くどいですが、「毎週書くと決めている」ので。
さて、しかしながらの若干手抜きになりますが、僕自身が受けてきた「計画的な能力向上」のための指導法を、ご紹介しましょう。
以下は、僕がどの会社の時も、部下に送っているメール(モディファイしています)です。前提条件として、「毎月、各部下と個人面談を行なっている」ことがあります(注1)。
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目的は、業務の管理ではなく各自の能力向上のためです。進捗管理とか締め切りとか、そんなものは各自に任せます。社会人なら、できて当たり前のことなので。
業務に追われると、なかなか計画的に能力向上ができないのですが、中長期的には、各自の成長がなければ「どのレベルでの」成長も成果もありません。それはLose-Loseということ。つまり、Pだけではなく、PCの向上をやってくださいということです(注2)。
準備するものは、たった2つのシート。計画にはそんなに時間をかけるものでもないし、かかるものでもない。エイヤで決めて、覚悟を決めて実行するしか無い。
周りを見ていればわかるとおもうが、30代前半の数年が勝負。寸暇を惜しんで勉強すること。それ以外のアドバイスはない。もちろん、僕はぜひ平々凡々とやりたいです、というのなら、それは止(と)めない。
(1)「この現場で成果をあげ、今後も成果をあげ続けるために、自分に必要なスキルは何か。それをいつどのように身につけるか」シート
今の業務/業界で、自分にすぐに/今後必要とされるスキルのリストアップと、それを、何でどういうふうに、いつ学ぶかの計画を素早く(1時間程度で)立てる。どのスキルも、3ヶ月で目標に達するようにスケジュールと項目(後述)を組むこと。ここには、現在の担当業務を中心に、それよりも広い、自社が置かれている環境に対応する際に、自分が必要と「される」スキルを書く。
この「必要とされる」という視点が重要。「身につけたい」というような「漠然とした」概念ではない。「これは必要とされますね」という、客観的なものさしを持ち込むこと(後述の「お勉強」くん(さん)、にならないため)。
3ヶ月以上かかるものは、3ヶ月で達成できるスキルに因数分解する。基本的に3ヶ月で「これについては現在の仕事には十分です(後述)」というところに到達し、それを繰り返す。3ヶ月有れば、集中すれば、大抵のことは身につく。逆に、これ以上かかるのであれば、全くに身につかない。そもそも方法が間違っているか、集中できていない(注3)。
(2)「各スキルを具体的に測定するベンチマーク設定と、測定」のシート
上記スキルのうち、特に重要なものについて、目標となりうる身近な人のスキルを100%とした場合に、今自分が??%である、1か月後に??%にする、3ヶ月で超える(100%以上)、とする。そのために仕事において何をどうするか(何の仕事をどういう風にやって、そのスキルを向上させるか)というリスト、シート。
ここでポイントは、具体的に測定可能となるように、ものさしを「客観的」にするために、「身近な特定の(デキる)人」を目標にすること。能力ごとに人が違っても構わない(というかそうなるはず)。人間は、具体的な比較対象が隣にないと、測定ができない。人間とは実にあてにならない「定量測定器具」である。
「Aというスキルが100%身についたかどうか」
などという確認不可能な命題ではなく(なんだ100%って、そもそも)、
「Aというスキルについて、Bさんに勝っているか負けているか」
という命題を立てて、最初から取り組むこと。
いずれも、毎週末に見直して、翌週の仕事や学習計画をたてる上での参考にし、業務遂行自体をスキルアップに密接に結びつけ、実施していくこと。慣れれば簡単、やらないとふわふわした「お勉強」タイプや資格タイプ、あれやこれやの発散タイプとなって、100%ボツる。多くの部下、同僚で実証済み。
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まぁ正直、ここまでネタを明かさなくてもいいんじゃないかと思いながら(だって、これこそ個人にとっては「競争力の源泉」ですよね)、いつもメールを送っている。僕自身も、半分は当時の上司に教えてもらったことなので。
というか、そもそも「これぐらいやってるよね」というコトでもある。もちろん「俺はそんな面倒なことしなくても、なんでもすぐ身についちゃうし、そもそもそういうのに困ったこと無いんだよねー」という人も、世の中には結構おられるので、そういう方には非常に「ウザい」話だとは思いますが。
※ 注1)正確には、行なっていない時期もありましたが、それは、メンバーと会社の発展段階的に不要、と思ったからです。
※ 注2)「7つの習慣」参照
※ 注3)「BCG流 経営者の育て方」参照。また、以前の上司が全く同じ事を言っている(「3ヶ月あれば、仕事で周りに一目置かれるぐらいのスキルは、なんであっても身につく」と)。