なバリュー投資家を取り上げています。
グリーンブラットの投資法を学びたい方は、ぜひ
「人がしない自分だけの仕事をせよ」「6-8銘柄に分散させれば十分」など、哲学や基本原則から、数多くの事例までを含む、グリーンブラットの投資法がよくわかる一冊。
投資部でも、「ヒルトン」分割についての分析で、用いました。
繰り返しですが、著名な投資家の投資哲学の多くは、そのまま「仕事の哲学」に当てはまる気がしています。
バリュー投資の「原点」を押さえておきたい方へ
バフェットは、グレアムに学び、その考え方を発展させて今の投資手法に行きついたとされています。企業分析の基本書としても、お勧めです。分析好き、理論好きの人は、是非。
新たなバリュー投資の流れを押さえておきたい方へ
ここで紹介する、ガイ・スピアとモニッシュ・パブライは、バフェットとの「高価な」昼食券を購入した人です。ガイ・スピアの本は、僕は英語でしか読んでいませんので、念のため。
ガイ・スピアは、「勘違いエリートが真のバリュー投資家になるまでの物語」(の英語版)で
「最高の教育が、むしろ邪魔になる事がある」
「正しいロールモデルを持つ」
「(短期的な)ノイズを排除し、静かな環境で判断を下す」
「自己認識が重要」
など、そのまま仕事に活かせる重要なアドバイスを、彼の経験した様々な出来事を通じ、語っています。
この本は僕が大好きな一冊で、英語版をオーディオブックでよく聞いています。
投資に限らず、
「何かを極め、また、合理的な判断を下す」
ことについて、とてもよく考えさせてくれる本です。
楠浦 拝
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