早いもので、京都ももう37回ですね。年間が52週ですから、あと少しで一周年です。
このように「年間52週」をどうつかうか、と考えるとスケジュールは非常に立てやすくなります。
私が「甲斐塾」で教えていた時は、年間52週でそれぞれ毎週何を教えるか、限られた時間をどう使うかを常に考えていました。
さて、今回は各自にサーバーの冷却について考えてきてもらいました。具体的には前回の討議を踏まえて、自分なりに特許を調べ、課題分析を行い、切り口を出し、可能であればアイデアを考えてきてもらうということにしました。実際に課題分析を完遂できたのは数名の塾生に限られたようですが、やればやるほどうまくなる作業なので、懲りずに継続してください。
読んだ特許の数だけ、描いたマップの数だけ、出したアイデアの数だけ、討議した時間だけ(発言しないと意味が無い)僕に「問い詰められた回数」だけ(笑)、皆さん成長しているようです。非常に心強いです。
今回討議した中で、
「一見無茶だけど、実現可能性が高く、今後の発展の余地も考えると、面白いな」
と思ったのは、以下の「ソーラーチムニー」技術です。
・ソーラーアップロドラフトタワー(ソーラーチムニー) By WikiPedia
もともと、「発電技術」のようですから、冷却にとどまらず
「サーバーの熱を有効利用する」
というところまで行けそうかな?
というか、ぜひそこまで頑張って欲しい。サーバー/データセンターってそもそも・・・については、以下「Google」の動画で勉強しました。さすがGoogleという感じです。
・Inside A Google Data Center By YouTube
Googleのデータセンターについての書籍も紹介しましたので、興味ある人は、購入して読んでおいてね。
ではでは、来週もよろしく。
==以下、復習
今回の復習は、ずばり How to invent の総まとめです。
インターンシップをやってくれた小塚くんが、非常にいい手法を見出してくれたので、それをベースに話をしました。彼はいつも、討議の内容を振り返り、ログを整理し、手法を抽出して皆に共有してくれていますね。彼のおかげで、発明塾は日々進歩している、といっても言い過ぎではない気がします。
①ロジックツリーを用いた課題分析
特許検索結果を、企業や発明者、IPCで分類して効率よく読み、課題を抽出します。また、それをMM(マインドマップ)にまとめながら上位概念化します。この時に、Solutionや技術の切り口で概念化するのではなく、「課題」に概念化します。
>意味わからない人は、分かっている「はず」の塾生に聞いてください。
また、もうひとつのポイントは、調べ尽くせ無い部分を「アイデア」で埋めるということです。ちょっとした思いつきは、既存技術のレベルですから「思いつき」でマップを補完すると、既存技術はだいたい網羅されます。もちろん、念のため思いつきが実際に出願されているか、調べておいてくださいね。出願されていなければ、今後のヒントになります。
特許情報から始まったマップを思いつきで埋めながら、さらに調べながら、上位概念化して整理していきます。この概念が、後述するマトリックスの切り口になります。ですので慣れてくれば、マトリックスの軸になるように、上位概念をいくつも出していく作業になります。
同じ技術でも、上位概念は複数の可能性がありますから。どういう概念を選ぶのか、それがKeyでしょう。
②因数分解と本質の抽出(含む「進歩性」の判断)
この時点で、ひょっとすると面白いアイデアを思いつくかも知れません。しかしそれがどう面白いのか、そもそも新しのか、何が新しいのか、を判断できなければ、どうしようもありません。
そこで必要なのが「先行技術の検索」「因数分解比較」「進歩性判断」「本質の把握」になります。
厳密には「先行技術の検索」にも「自分のアイデアの因数分解」が必要です。検索キーワードを決めるという作業は「発明を意味のある(特徴であると思われる)単語に分解する」という作業を内包するからです。
ここが下手だと、アリキタリな技術なのに、先行技術が見つかりません、という困った子になります。
また、委細割愛しますが、進歩性の判断を使って発明の本質を把握する時にも、因数分解(先行技術も)が必須です。これは知財業界の人なら、みんなやっていることで、いろんな本に書いてあるので割愛。
本質を掘り下げた後、それがほんとに素晴らしく新しいなら「詰め」ればいいし、なんかたいしたことないなとなれば、その本質を「上位概念化(もしくは課題化)」することになります。
③マトリクス化する
これは、現時点では口で説明しても???な人が多いので割愛しますが、上記で出た(出した)切り口を2つ取り出し、X軸Y軸にしてマトリクス化します。PPMの考え方とほぼ同じです。PPMは「商品」と「顧客」ですが、ここにいくつかの上位概念を当てはめてみると、既存の領域とそうでない領域(今後の領域、新しい領域)が、見事に浮かんできます。ここで「なるほど」というマトリクスが出来ればしめたものです。
僕の中では、ロジックツリーのどうマトリクスに「投影」するか、一面に広がっている「情報(アイデア含む)」をどう二軸に「圧縮」するか、「あぶり出し」みたいな作業です。ある塾生曰く「主成分分析」だそうです。
いつも紹介する、「高須賀さん的」なアプローチでしょうか。
面白い交差点が見つかれば、あとはそこにアイデアを網羅的に投下するのみです。ここは「楽しい」でしょうね。
切り口が新しいと、何でも新しくなりますから、楽しいです。出たアイデアは、最終的に②の工程にかけることになります。
==復習ここまで
ということで、今回は How to invent をかなり整理できましたので、今後はこの方法を使ってどんどん発明を進めましょう。まずは、今回のトピック「サーバーの冷却」を上記の方法で各自再度考察し(もちろん、すでに共有した塾生さんのマップを参考にしてもOK。積極的に活用しましょう。)面白いマトリクスが出来ないか、あるいは、すでに出た「面白いマトリクス」(昨日いくつか考えましたよね)についてアイデアを出す、など各自好きな工程からはじめて、アイデアを出してきてください。