「発明塾®」へようこそ!: 9月 2019

2019年9月21日土曜日

「ギリギリの論理的飛躍」を狙う、とは、どういうことか ~ 発明塾第505回/第506回

今回も、2回分まとめて、で失礼します。

いつも僕の主観でも面白くないので、今回は、まず、最近運営を手伝っていただいているOBさんのコメントを載せておきます。

(一部、秘密情報にあたりそうな部分は、削除しています)


● 190912討議の振り返り ~ OBさんのコメントから


OBさんが、以下のようなコメントを寄せてくれていました。


==


・楠浦さんが書込みのみの参加となる回だったが、各メンバーの視点の違いが見えて面白かった


・1つのテーマに違う角度から光を当てながら深められる、というのは集団討議の価値


・意見を出して話を前に進める、情報を提供する、発明全体の流れの中でどこにいるのか確認させる、など人によって行動が違う


・突破口になる糸口が複数見つかるイメージ


・ただし、振り返りと方向性の判断は自分でやらないと「いろんな意見」で終わってしまいがちな気がする


・数値化や、原理原則の確認などは、「何が事実で何が意見や仮説か」を切り分けながら進めるのに必要


==



音声と文字で参加する予定でしたが、デバイス設定の不備により、書き込みのみになってしまいました。


移動時の参加になる場合、デバイス設定の事前確認が必要ですね。


失礼しました。



ただ、楠浦が聞いていない安心感、すぐに口を挟まない安心感、というのも大事だと思います。


「自主討議」


を推奨しているのは、それが理由です。



知財の利回り


に、僕が主宰する、11年前のアイデア出し風景が掲載されていますが、私が参加していると、すこし


「ピリピリ」


した雰囲気になるようです。

(参加していない時がどんな感じか、知らないので何とも言えない)



本日紹介したい「孤独の達人」(諸富)は、僕が高校時代を過ごした
「甲斐塾」の化学科講師の方が、定期試験後に下さったメッセージ
「一人の時間を大切に」に、ぴたりとあてはまるもの。
いまでも、そのメッセージがつづられた色紙を、大切に保管しています。



● ギリギリの論理的飛躍を狙うには ~ 「一見、不可能と思える命題」を出すことから始まる

19日の討議で僕が伝えたかったことは、以下の通りです。
(別途メモにして、塾生さんにはすでに回覧していますが、備忘録として公開しておきます)

==

ギリギリの論理的飛躍を狙うには、まず、「一見」証明できそうにない命題をたくさん思いついて、証明に取り組む必要がある。
取り組む中で、ギリギリ証明できるモノが出てくる。

最初から、証明できそうにないからとあきらめたり、証明できそうなものを思いついていたりしたら、永久に発明はできない。
すでに発明されているものだけに、取り組む(再発明の)無駄が生じる。

もっというと、今は証明できなくても、後で証明できるかもしれない。
技術は進歩する、可能性は未来に向かってオープンであることを忘れないように。

今証明できないからと言って、未来永劫そうであるとは限らないし、他の人が証明できないとも限らない。
結局早い者勝ちだけど、能力とタイミングがそろう必要がある。

==


これに対し、参加メンバーが、以下のような補足コメントを寄せてくれています。

==

証明できない命題を色んな人に相談すると、ギリギリ証明できる命題に変わる。
簡単に証明できる命題はすでに解かれている。
難しすぎる命題は道具がそろってないと解けない。

「ほかの人は言ってないけど理にかなってる」を見つける。
そのために、マクロ・ミクロの情報分析をする。

==



最初からできそうなことを考えていては、


「他人を出し抜くこと」


は、できません。



「ちょっと無理かもしれないけど、もしできれば、世界に大きなインパクトを与えるだろう」


あるいは、そもそも


「そのイノベーションは、自分がやらないと、起きないだろう」(ビル・ゲイツ)


というようなことを、探して取り組むのが、最善だと思います。



ちなみに、上記のビル・ゲイツの言葉は、今放映中の、ネットフリックスの


天才の頭の中<ビル・ゲイツを解読する>


で紹介されている言葉です。






僕自身、2008年から5年間ほど、彼が私財を投じ、彼の右腕であるネイサン・ミアボルドが運営する


「Intellectual Ventures」


の活動に対して、かなりの時間を割いてきました。


日本法人の方々には、多大なる支援をいただきました。



発明塾が今あるのは、Intellectual Ventures、特に、日本法人の方々のおかげです。


そういうことも思い出しながら、番組を見ていました。


「トイレ」

「ポリオ」
「原子炉」

いずれも、彼が本腰を入れなければ、誰も動かない分野です。



皆さんも、小さくてもよいので、そういうネタを見つけ、生涯をかけて取り組んでほしいなと思います。


ビル・ゲイツですら、5年10年かけているわけです。


僕が、何かに取り組んで、10年以上かかっても、おかしくはないと、改めて思いました。



そうでなければ、それは


「簡単すぎることに、取り組んでいる」


のではないかという気が、しています。



皆さんも


「簡単すぎることに取り組んで、時間を浪費する」


という愚を犯さないようにしてほしいな、と思います。



(参考)「難しい問題に取り組むことを、恐れるな」~京都大学「ものつくりセミナ2014」のレポートから




楠浦 拝






=======
✔ 「発明塾講義」配信希望の方は、こちらをご覧下さい。
(楠浦からのレターが、無料で週に1‐3回届く、とお考え下さい)


✔ 入塾・見学希望の方は、こちらを御覧ください。

✔ 運営元 TechnoProducer株式会社 へのお問い合わせは、こちらへお願いいたします。





2019年9月7日土曜日

「時」を味方につける/出したい発明のイメージを持つ~発明塾第503回/第504回

今回も、8月29日、および、9月5日の2回分の振り返りです。

ログの振り返りについて、積極的に行っているようで、よかったです。

このあたり、来週のメルマガでも、触れます。



●「時」を味方につける

現在の運営方法(自身で出したい成果を出すために、発明塾で討議を行う)だと、各自が

「自身で締め切りを決め」

スケジュールを組んで進める必要があります。

「毎週、討議があるから何となく参加する」

では、永久に成果は出ません。


自身で

「いつまでに、どんな成果を出したいのか」

を明確にし、

「討議が、あろうが、なかろうが」

進める必要があるはず、ですよね。


討議は目的ではなく、手段なのです。


典型的日本人にありがちな

「手段の目的化」

が起こっていませんか?、ということです。


各自が、協力し合いながら、日々きちんと発明を進めていれば、集まった時に、

「そこでしかできない話」

ができます。

「必然性」

の話しですね。


ちなみに、

「自身で出したい成果を出すために、発明塾に参加する」



と同じ運営方針です。

ですので今後は、企業内発明塾と同じような段取りで、進めていきます。



今回紹介した、2冊のポランニー。
「創造的想像力」「暗黙知の次元」
後者は、過去、何度か紹介して必須図書にあげています。
前者は、その補足として、役立つと感じています。



●自身は、どういう発明に取り組みたいのか/取り組むべきなのか

そもそも、

自身は、どういう発明に取り組みたいのか/取り組むべきなのか

について、皆さん、きちんと(自身の心の声に向き合い)考えてみるのが良いのかもしれませんね。


例)後から見ると非常にシンプルで、世の中に大きなインパクトを与え、発表してしばらくすると皆がやりたがるような発明


これは、楠浦がいつも意識していることです。

楠浦の経歴から紹介すると、

「ナノインプリント」

は、とてもシンプルで、シンプルがゆえに技術的には難しかったものです。

「風力発電」

は、近々、世の中に大きなインパクトを与えるだろうと、考えたものです。

当時は、(私の周りの人の大半は)誰も、この発電装置が電源構成の5%を超えるまで普及するとは信じなかった(1%ぐらいはいくかもしれないけど、という感じ)のですが、その後、世界中に巨大な市場がうまれ、急拡大し、どんどん普及しています。



皆さんが今から目標を立てるのであれば、定量的にして、

「どれぐらいのインパクト(何億人の生活に影響を与える)」
「いつ頃(20xx年に、実用化/どの程度普及する)」

などの項目を付け加えると、わかりやすいでしょう。


そうやって、将来目指す姿を具現化し、ありありと描くことが、これから

「やりたいことを、自ら作っていく(見つける、ではない)」

皆さんにとって、大切ではないかな、と思います。



楠浦 拝




=======
✔ 「発明塾講義」配信希望の方は、こちらをご覧下さい。
(楠浦からのレターが、無料で週に1‐3回届く、とお考え下さい)

✔ 入塾・見学希望の方は、こちらを御覧ください。
✔ 運営元 TechnoProducer株式会社 へのお問い合わせは、こちらへお願いいたします。