「発明塾®」へようこそ!: 5月 2011

2011年5月30日月曜日

発明塾京都体験会 第二回開催報告

@京都で開催している体験会の報告です。

今回は、5月30日(月)18:00-に開催されました。

皆さんお疲れ様でした。

沼尻くん、報告及び主催ありがとう。

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京都大学四回生の沼尻と申します。

発明塾京都大学体験会第二回の報告をさせていただきます。
参加者は、塾生2名(沼尻、小塚)と、初参加の方1名でした。

前回は発明の説明の部分に時間を割きすぎたという反省があったので、今回はその部分をコンパクトにしてブレストに多く時間を割きました。

前回の報告にもありますが、発明するためには新しい課題、新しい切り口を見つけ出す必要があります。実際に取り組む際には、いかにそこへたどり着くかというのが問題となります。
様々なアプローチが考えられますが、今回は超交流会(体験会前日に京大で開催されたイベント)の中で、濱口秀司さんに教えていただいた方法を参考に以下のようなアプローチをしました。
  1. ある特許からそこに使われている技術要素を抜き出し、その要素がそれぞれ解決している課題を見つけ出す。
  2. 課題を上位概念化し、より抽象度の高い課題を出す。
  3. 2.の課題に対してそれぞれ軸を設定する。
  4. 軸を2つ取り出し、直交座標系を作り既存の解決策をプロットし、新たな切り口を発掘する。
少し補足をすると、軸というのは、その課題が持つ性質を抜き出し、両極端を設定したものです。
例えば、「体積」という課題があれば、「小」⇔「大」といった具合です。
これをすべての課題に対して設定していきます。
こうして設定された軸から2つ取り出し、直交座標系を作ります。そして既存の解決策がどの部分に当てはまるかを書き加えていきます。すると、既存のアプローチがほとんど無い部分が見つかってきます。これが新しい切り口となります。

この方法では、各段階を時間管理して進めていくことで、より効率的に切り口を出す事ができます。
今回の体験会では、4番目の段階に入ることができましたが、新たな切り口を発掘するまでには至りませんでした。

発明にはこの後に課題に対する解決策を考え出し、詰めていく作業があります。
今回の体験会ではこの部分の説明を十分に出来なかったので、次回は改善していきたいと思います。

参加していただきどうもありがとうございました。

2011年5月29日日曜日

発明塾東京 第46回開催報告

第46回も無事終了しました。

東京常連組は、毎回各自のアイデアを発表してもらい、ある程度時間をかけて討議するスタイルに落ち着いています(人数も3-4名なので)。

とはいえ、30分-1時間程度で討議できる内容は知れているので、どうしても持ち帰りの内容が多くなります。アイデア発表→軽く討議→ポイントを抽出→持ち帰ってなにをすべきかの講義、という感じですね。

今回は、各自のアイデアの「本質」を考える、というところに注目しました。いつも言っていることですが、発明を詰めていく作業の中で、この「本質がなにか」というところをしっかり考えることが、一番重要なことです。これがすべての議論の土台になります。この本質の部分を、強化し最適化する作業が「発明を詰める」ということになります(もちろん実現可能性の証明も)。

ここで、本質を考えるためにまず第一にすべきことは「先行技術を徹底的に調べて、一番近い技術を探し出し、その差分を考える」ことです。これは、その発明を特許化すると考えたときに、その「進歩性」を主張する、という作業になります。自分が先人の功績に新しく付け足した部分、それが「世間から見た」自分のアイデアの「本質」です。

また、先行技術を見つけると、自分のアイデアと殆ど変わらないんじゃないかな、という場合もあります。しかし、それが実現されていない場合には、実現されていない「技術的理由」が必ずあるはずです。正確に言うと、その理由を、技術的に解決することができるはずです(たとえコストの問題であったとしても、それは技術的に解決できるはずです=構造の簡略化、加工方法の改善など)。そこが「本当の課題」であり、解決出来れば「本質」になる部分です。

土曜日の初級クラスで、一人の塾生さんがいいことを言ってくれました。

「本質、もしくは本質になりうる技術的解決策を探すってことですよね」

そのとおりです。


・先行技術との差分を切り出し、抽象化⇔具体化し、発展させる。そして最適化する。

「要するに何?」

・先行技術が実現されていない理由を深堀し、解決策を考える(調べる:ここで異分野技術が効いてくる)。

「なんでやってないの?」

2011年5月28日土曜日

発明塾東京初級 第3回

発明塾東京初級クラスも、第3回を終了しました。

皆さんなかなか理解も早いし、面白いアイデアを持ってきますね。

さて、今日は皆さんが考えて来た(しかも全員事前に送ってもらっていたという、素晴らしさ!!!)アイデアを、一人一人発表してもらい「その本質はなにか」を考える訓練をしました。自分の発明の本質を、客観的に考えるのは、最初は結構難しいですが、他の人のアイデアなら気楽に?考察できますからね。これで、練習をしてもらいました。

いくつかのアイデアについては、そのまま詰めていけるような面白いものもありましたが、再度切り口に戻した方がよいものも、当然、あります。

そのへんをどうするのか?(どう考えるのか)というのが、次のステップになります。

図を貼れないので口頭の説明になりますが、塾生には当日の板書を送りましたので、照らし合わせてみておいてください。

①思いついたアイデア→アリキタリな気がする→ほんとにアリキタリかどうか、再度見直す。これは先行技術との差(素因数分解と引き算)で、徹底的に差を洗い出す→その差が本質(新しさ)→それが実現されていない理由を考える→③のフローに移動
②同じくアリキタリな気がする→ドンズバ特許があった→諦めて「上位概念」に戻す→再度アイデア出し、元に戻る。
③思いついたアイデア→実現不可能な気がする→なんで実現不可能なのか(ほんとに実現不可能なのか)、現象を理論に還元して考え、制約条件を探し出す(事例としてはエジソンが白熱電球のフィラメント素材として「抵抗が高く、耐久性がある物質」を探したこと。Q=i^2Rの式に還元した。)→その理論条件を満たす材料、機械、システム、補完する理論等を探す。

特許的に言うと、「進歩性」から考え「阻害要因」を見出すことになります。分かりやすく言うと「なんでこんな当たり前?なこと(僕でも思いつくようなこと)を、まだやってないのか?」ということになります。

・要するに何?:本質を考える(←先行技術との差を考える、からも出てくる)
・なんでだれもやってない?:阻害要因(進歩するための障害、解決すべき真の問題)を掘り起こす。

この二つですね。

では、次回までに各自のアイデアを、上記のプロセスでブラッシュアップ(もしくは再考)してきてください。次回は、@京都と同じく個別指導形式になりますので、各自が考えたところまでを整理して持ち込んで、楠浦もしくは場合によっては全員で討議します。2.5時間だと、普通に討議すると2名程度しか取り上げられませんが、同時並行で討議すれば4-5名は可能でしょう。各自の進捗状態、理解度に合わせて運営します。

ではでは。


2011年5月26日木曜日

発明塾京都 第39回開催報告

@京都 第39回は、各自が自分のアイデアを詰める、もしくは自由に討議する時間としました。集団討議だと、どうしてもフィードバックが遅くなってしまうので、今後も京都は、このスタイルをベースにしたいと思います。

ですので、ここで書けない(=各自のアイデア)討議ばかりなのですが(笑)。

皆さんそれぞれに大きな進展があったようなので、よかったかなと思います。

最後に少し時間をとって、一部の塾生さんから質問があった、発明、特許、知財に関する最新の状況について、分かりやすい本があるので紹介しておきました。

・「オープンイノベーション」H.チェスブロー他
・「オープンビジネスモデル」H.チェスブロー

この2冊では、IBM、クアルコム他、僕がいつも話をするような企業の事例をとりあげつつ、最新のトレンド、知財(権)の役割がどう変わってきているのか、などを分かりやすく説明しています。自分が発明に取り組む意義が、社会的文脈(コンテクスト)から見てどうなるのか、ということが確認できると思います。発明家が、しっかりと自分を持って発明に取り組むには、必読の本でしょう。2冊は続きものになっています。

あと、生命科学系の人には、以下の本をおすすめします。

・「サイエンスビジネス」G.ピサノ

この本の主張は、ライフサイエンスがビジネスになっていない、ということなのですが、要するにこれからまだまだフロンティアがある、ということだと思います。21世紀を生きる若者には、生命科学の知識は外せないよ、と言っている意味がわかると思います(専攻とは関係なく)
サイエンスとしての成果は、着実に出ているわけですから、後はそれをどう「世の中の価値」につなげるか。まさに発明家の出番だと思います。

ではでは、京都は次回もこの形式ですから、各自しっかりと自分の作業をして、望んでください。しっかり準備してきた人は、僕と(もしくはみんなと)いい議論ができるでしょう。

2011年5月20日金曜日

塾生さんの気付きからの気付き

発明塾に参加してくれた @yuyushirai  さんのコメントが参考になると思うので、記録しておきます。

①「<前半省略>手を動かすと頭が動く。頭が動くとリソースが増える。リソースが増えると収集がつかなくなる。そこで適宜軸やマトリックスを導入して整理する。整理すると、また新たな方向性が見えてくる」

情報を集め、整理(上位概念化、切り口化)して、の繰り返し。


② 「因数分解の意味も自分がアホなこと言ったおかげで体験知として落とし込めました笑 あと既存のアイデア集合の外にあるSFライクなアイデアを1つ出すと、その課題内の物理的制約を分析せざるを得ないので、課題に関して理解が深まるようなことを体験しました」

僕の意図しない体験も生まれているようですが、まず両極端なアイデアを出す、というのは、りそな銀行の元社長(細谷さん)も同じことをおっしゃっていました(ぼくの手帳、愛称「ハンバーガー」にメモってありました)。発明の場合は、それを概念化して軸にする、ということになると思います。


③「エジソンの1:99の名言の意味もなんとなくわかりました。発明過程ってとことんリソース投入型なんですね。最後に特許になるまでの1に至ったことがないし、そこから数学的証明になるとまた違うノウハウが必要なんでしょうが、ここは未知なので楽しみです」

これは、指摘のとおりです。コップから水があふれるまで、やり続ける作業です。それを楽しめる人間が、発明家なのです。


いや、しかしここまで的確に自分の体験を理解できているとは、恐ろしい若者が出てきたものです。日本の未来は明るいのかもしれません。


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2011年5月19日木曜日

発明塾京都 第38回開催報告

@京都 第38回も無事終了しました。

今回は、前回に引き続きサーバーの冷却について、アイデア発表から開始しました。

アイデアを思いついたとして、それをどう「詰める」のか、ということが次のポイント。


・まず、「従来(既存技術)の課題」「具体的に何をどうして解決するのか」「その効果」というストーリーで、できるだけ具体的に文章化する。この段階では仮説であり、証明すべき命題(の集まり)、である。

・それらを「小さい命題」に分割し、どんなデータを集めれば、もしくはどのようなことを理論的に証明して組み合わせれば、全体を証明できるのか明らかにする。ここには、課題の存在自体の証明、課題の重要性の証明も含まれる。そして、証明すべき命題群の中で、いずれにせよこれが証明できなければこの仮説はボツ、というような中心的な命題、重要な命題をピックアップして、そこから証明や調査を始める。

・それを踏まえて、「現状(既存技術)」と「解決策」の二つをそれぞれ1枚の絵にする。その差ができるだけはっきりわかるように、表現をブラッシュアップする。また、その内容を文章にフィードバックし、補強する。

・これら作業を行うときに「発明の本質」にのみ注目する。たとえば、「300m先まで見える双眼鏡」と「5km先まで見える望遠鏡」の違いについて考えるとすると、その本質のみ(光学設計?、レンズの工夫?)に注目すること。
ここで「夜は望遠鏡でも5km先までは見えないですよね」というような議論をしないこと。それは、「双眼鏡と望遠鏡」の違いによる影響ではなく、双方に等しく影響を及ぼす外部要因なので、気にする必要はない。この議論をする人は、、とても多い。

意外と思うかも知れないが、やってみると皆ハマる。今回もその議論が出た。

「本質部分」=「既存技術と自分のアイデアの差分」にのみ注目し、思考をフォーカスしてムダを避けることで、アウトプットのクオリティーが格段に上がる。ムダなことは考えない、ことである。


僕が授業の結果をBlogに残していることには、ちゃんと意味がある。

それは「発明塾で僕の話を聞いただけではできるようにならない」からだ。同じく、このブログを読んだだけでも、できるようにはならない。

塾以外の時間、が君たちの勝敗を分けている。それは今回、明らかになった。

塾以外の時間に、どれだけ頭を絞り、自分のノートを見返し、スマホで僕のBlogをチェックしながら再度考え直し、アイデアを書き留め、図にし、文章にし、、、そのような作業ができるか。

それが全て。出てきただけで満足しているなら、その時点でオワっている。それは何も産まない。別のことに時間を使ったほうがいい。大学の授業に出ても、大して賢くならないのと同じである。その後、どれだけそれを反芻し、実践できるか(課題など)にかかっている。

2011年5月15日日曜日

発明塾東京 第45回開催報告

第45回も無事終了しました。

今回は、各自の考えてきたアイデアを元に、それをさらに発展させたり深めたりするべく討議を行いました。3名のアイデアで3時間。これぐらいは必要ですね。本当はもっと時間を割きたいところですが、終りのない作業なので、塾生同士の討議なども積極的に行って、時間を作って欲しいと思います。

さて、今回のポイントは、発明は「最初はできるだけ誰も考えていないようなコンセプトで考える」「その実現可能性を徹底的に調べる」「実現可能な形に上手く落とす」、こういうプロセスをたどるということでしょうか。

そして、できるだけシンプルな形に持っていく。

先行技術と比較して、本質を洗い出し、本質以外のところは既存技術を利用し、本質部分を強化するように最適な適用形態を考える。

これがポイントだとおもいます。

次回もよろしく。

2011年5月14日土曜日

TRIZについて

とかく難しい印象のTRIZ。(理屈先行なので取っ付きにくいが、アイデア出しをある程度経験すると、意外と入りやすい)

なんとなく理解するにはこちら。
・TRIZ連載 http://mitriz.sblo.jp/

しっかりやるにはこちら。
・生物学分野におけるTRIZ/USITの利用 http://ow.ly/4UPhL

以前から紹介している、40の原理を俯瞰できるページ。

アイフォンアプリ

何でもかんでも、これで切れるわけではないが、たまに「スパッ」と切れる。

知っておいて損はない。One of ツール。

発明塾東京初級 第2回

@東京 初級クラス 第2回、お疲れさまでした。

今回は、前回予習を元に討議して洗いだした課題を、整理してきてもらうことから始まりました。概念化し、その概念の関係(トレードオフ、相関性、因果関係)を考察し、重要な課題を定義することが、課題分析です。

東京は2週間あるため、じっくりとり組んでもらいたいところ。実際に、本質的な分析を行っていた方もおられます。なかなかレベルが高いと思います。

今回の塾では、一名に発表してもらい、それをもとに議論を始めました。委細は割愛しますが、重要なトレードオフを特定した後、それを解決するにはどうしたら良いか(というかそのトレードオフがなんで存在するのか、そのボトルネックは何なのか)を考えました。

というか、それを考えてスパッと答えてくれた塾生がいました。

勉強になりましたね。それで、解くべき課題があっという間に定義されてしまいました。(今回使った概念は、TRIZ的には「時間的分離」でした。)

トレードオフを、妥協で解決するのではなく、そのトレードオフの原因(てこの支点)を考え、それをなくしたり取替えたり、位置を外に出すようなイメージで、根本的に解決しようと考えるのがポイントでしょうか。TRIZの発明原理も、そういう視点で使うものです。

トレードオフを、新たな次元で、両立するように、解決する。そのためのコンセプトは何か。トレードオフが生じている制約条件はなにか(今回は同時性=時間制約を取り除いた)。

その結果「解くべき問題」が定義できます。ある意味、ここが発明の一番重要な点であり、いつも言うところの「切り口」になります。

木曜日の京都に引き続き、いろいろと考えさせられた回でした。


次回は、
・今回でたアイデア?を整理(概念化し、また具体化するを繰り返して、これは!という具体的なアイデアに至る)
・その中から、これは!と思うものを4-5選ぶ。
・それについて、先行技術を調べてくる。
・先行技術との違いを考える。
をやってきてください。

では、次回もよろしく。

2011年5月12日木曜日

発明塾京都 第37回開催報告~サーバー/電子機器の冷却をどうするか

早いもので、京都ももう37回ですね。年間が52週ですから、あと少しで一周年です。
このように「年間52週」をどうつかうか、と考えるとスケジュールは非常に立てやすくなります。
私が「甲斐塾」で教えていた時は、年間52週でそれぞれ毎週何を教えるか、限られた時間をどう使うかを常に考えていました。

さて、今回は各自にサーバーの冷却について考えてきてもらいました。具体的には前回の討議を踏まえて、自分なりに特許を調べ、課題分析を行い、切り口を出し、可能であればアイデアを考えてきてもらうということにしました。実際に課題分析を完遂できたのは数名の塾生に限られたようですが、やればやるほどうまくなる作業なので、懲りずに継続してください。

読んだ特許の数だけ、描いたマップの数だけ、出したアイデアの数だけ、討議した時間だけ(発言しないと意味が無い)僕に「問い詰められた回数」だけ(笑)、皆さん成長しているようです。非常に心強いです。

今回討議した中で、


「一見無茶だけど、実現可能性が高く、今後の発展の余地も考えると、面白いな」


と思ったのは、以下の「ソーラーチムニー」技術です。


ソーラーアップロドラフトタワー(ソーラーチムニー) By WikiPedia


もともと、「発電技術」のようですから、冷却にとどまらず


「サーバーの熱を有効利用する」


というところまで行けそうかな?


というか、ぜひそこまで頑張って欲しい。サーバー/データセンターってそもそも・・・については、以下「Google」の動画で勉強しました。さすがGoogleという感じです。


Inside A Google Data Center By YouTube


Googleのデータセンターについての書籍も紹介しましたので、興味ある人は、購入して読んでおいてね。


ではでは、来週もよろしく。




==以下、復習


今回の復習は、ずばり How to invent の総まとめです。

インターンシップをやってくれた小塚くんが、非常にいい手法を見出してくれたので、それをベースに話をしました。彼はいつも、討議の内容を振り返り、ログを整理し、手法を抽出して皆に共有してくれていますね。彼のおかげで、発明塾は日々進歩している、といっても言い過ぎではない気がします。

①ロジックツリーを用いた課題分析
特許検索結果を、企業や発明者、IPCで分類して効率よく読み、課題を抽出します。また、それをMM(マインドマップ)にまとめながら上位概念化します。この時に、Solutionや技術の切り口で概念化するのではなく、「課題」に概念化します。
>意味わからない人は、分かっている「はず」の塾生に聞いてください。

また、もうひとつのポイントは、調べ尽くせ無い部分を「アイデア」で埋めるということです。ちょっとした思いつきは、既存技術のレベルですから「思いつき」でマップを補完すると、既存技術はだいたい網羅されます。もちろん、念のため思いつきが実際に出願されているか、調べておいてくださいね。出願されていなければ、今後のヒントになります。

特許情報から始まったマップを思いつきで埋めながら、さらに調べながら、上位概念化して整理していきます。この概念が、後述するマトリックスの切り口になります。ですので慣れてくれば、マトリックスの軸になるように、上位概念をいくつも出していく作業になります。
同じ技術でも、上位概念は複数の可能性がありますから。どういう概念を選ぶのか、それがKeyでしょう。


②因数分解と本質の抽出(含む「進歩性」の判断)
この時点で、ひょっとすると面白いアイデアを思いつくかも知れません。しかしそれがどう面白いのか、そもそも新しのか、何が新しいのか、を判断できなければ、どうしようもありません。
そこで必要なのが「先行技術の検索」「因数分解比較」「進歩性判断」「本質の把握」になります。
厳密には「先行技術の検索」にも「自分のアイデアの因数分解」が必要です。検索キーワードを決めるという作業は「発明を意味のある(特徴であると思われる)単語に分解する」という作業を内包するからです。
ここが下手だと、アリキタリな技術なのに、先行技術が見つかりません、という困った子になります。
また、委細割愛しますが、進歩性の判断を使って発明の本質を把握する時にも、因数分解(先行技術も)が必須です。これは知財業界の人なら、みんなやっていることで、いろんな本に書いてあるので割愛。

本質を掘り下げた後、それがほんとに素晴らしく新しいなら「詰め」ればいいし、なんかたいしたことないなとなれば、その本質を「上位概念化(もしくは課題化)」することになります。


③マトリクス化する
これは、現時点では口で説明しても???な人が多いので割愛しますが、上記で出た(出した)切り口を2つ取り出し、X軸Y軸にしてマトリクス化します。PPMの考え方とほぼ同じです。PPMは「商品」と「顧客」ですが、ここにいくつかの上位概念を当てはめてみると、既存の領域とそうでない領域(今後の領域、新しい領域)が、見事に浮かんできます。ここで「なるほど」というマトリクスが出来ればしめたものです。
僕の中では、ロジックツリーのどうマトリクスに「投影」するか、一面に広がっている「情報(アイデア含む)」をどう二軸に「圧縮」するか、「あぶり出し」みたいな作業です。ある塾生曰く「主成分分析」だそうです。
いつも紹介する、「高須賀さん的」なアプローチでしょうか。

面白い交差点が見つかれば、あとはそこにアイデアを網羅的に投下するのみです。ここは「楽しい」でしょうね。
切り口が新しいと、何でも新しくなりますから、楽しいです。出たアイデアは、最終的に②の工程にかけることになります。

==復習ここまで


ということで、今回は How to invent をかなり整理できましたので、今後はこの方法を使ってどんどん発明を進めましょう。まずは、今回のトピック「サーバーの冷却」を上記の方法で各自再度考察し(もちろん、すでに共有した塾生さんのマップを参考にしてもOK。積極的に活用しましょう。)面白いマトリクスが出来ないか、あるいは、すでに出た「面白いマトリクス」(昨日いくつか考えましたよね)についてアイデアを出す、など各自好きな工程からはじめて、アイデアを出してきてください。



2011年5月8日日曜日

「ブレインストーミングの魂」

http://www.mekikicreates.com/html/c01_4.html より、項目を抜粋して私なりの意見を付与します。

上記サイトには、オズボーンのブレインストーミングの法則の後に、

1.絶対に結果を創るという決意を持つ
2.場に惜しげもなくアイデアを貢献する
3.参加者の意見を否定しない
4.常に新しく場を創り続ける

の4つが上がっています。いずれも、その通りと思うのもばかりです。

1.絶対に結果を創るという決意を持つ
 発明塾でも、「その場でアイデアを出そう」ではなく、「ここで方法を聞いて帰ってからやろう」という人がいます。が、大抵の場合、帰ってからやらないか、やったとしても集中力が出ず大したアイデアに至らないのではないでしょうか。
 限られた時間に結果を出す、という決意が重要であると常に感じます。その集中力がいいものを産みますし、その集中力を発揮する訓練の積み重ねで、どんどん集中力が高まります。その結果、いつでもどこででも、いい結果が出せる集中力が身につくのです。

2.場に惜しげもなくアイデアを貢献する
 これも、ありがちなパターンです。「こんな事言ったら、バカにされるのでは?」もしくは「いいアイデアなのであとで調べよう」のいずれかにハマるパターンです。
 バカにされるぐらいの意見を言わなければ飛躍はないですし、一人でこっそり考えても、発展はたかが知れてます(というか、そういうのは大抵先行技術がある)。馬鹿馬鹿しいことも思い切って発言し、これすごいねと思ったアイデアも、衆目に晒して調査してもらう。これらの結合により、集団として飛躍が生まれます。

3.参加者の意見を否定しない
 これはいつもいうことなので割愛します。メンバーが固定してくると、あいつはああいうタイプなのよね、と、理解を持って接することができます。そういうのが大事です。

4.常に新しく場を創り続ける
 回数を重ねると、方法論にハマって、一から真剣に「アイデア自体」を考えることをやめてしまう人がいます。いわゆる「こなす」状態です。
 何がしたいのか、にもよりますが方法はあくまでもツール。アイデアを追求する姿勢を忘れてはいけない。そのためには、常に新しい視点で「場」「方法」「テーマ」「課題」そして「アイデア」を見つめなくてはいけない。

それなりに実績をあげておられるのでしょう、説得力のある4箇条でした。

2011年5月7日土曜日

「ブレイクアウト」をおこすために。

「ブレイクアウト!」PHP研究所 より
http://amzn.to/iz1PBO 

ブレストの心得として。

>>>>>>
適度な緊張が生産性を向上させる。これは多分殆どの人が理解している(ヤーキース・ドッドソンの法則というらしい)

緊張しすぎから逃れ、うまく「ブレイクアウト」するには。
1)信念に深く根付いた行為をする、もしくは考える。礼拝、読書、音楽、散策など。
2)繰り返しの行動で「リラクセーション反応」を引き起こす。言葉を繰り返すなど。
どちらもよく使う手ですね。10-20分ぐらいやるとよいらしい。

組織で「ブレイクアウト」を起こすには。妥協ではなく協調を起こすには。
・他人の学歴、専門知識、思考パターンに敬意を払う
・他人の貢献を馬鹿にしない
・「どんなアイデアも悪いアイデアではない」
・アイデアは「ひとりだけで考えていても発展しない」‐揉まれないといけない
・一見、無関係なアイデアや突飛なアイデアのほうが、直線的論理で考えたアイデアより価値があることが多いことを認める。
>組織は「矛盾」や「飛躍」を持ち込むためもの。論理的思考なら、独りが一番。
・最善の解決策に至るには、時間がかかると心得る。参加者の相互信頼が重要。
・ブレイクアウトがどう生じるか、全員が理解する。

手順としては以下。
①リラクセーション反応を起こす:言葉の繰り返しや音楽など。
②笑う:ジョークや雑談>講義の最初につかみの話をいれますよね、そんな感じ。
③教える:最高の学びは、教えること。立場が変わると気づきがある。
④運動:体を動かすと良い。
⑤新鮮なグラフ:感覚への刺激。視覚だけでなく、匂いや音も。
⑥話させる:例を挙げさせる、要点を説明させる、比喩を使う、など。
⑦斬新なアイデアを提案する:類義語辞典を使ったり、答えを組み合わせる>ネットを使うと面白い「ネタ」が出たりする。
⑧エレクトロニック・ブレインストーミング:面と向かってではなく、ネットを介して行う。このほうが、創造性が高まるらしい。

2011年5月4日水曜日

良い発明提案書の条件


体裁の問題もありますが、良い発明提案書の条件について、少しまとめておきます。

1.参考文献をきちんと引用してロジックを組む
=「参考文献AAにBBBと示されているようにYYYはZZZである(となる)」と書く。読んだ時に、どの参考文献がどの部分の主張をサポートしているのか、ひとつひとつ参考文献を読まないとわからないのはNG。

読み手に余計な作業や解釈をさせる、というのは基本的にマイナスです。論文やレポートの基本的なスタンスとして押さえておいてください。

読み手にストレスを与えないこと。「ふんふん」とスラスラ読ませること。良いレポートは、良く出来た小説のように、テンポよく読めて、非常に読むのが心地よいものです。

2.課題の定義が明確
課題が、背景的な大きな議論を含んでいると、周りくどく、ポイントがはっきりしなくなります。発明の本質を見抜いた時点(タイトルが固まった後)で、再度課題を見直し、背景的な部分は削除し「背景」の部分へ持って行きましょう。

3.タイトル
これが一番重要。発明の本質はなにか。何が新しい部分なのかをはっきりさせ、新しい部分と効果効用、用途などがはっきりわかるように書きましょう。「XXを用いてZZすることによりYYな効果があるAAシステム」みたいな感じです。本質的に新しい部分(技術要素)というのは一つだと思いますので、その技術要素を端的に表す言葉を入れる。コンセプトや効果の新しさではなく、技術として新しい部分(モノとして新しい部分)を削り出して、タイトルに入れます。

4.要約
発明の構成とその効果を端的に書きます。これは、2,3,とともに、最後まで繰り返し見直します。発明の全貌と本質が一目でわかるような図、もいれます。

何から書くかというのは正解はないですが、いずれにせよタイトルと要約、課題は最後まで「グルグル」と直し続けることになります。発明の本質を見直し続け、その本質の部分「だけ」が、浮き彫りになるように削ったり直したり。もちろん、本文の部分もそれにしたがって手を入れることになりますが・・・。本質が見えるとタイトルが決まる、本質が見えると課題も整理される、本質がわかるようにに要約を書く。いいタイトルを書こうと思うと、本質を考え続けなければならない。なんか、そんな堂々巡りの末に、いいものが出ます。

5.発明の構成と使い方、どの様に効果が発揮されるのか
本文の部分には、発明を構成する技術要素、発明品の製造方法、それをどう使うのか、どのような原理で効果を発揮するのか、を書きます。効果や長所もまとめておきます。要するに「なにがどうなって、どうよいのか。何が本質的に新しくて、それは(そして全体として)実現可能なのか。」ですね。自分の発明の論証作業です。

その他のマイナーなバリエーションも、考えられるものは別途書いておきます。

全体的に、図やフローチャートで、できるだけビジュアルに構成します。言っていることは正しいとして、直感的に理解してもらえると、楽ですからね。

6.英語参考文献
これも必須。言うまでもないよね。また、米国特許文献は日本以上に先鋭的なアイデアが多いので、日本で見つからなくてもUSであった、、、(残念)なんてことがしょっちゅう。米国特許もみっちり調べましょう。


2011年5月1日日曜日

発明塾東京 第44回開催報告

無事44回も終了しました。長いメンバーは、一年以上経っているわけですが(シェアハウス管理人の山田さんも含め)、やはり尽きることがないですね、発明というのは。

発明の方法論もどんどんブラッシュアップされていますし、ネタも尽きない。

皆さん、一生の趣味にしてください(笑)

さて、今日はナノ粒子汚染防止の課題について、特にフィルタに絞ってアイデアを考え、先行技術との対比を行って来てもらいました。初級組と京都組のところで述べましたが「素因数分解と先行技術との対比」です。

実際の発明のプロセスでは、アイデアを網羅的にダーっと出して、それらを片っ端から上記のプロセスにかけています。もしくは出しながらかけています。(これは、Intellectual Ventures を訪問して僕が発明をしているところを見た人は、わかると思います)

結局、アイデアを検討するとはこういうことなのです。先行技術を見つけ、対比し、本質をあぶり出し、その本質に意味があるかを瞬時に判断する。決して思いつきで出た一つ一つのアイデアにとどまったり固執したりしていません。これらのスクリーニングを経たアイデアのみを、じっくりと温めるのです。

ここまで行くには、少し時間がかかるかも知れません。ですが、ここまで至らないまでも、既存の情報(特許など)を課題-解決構造で整理し、意味のある課題に対して新しい切り口を見つけ、そこに網羅的にアイデアを投入する。このプロセスでアイデアを出してこないと、ジャストアイデアをポンと持ち込んでも、議論になりません。ボツったときに、戻れるところがないからです。切り口や既存技術の整理ができていれば、それをもとに再度皆で議論ができます。

ですので、これまでに紹介した手順をしっかり復習し(本ブログにすべて書いてあります、これを機に読み返しておいてください)、既存情報の分析→切り口→アイデア→先行技術調査をぐるぐると回して、次回の討議に持ち込んでください。

二週間後ですから、それまでに討議が必要な人は、いつでも声をかけてください。また、塾生同士で話をしてもいいと思います。いいライバルを作ることは、発明塾の目的の一つです。

僕も、高校時代からいいライバルが一人(結局大学院まで同じ)いて、非常に助かりました。現在の僕があるのは、彼のおかげだと思っています。

ではでは、次回は皆さんが主役ですから(発表形式ですよ)、よろしく。