今回は、発明塾投資部で、事業の競争力を評価するために用いている
「モート」(Moat:堀)
という考え方について、参考書籍を紹介します。
「モート」(正確には、エコノミック・モート)という考え方は、モーニングスター社が、企業の評価に用いている考え方です。
ここ数年、米国の大手企業経営者や、Tech系
Start-Up 企業の経営者が、この「モート」という言葉を頻繁に口にするようになったため、日本でも広く知られつつあります。
しかし、参考になる資料は、あまり公開されていません。
今回は、初学者でもわかりやすい内容の書籍を、一冊、紹介させていただきます。
投資部でも、最初に読むように勧めている書籍の一つです。
これを知っていると知らないとでは、目の付け所が全く変わってきます。
Amazonのプログラムを利用して画像を引用することにしました。
「広く深い堀を備えた事業/企業」を
探すためのマニュアル、あるいは、そのような
企業/事業を創造するためのヒントを与えてくれる、
そう、僕は考えています。
実際、多くのヒントをいただきました。
● 競争上の「持続的な優位性」を見極める
本書では、一部の企業には
「構造的な優位性」
が存在すると主張しています。
具体的には、以下の4つに言及しています
・ 無形資産
・ 顧客の乗り換えコスト
・ ネットワーク効果
・ コスト優位性
それぞれに1章を割き、事例を挙げて解説しており、非常にわかりやすいと僕は感じました。また、挙げられている企業のいくつかは、現在でもその「モート」を維持しているように見受けられたため、投資部で取りあげ、議論しました。
(その結果、「モート」を持つ企業が、新たにいくつか見つかりました)
皆さんも、そのように読まれると、普通に読むよりも、さらに得るものが多いと思います。
(ちなみに、流し読みしても、かなり勉強になります)
● 「誤解されている堀」にも言及
投資という観点から企業を評価しているため、いわゆる、マーケティングコンサルタントや戦略コンサルタントがよく用いる「競争優位」についての考え方と、少し異なる部分があります。
本書では、マーケティングコンサルタントや戦略コンサルタントがよく用いる「競争優位」についての考え方のいくつかを否定していますが、僕は、「使い方次第」だろうなと思っています。使う人が、その理論の使い方をわかっていない場合、どんな素晴らしい理論も「効果なし」になりますから・・・。
脱線しました。
本書で
「誤解されている堀」(堀ではないのに、堀とされているもの、という意味でしょう)
として紹介されているのは、例えば、以下です。
・ 大きなマーケットシェア
・ 無駄のないオペレーション
・ 素晴らしい経営者
詳細は、書籍に譲ります。
(僕が解説し、誤解を招く部分があるともったいないですし、著者に申し訳ないですから)
● 「投資は数字だけではない」
本書の最終章のタイトルが、上記です。
・ 数字を読むことは重要だが、十分ではない
としています。
つまり、あなたが会計士でなかったとしても、情報分析において
「勝ち目」
があるということです(笑
「1冊の年次報告書(決算報告)の方が、FRB議長の10回のスピーチより価値がある」
としており、個別企業の情報に精通することを推奨しています。
また
「多くの企業を知っている方が、比較をしたりパターンを見つけたりするのが楽になる」
とも言っており、投資部では
「DOW30ぐらいは、ざっと見たほうがいいよ」
と言ってあります。
(僕も、そこから入りましたし、各Qの決算も出来るだけ見るようにしています・・・なかなか大変ですが、日々飛び交うニュースを読むよりは、断然面白いです)
別に、Nasdaq100でも、S&P500でも、なんでもよいのですが・・・
● 他の参考書籍
本件に関しては、あまり良い書籍が他にありません。「千年投資の公理」の内容を捕足する視点が含まれている書籍を、以下に挙げておきます。
「モート」および「企業価値(企業の本質的価値)の算出」について興味がある方に
日本の投資会社「みさき投資」の中神さんの書籍が、参考になります。
「ミサキの定理」は、「モート」の考え方をアレンジしたものだと、僕はとらえました。
多くの「スタートアップ(Start-Up)」も、同じ視点で考えている
「千年投資の公理」を読んでから以下を読むと、ピーター・ティールも、結局同じことをいっている(だけ)と気づきます。
最近の(米国)スタートアップの経営者は、モートをかなり意識しているようです。
楠浦 拝
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