今回は、発明塾では度々話題になる
「熟達」
「自己認知」
についての参考書籍を紹介します。
「それって、投資と、どう関係あるの?」
と思われた方も多いでしょう。
紹介する参考書籍は以下ですが、書籍紹介の前に、「熟達」「自己認知」と投資の関係について、僕なりの意見を記載しておきます。
● 「自己認知」を意識する
順番が逆になりますが、自己認知との関係の方がわかりやすいので、自己認知(自己認識)の話をします。
ここまでのお話で、
「コントラリアン」(逆張りをする人)
が度々出てきました。投資に限らず、
「何かの機会を掴む」
ために
「自分がいま、どういう状態にあるのか(多くの人と同様、何かに流されていないか)」
を知ることが、とても役立つと僕は考えています。
そして、これが、最も端的に結果に表れるのが 投資 だと考えています。
「己を知る」
そして
「自己の無知を知る(無知の知)」
を徹底することが、何らかの機会を掴む上で、重要な役割を果たすという考え方は、投資では一般的ですが、ビジネスの世界では、さほど重視されているように感じません。
(ちなみに、この「ギャップ」自体が、チャンスを示していると僕は考えています)
● 「熟達」を科学する
投資と「熟達」も、あまり縁がないのでは、と思われるかもしれません。
例えば、投資についての
と称する書籍があります。こういった本を読む限りでは、投資は、Art(技能)性の高い、言い換えると、
「暗黙知的な要素が強い」
分野であるとされていると感じます。
となると、スポーツや各種芸術と同様、「熟達」が欠かせない分野になります。
(画像をクリックすると Amazon.co.jp のサイトへ移動します)
Amazonのプログラムを利用して画像を引用することにしました。
前者は「熟達」、後者は「熟達と自己認識」を取り上げた書籍です。
いずれも、投資に限らず「成長」を目指す方には、必ず
お読みいただきたいものです。
さて、以下2冊について、その要点と僕の所感を記載しておきます。
● 経験するだけではだめ、「限界的練習」を積む
「超一流になるのは努力か才能か?」の要点は、上記に尽きると僕は思います。
・ 苦しい練習を続けるために「よき仲間が必要」である
など、発明塾の指導原理に近いものが、本書の内容に多数含まれています。
・ 長い時間継続すれば上達する
・ 努力さえすれば上達する
は、いずれも間違いであり
・ これまで出来なかったことを出来るようにする練習をする
(「限界ギリギリの負荷を脳に与える」と言っている)
・ 適切なフィードバックを与える
ことが重要であるとしています。
また、練習の形態として、
・ 短い時間の練習
・ 徹底的に繰り返す
・ 一緒にやれる仲間を持つ
ことを推奨しています。
僕の経験からしても、いずれも、その通りだと感じるもので、発明塾も同じような考えにもとづいて運営されています。
努力か才能か、という議論については、書籍に譲ります。
● 「常に最高のパフォーマンス」が出せるようにする
「習得への情熱」のテーマは、ズバリ上記だと僕は思います。
よく言われる
「ゾーン」
という状態がどのようなものか、それを生み出すためにどのようなトレーニングを行う必要があるか等について、非常に多くの示唆を与えてくれる本です。
この本の内容を、端的に示す部分を、以下に抜粋しておきます。
「超一流になるのは努力か才能か?」の内容とも、密接に関連していると、僕は感じています。
「学習の分野やパフォーマンスの分野とは、グレイな部分の探求ーーつまり中庸の探求ではないかと僕は思っている。たとえば、自分を容赦なく追い詰める必要はあるけれど、激しく追い詰めすぎたらメルトダウンを起こしてしまう。筋肉や脳を徹底的に張り詰める必要はあるけれど、極端に張り詰めすぎると壊れてしまう。競技選手はプロセスを重視して常に自分よりも強い相手を選びながら自らを向上させるべきだが、それと同時に、自信を失わない程度に勝ち続けることも大切だ。・・・・卓越した存在になるための道を進むには細心の注意がいる。それは両岸に浅瀬が広がる狭い海峡に船を進めるようなものだが、僕はチェス選手としての高みを目指す過程で一度ならずその浅瀬に座礁している。」
(第8章)
「インスピレーションを得るための公式や型紙は存在しない。だけど、それを得る自分なりの方法を発見するために辿るべきプロセスならある。」
(第18章)
少なくとも僕の場合、この本を読んで、
「日常の様々なノイズ」
「心を乱す出来事」
「些末だけれど、すぐに対応しなければならないこと」
などを
「上手く利用して」
自分のパフォーマンスを上げる方法について、ヒントを得ました。
僕は高校時代に陸上競技の選手でした。大した成績は残せませんでしたが、強豪校の選手の何がすごいかを見て、学ぶことが多くありました。一つは
「平常心」
という言葉でした。ある強豪校の選手のスパイクに、必ず刻まれている言葉でした
(京都府で、同世代に陸上競技をしていた方なら、「平常心」のスパイク、ご存知だと思います)
そんなことを、この本を読んで、思い出しました。
● 他の参考書籍
投資で、そして仕事で、「いつも最高のパフォーマンスを発揮する」「日々成長する」ために参考にしていてただけそうな書籍を、以下に紹介させてください。
「自己認知」「認知バイアス」について、よく知っておきたい方に
ここ20年程、「行動経済学」という分野が大いに発展し、心理学と経済学の知見が融合してわかったことが、実に多くあります。「自己認知」および「認知バイアス」について、よく知っておくことは、投資に限らず、機会を活かす上で判断を誤らないために、必要不可欠でしょう。
・おすすめ1) 「偶然の科学」
・おすすめ2) 「ファースト・アンド・スロー」
・おすすめ3) 「選択の科学」
1)は、いわゆる「後知恵バイアス」(確証バイアス)について、2)は「熟慮」の重要性について、3)は「人はなぜ誤った選択をするか」「そもそも、選択していないつもりで、いかに多くのことを(無意識に/習慣的に/強制されて)選択しているか」について、それぞれ、とてもよく考えさせてくれます。
「熟達」について、さらに理解を深めたい方へ
お読みいただければわかります、と言うにとどめます。
・おすすめ1) 「知識創造の方法論」 と 「知識創造企業」(いずれも、野中郁次郎)
・おすすめ2) 「達人のサイエンス」
・おすすめ3) 「禅とオートバイ修理技術」
1)は言わずと知れた野中先生の「知識創造モデル(SECIモデル)」について、2)は「意図的に学習を遅らせること」について、それぞれ取りあげた本です。
3)は「熟達」というプロセスは、「悟り」に近いのではないかという感覚を持っていたので、僕にはすごくしっくりきました。
(オートバイファンでなくても、是非)
楠浦 拝
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