「発明塾®」へようこそ!: 2月 2019

2019年2月22日金曜日

発明の基礎は、すべてのものごとを「課題-解決」で捉えること ~ 「課題-解決ロジックツリー」を作る(発明塾第473回)

遅れましたが、2月21日分を、まず書いておきます。


今日取り上げたのは、先行技術を含む参考文献を

「課題-解決」

で整理し、まとめ上げつつ、その先を考える、ということです。

e発明塾では

「課題解決思考(1)」
「課題解決思考(2)」

で取り上げている考え方、手法です。


ツールとしては

「課題-解決ロジックツリー」(*)

を用います。
「筋のよい答えの見つけ方」(堀切川)は、
「課題-解決ロジックツリー」を用途探索に適用する際の
やや高度な応用についても言及しています。
e発明塾「課題解決思考(1)」受講後に読まれると、理解が深まります。
というか、この本の内容を完璧に理解し実践することを目指しつつ
それを超えるレベルに行くために作成した講座が、


課題の解決には

「ある課題を解決する方法は、複数ある」
「ある課題を解決しようとすると、別の課題が出てくる」

という構造があるため、それを図で整理すると、

「上下左右」

に広がりが出てきます。


いま取り組んでいる課題の一部を取りあげると、Li電池のセパレータについて

(課題)セパレータの耐熱性が低い ー (解決手段)エポキシ樹脂を使う
                  L  (解決手段)セラミックコーティングする
                  L  (解決手段)セラミック粒子を混ぜる

のように、先行技術を表現することができました。


このように整理すると、10人中10人が

「いっそのこと、セラミックで作れないの?」

と思うはずです。

実際、僕はそう思いましたし、参加者もそう思いました。

つまり、図として整理しただけで

「次の発想を促す」

ことができるわけです。


重要なのは、この後です。

「誰でも思いつきそうなんだけど、やられていない」

ことの

「理由」

つまり

「なんでやってないのか」

を、考えていきます。


ここで、作業は

「課題を出す」

ことに移っていきます。

「課題-解決で考える」

とは、そういうことです。

図にすると、以下のようになります。

(課題)耐熱性が低い ー (解決手段)セラミック化 ー (課題)???

こうやって、図は、上下左右に広がっていきます。


誰でも考えそうなことが実現できていない理由は、多くの場合

「トレードオフ」(矛盾)

が、その背後にあります。

あちらを立てればこちらが立たず、という状態に陥る、ということです。

そうなっているんだろな、と考えると、課題はいくらでも思いつきます。

「生産性が低いんだろう」
「材料が高いのかも」
「脆くて壊れやすいんじゃないの」
「多孔質フィルムに、できないのでは」

などです。
(上記が正しいかどうかは、今は問いません)


この作業は、

「セラミック化」

というアイデアを、詳細な構成要素(解決手段)に落とし込むための作業です。

つまり

「解決手段を考えるために、課題を考えている」

のです。なので、

「こんなにいっぱい課題があるなら、無理そうだな」

とか考えてはいけません。

セパレータを多孔質セラミックフィルム化するために、具体的にどうすればよいか、何が必要か、

「課題を手がかりに」

考えを深めていくのです。


ここで役立つのは、

「類比思考(アナロジー)」

です。

「骨って、多孔質だよね、結構頑丈ですよね、材質なんでしたっけ?」
(モノに注目)

とか

「グリーンシート製造法を転用して、セラミックスラリーに発泡体を混ぜてキャリアフィルムに塗布し連続焼成すれば、意外にできるのでは?」
(プロセスに注目)

のように、異分野に存在する(であろう)、共通点がある技術を探しに行くのです。


思いついたり考えたりすることに頼らず、仮説を適切な検索KWに落とし込み

「検索」

で探しに行くことも可能です。
エッジ情報検索、でいう「仮説検索」の話です)


こういったアイデアも、どんどん、課題-解決ロジックツリーに書き加えていきます。

これをにらみながら、自身は、どの課題にアプローチしていくのか、および、その課題が解決されていない理由がどこにあるのか、考え発明を出していくことになります。



楠浦 拝





* 弊社商標です。


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2019年2月17日日曜日

「起きていること」の背景について考える~発明塾第472回

今回は、起業組OBの討議枠となりました。
駒場東邦中学/高校での発明塾(発明塾@駒東)開催を推進してくださった、MJCの中山さんからの話題提供でした。

発明塾xBlockChain で何ができるか、この枠で引き続き検討していきます。
(投資部の時間も、今後は使うかもしれません)


目下、種々調査中ですが、

「公共的な性格を持つ事業」


「BlockChain技術」

は相性が良い気がします。

前回取り上げたヘルスケアもそうですし、教育/人材育成、地域活性化、メディアなど、

「BlockChainの強み」

を生かせる分野であることは間違いない気がします。


エッジ情報を探すとともに、原典である、サトシ・ナカモト論文も、再度読み直したいと考えています。

発明塾関係者でブロックチェーン技術に取り組んでいる方は、他にも居られます、大いに議論しましょう。


 
「起きていることはすべて正しい」については、賛否?両論あるようです。
僕はどこかで
「愚痴ってる暇があったら、何かアイデアを出して実行したほうが良い」
と書きましたが、その背景にあるのが
「なんであれ、一旦受け入れた上で、次のアクションを考える」
という当たり前の考え方です。本書でも似たようなことが
書かれています。
「社会変革のためのシステム思考実践ガイド」は、ピーター・センゲの
「学習する組織」を、具体的にどう実践していくかを詳細に
解説した本だと考えてもらって良いと思います。



折角の機会ということで、起業中のメンバーからも相談を受けました。

よく言われることですが、特に、自身でそれなりに大きなリスクを負って起業していると、どうしても、一生懸命になりすぎて

「視野狭窄」

に陥ってしまいます。僕自身の経験でもそうですし、周りにいた人も例外なくそうなっています。
(というか、傍から見ていると、いろいろなコトがよく見えるだけなのですが)


企業内発明塾でもよく言いますが

「自身に確信があれば、リードすれば良い」

のですが、そこに至るまでに、目の前の情報や状況を、フラットに見れているか、繰り返し問い直す必要があります。

「他の人に見えていない、何かが見えている」

のか

「単なる、思い込み(というか願望の投影)」

なのか、判別しましょう、ということです。


まぁ、これが口でいうほど簡単ではないのですが、組織を率いてやるのであれば、避けて通れません。
(起業する人の大半は、一人であれば普通に食べていけるぐらいのガッツは持っていると思います)

自分ひとりであれば、割と身軽に動けるので、確信が持てるまでは身軽に・・・というアドバイスをすることもよくありますし、確信がなくなれば、一度身軽になったほうがいいよ、というアドバイスすらします。


自身の

「行動」

を、系に対する

「実験」

と考え、その反応(結果?)を測定していく、そして、その背後にあるシステムの動きや流れを読み取っていく、そんな感じで、自分に見えているものが、信じるに足るものか、確認しながら進めていきましょう。

自戒も込めて。



楠浦 拝




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2019年2月10日日曜日

「AI」よりも「ブロックチェーン」が熱い~グロービス勉強会報告「ヘルスケアとブロックチェーン」(2019年2月8日)

手短になりますが、備忘録代わりに記しておきます。
詳細聞きたいという塾生、OBOGの人は別途連絡下さい。

先日、あるご縁で、グロービス経営大学院の勉強会に参加させていただきました。

グロービスは、大学の先輩に当たる堀さんの著書


を読んで以来、発明塾としてベンチマークしている企業の一つです。
(発明や創造性に関する学校を作る、という目標に向けて、学ぶべきことが多い本です)


勉強会のテーマは

「ヘルスケアとブロックチェーン」

でした。参加者の方は、製薬系企業・CROの方などが多かったと思います。


ブロックチェーンについては、発明塾OBの中山さんがすでに起業されている他、過去発明塾でもテーマとして取り上げています。

ですので、技術的なことはある程度わかっているつもりでしたが、今回、前田先生の非常にわかりやすいご説明のおかげで、頭がスッキリしました。


 
「お金2.0」「BlockChain Revolution」
前田先生が推奨されていた、初学者向け書籍です。
前田先生のお話は、淡々としていながらも非常にわかりやすく、
不思議な魅力に溢れた講義でした。
他の参加者の方にいろいろお話を伺った感じでは、
やはりMBAの中ではグロービスはダントツのポジションにあるようです。
何事も体験、まずは単科で何かの講義を受けようかなと思ってます。


また、それに加えて、参加者との方々とのアイデア出しを通じ、ブロックチェーン技術には

「正しい行動を取らせるようなインセンティブが元々組み込まれている」

こと、したがって、そもそもブロックチェーン技術とヘルスケアの相性がとてもいいことに気づきました。

ついでにいうと、同じ理由でメディアや教育とも相性が良いので、我々の会社と発明塾は、むしろこちらに取り組むべきではないかという気がしています。
(クスウラさん、ようやく気づいたんですかという、ブロックチェーンに詳しい学生さんの声が聞こえてきそうですが・・・すみません)

AI・ビッグデータ・IoTというバズワード領域よりも、ブロックチェーン技術のほうが数段面白そうだなと感じ、本気でなにかできないかなといろいろ考えつつ、帰路につきました。


まずは報告ということで、失礼します。

また塾でも情報共有します。


余談ですが、今年は、楠浦自身がセミナーに出ていろいろしゃべると言うよりは、いろいろなところへでかけて、皆さんのお話を聞いて考える、という時間を増やすつもりです。

木曜日の夜に重なってしまい、塾に参加できないこともあるかもしれませんが、気付きは随時共有していきますので、ご容赦下さい。

これもまた別で書きますが、日本のスタートアップ業界の方々が、いよいよ知財に本腰を入れ始めていることを日々感じます。

発明塾の活動は少し早すぎたのだと思いますが、先回りしていた分、すでに手法は確立しているので、良い風向きになってきた気がします。

今後は、塾生さんやOBOG含め、スタートアップを盛り上げ支援する活動を強化していきます。


楠浦 拝






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2019年2月8日金曜日

Li電池用「ナノ多層」セパレータ/「発明塾@駒東」戦略会議 ~ 投資部51回(発明塾470回)/発明塾第471回

いろいろイベント事が多い中でしたが、先週も無事に開催できました。

よく質問がありますが、討議はすべてSKYPEなどのオンラインで行っていますので、時間さえ調整が付けば、どこからでも参加は可能です。
(過去、ポーランドから参加者あり、時差が大変です)

投資部は、月に1-2回、日曜日の15:00-、発明の部は、毎週木曜日の20:00-です。


現在は、発明の部もOBOG参加可能としています。
「定時で帰りましょう」「副業OK」「週休3日」の時代ですので、多くの企業で業務外に発明の仕事に携わることを否定する人は居ないと判断しています。
(実際、否定された例はないようです)

そういう企業が仮にあったとして、世の流れに沿って、すぐに許可されるようになると思います。
(そもそも、業務外の活動に縛りを設けるような企業に、今どきの優秀な学生さんは就職したがらないでしょうし・・・ね 笑)


さて、卒論組は、提出が終わってホット一息というところでしょうか。
OBOGの社会人組は、年度末に向けて忙しい人も居るでしょう。

各自のペースで、締切を意識しつつ進めて下さい。
(出さないと、通りませんから)

日付順で、投資部から行きます。



● 投資部 ~ 「発明塾@駒東」開催に向けて

当初、流会予定でしたが、ブロックチェーンスタートアップを創業された中山さんからのリクエストで

「発明塾@駒東」

開催に向けた情報交換をすることにしました。

こちらに書いてますが、投資部は基本なんでもアリの場ですので、楠浦に相談したいことがある人は、積極的に活用して下さい。


投資部の枠で行う理由は、仮に僕が個人で相談に乗ったとして、そこで出る答えは

「ベストな答え」

とは程遠いと思いますので、都合が付く人/興味がある人は参加してもらい

「互いに学びながら、チームとしてベストな答え(結果)を出す」

ためです。これは

「発明塾の精神」

そのものです。


次回の発明塾@駒東は、


に参加されている有志と連携しながら行っていけないだろうか、という話題も出ました。

僕個人として、細胞培養研究に関わった経験、および、リハビリロボットの開発をやりそこねた経験を踏まえ、ぜひ

「ライフサイエンス」
「メディカル」
「ヘルスケア」

領域での成果創出、あるいは、成果の実用化に携わりたいと考えているので、大変ありがたい話です。

「念ずれば通ず」

そんな感じがしました。


 
「いい会社を作りましょう」「経営x幸福学」と
同じテーマで、古い本(以前から繰り返し読んでいる)と
新しい本(最近知って読んだ)を挙げておきます。
「人生100年時代」を前提にすると、働き方、および、
「働いてもらい方」は、大きく変わってくる気がしています。
目の前で起きていることは、背後にある地殻変動の「兆候」に過ぎない。
そう考えるのが「発明塾」式ですからね。
発明塾も、弊社も、今後、大きく変えていきます。
その起点になるのが、今年です。



● 発明の部 ~ ナノ「多層」セパレータという「エッジ特許」

発明の部は、引き続き

「Li電池」

セパレータです。

ちなみに、Li電池と書いているのは、Li ”イオン” 電池に限らないからです。


今回取り上げたエッジ特許は

ナノ多層セパレータ」(JP2016516279A)

でした。


詳しくは読んでもらうとして、重要なことは、請求項に書かれている

「絶対権利化したい要素」


「解決している課題」


「解決するに至る、科学的な原理」

を読み取る/読み解くことです。


当該特許に書かれていない場合、主な発明者を共有している関連特許や、競合の類似特許を読み、情報をつなぎ合わせ、推定することも大切です。

「書きたくない」

こともあるからです。
(書けない、場合もありますが)


まずは、エッジな特許を見つけたら

「課題-解決-効果」
「その科学的原理」

を、きちんと把握しましょう。

これ抜きに、発明は生まれません。



楠浦 拝




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